この記事では、2月に使える時候の挨拶と結びの言葉をご紹介します。
ビジネス関係と親しい人に出す、
2月の時候の挨拶と結びの言葉の例文もご参考ください。
2月は、寒さが厳しさを増すなかで、
ほんのり漂いはじめる春の気配を感じさせる月です。
はがきや手紙を送る相手に、
次なる季節の兆しをみつけ、
胸の高鳴りを感じさせる
時候の挨拶を使用した方がよいでしょう。
季節感のある季語を使った、2月の時候の挨拶を書き、
その後に相手の健康や安否を気遣う言葉を書きましょう。
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目次
2月の異称:如月(きさらぎ)
2月の代表的な和風月名は、「如月(きさらぎ)」です。
言葉の響き、漢字、ともに、美しいこの言葉。
漢字の方は、中国の古い書物に、
「二月を如(じょ)となす」という記述があるからだそうです。
語源の方は、諸説ありますが、よく言われるのが、
寒さが厳しいので衣をさらに重ねて着る「衣更着(きさらぎ)」という意味の説。
現代だと、もっとも寒い月ですから、これが当てはまりますね。
『願わくは 花の下にて 春死なん
その二月(きさらぎ)の 望月(もちづき)のころ』西行
旧暦二月は、今でいう三月半ばから。
桜が咲く季節だったのですね。
そう思うと、陽気が発達してくるから「気更来(きさらぎ)」、草木の芽が張り出すという意味の「木草張月(きくさはりづき)」が、
変化したもの、などの説が正しいのかもしれません。
書名「美人の日本語」 作者「山下景子」 出版社「幻冬舎」
ほかにも2月に出すはがきや手紙の季語として、
「梅見月(うめみづき)」、「初花月(はつはなづき)」
「雪消月(ゆきぎえつき)」などがあります。
いずれにも春を喜び、まち詫びる先人の思いが、
2月の寒い時期に込められている季語です。
2月の昔の呼び名である和風月名を、
はがきや手紙の季語にして書き出しに使うと、
ひと味違った風流な時候の挨拶文になります。
2月の季語
晩冬(ばんとう)の候
残寒(ざんかん)の候
春寒(しゅんかん)の候
向春(こうしゅん)の候
梅花(ばいか)の候
立春(りっしゅん)の候
早春(そうしゅん)の候
余寒(よかん)の候
雨水(うすい)の候
2月の季語の読み方ですが、候は「こう」と読みます。
「日本のバラ」と賞され、洋の東西を問わず多くの人に愛されてきた椿。
気品高い花ですが、控えめなことに香りがありません。
の肺を病む『椿姫』の主人公のマルグリットが、
身につけていたのも、その理由からかもしれません。
椿の原産地:日本
花言葉「控(ひか)えめな美しさ」
椿は、万葉の昔から愛(め)でられてきた花で、
江戸時代には栽培ブームがおこり、各地で新品種が次々作出されました。
17世紀末にはヨーロッパに渡り、
18世紀初頭にはパリの社交界でも大流行したそうです。
形も、一重、八重、千重、唐子咲き。
色も、白、赤、ピンク、絞り。
侘助(わびすけ)のような小輪のものから、
直径15センチにもなる大輪種までたくさんの種類があり、
現在栽培されている園芸品種の数は200以上といわれています。
日本人と椿の関係は古く、五千年前にさかのぼるといわれています。
福井県鳥浜遺跡から出土した縄文(じょうもん)時代の
斧(おの)や、櫛(くし)が、椿の木で作られていたというのです。
実からとれる「椿油」も、広く利用されてきました。
栽培の歴史も古く、それだけに、品種は大変な数にのぼります。
花はもちろんのこと、濃い緑のつややかな葉も賞美しました。
語源も、光沢があるという意味の古語「つば」からという説や、
「艶葉木(つやはき)」「厚葉木(あつはき)」「光葉木(てるはき)」
「寿葉木(つばき)」など、葉による説がほとんどです。
16世紀にはヨーロッパにも伝えられ、椿の花は、
「日本の薔薇(ばら)」と呼ばれて、もてはやされたそうです。「椿」という字は国字です。
中国にも同じ字がありますが、これは別の木、
センダン科のチャンチンを指すそうです。よく思いがけない出来事のことを「椿事(ちんじ)」と書きますね。
これは、『荘子』の中に、「椿=チャンチン」が珍しい霊木(れいぼく)として
登場するところからきた言葉。
つまり、日本の椿とは関係ないということです。
引用
書名「花の日本語」
著者「山下景子」
出版社「幻冬舎」
冬の寒い中、
春の到来を告げるように咲く椿の花。
冷たい風に吹かれても、
凛として咲いている姿には、どこか気高さを感じる花です。
2月の二十四節気:大寒・立春・雨水
2月のはがきの時候の挨拶は、
上旬、中旬、下旬によっても違ってくるので、
それぞれ例文を交えて2月の季語の
はがきや手紙の書き方をご説明します。
まずは、はがきや手紙を出す日がいつごろか把握しましょう。
その上で、
以下に記載している2月の二十四節気の、
どの時期の季語に該当するかを確認しましょう。
大寒(だいかん) :1月20日頃~2月3日頃
立春(りっしゅん):2月4日頃~2月18日頃
雨水(うすい) :2月19日頃~3月6日頃
暖冬や冷夏があるように、
季節もその年によって移り変わる時期はさまざまです。
二十四節気の変わり目に「頃」としているのは、
その年によって季節感は異なるからです。
2月上旬の季語と時候の挨拶(大寒:1月20日頃~2月3日頃)
大寒(だいかん)…
「暦便覧」には、
「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」とあります。
1年で最も寒く、各地で最低気温が記録されます。
北国では冬の盛りですが、南国では柳の芽吹きなど、
春の兆しが届けられる頃でもあります。
2月上旬のはがきや手紙の時候の挨拶には、
「晩冬の候」「酷寒の候」「大寒の候」などの季語が
ふさわしいです。
2月の時候の挨拶を述べる場合は、
なるべく冬の寒さを表現する季語にして、
その年の寒さの程度を考慮して選ぶのが良いでしょう。
そして、2月の時候の挨拶の後には、
相手の健康や安否を気遣う言葉を書きましょう。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係
・晩冬の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・残寒の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・春寒の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人
・福はうちの声もにぎやかな時節、お元気でいらっしゃいますか。
・余寒なお厳しい今日この頃、体調などくずしてはおられませんか。
・寒明けとは申しますが、まだまだ骨身にしみる寒さが続いております。
・節分も過ぎたとはいえ、
いまだ底冷えの残る毎日、いかがお過ごしでしょうか。
・早咲きの梅一輪にも心のはずむ今日この頃、
つつがなくお過ごしでいらっしゃいますか。
2月中旬の季語と時候の挨拶(立春:2月4日頃〜2月18日頃)
立春(りっしゅん)…
「暦便覧」には、「春の気たつを以て也」とあります。
日脚が伸び、
木々の枝には蕾が小さく音をたてるようにして芽吹き始め、
風も春の予感を感じさせる温(ぬく)もりを控えめに訴えてきます。
誰もが待ち焦がれる春来る日です。
2月中旬は、「立春」と呼ばれる季節に当たります。
「立春」とはだいたい2月4日から18日頃のことで、
寒さが少しゆるんだ春風が吹くこの時期を表します。
2月中旬のはがきや手紙の季語を使った時候の挨拶には、
「立春の候」「余寒の候」「春寒の候」の季語を使用すると良いでしょう。
2月上旬の季語は、
寒さがまだ厳しいような季語を使った時候の挨拶を使用しましたが、
2月4日以降からは使用せず、その時期に合った季語を使用するのが
一般的です。
2月は通常、冬の真只中ですが、旧暦ではすでに春を迎えています。
2月中旬の時候のはがきや手紙の挨拶は、
春の始まる様子や、冬の厳しい時期を乗り越えた季語の表現が多いことから、
2月の季語だけを見ると違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係
・立春の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・余寒の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・春寒の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人
・春風待ち望む今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
・寒のもどりの激しいこの頃ですが、いかがお過ごしですか。
・二月もなかばとなり、日脚が徐々に伸びてまいりました。
・風花舞う向春のみぎり、春らしい春まではもうしばらくの辛抱です。
・梅一輪一輪ずつの暖かさと古句に申しますが、
春の待ち遠しい時節となりました。
2月下旬の季語と時候の挨拶(雨水:2月19日頃~3月6日頃)
雨水(うすい)…
「暦便覧」には、
「陽気地上に発し、雪氷溶けて雨水となれば也」とあります。
2月19日からは、二十四節気は「雨水」と言われ、
降る雪が雨となり、大地を覆う氷はせせらぎとなる時季です。
2月下旬は、
日脚が伸び、風がぬるみ、少しずつ春の気配が濃くなる時期です。
雪が雨に変わり、氷が解け始めて春の気配は歩みを強めます。
一方で、雪国の深雪は居座り続け、
関東を中心に太平洋側では春の訪れを、
ためらわせるような雪を降らせる時期でもあります。
2月は雪解け水が大地を潤し、
古来、農作業の準備をはじめる目安にしてきました。
「はじめる」という響きは、どこかワクワク、ドキドキします。
見るだけでも春を感じそうな2月にあった季語を使用しましょう。
2月のはがきや手紙の季語の時候の挨拶として、
「向春の候」「梅花の候」「三寒四温の候」といった
季語を使用すると良いでしょう。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係
・向春の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・三寒四温の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・梅花の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
2月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人
・縁側の日だまりに、心なごませる今日この頃です。
・寒のもどりの激しいこの頃ですが、いかがお過ごしですか。
・二月もなかばとなり、日脚が徐々に伸びてまいりました。
・風花舞う向春のみぎり、春らしい春まではもうしばらくの辛抱です。
・梅一輪一輪ずつの暖かさと古句に申しますが、
春の待ち遠しい時節となりました。
2月の時候の挨拶:結びの言葉
2月のはがきや手紙の結びの言葉は、
2月の季語に合わせた挨拶を入れたあと、
「油断されませんようご自愛ください。」「ご自愛専一に。」
「お身体にお気をつけください。」などの言葉で結びます。
2月の時候の挨拶:結びの言葉(ビジネス関係)
・向春の候、ご自愛専一に、益々ご活躍ください。
・梅花の候、貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
・季節の変わり目ですが、くれぐれもご自愛ください。
貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
・末筆ながら、貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。
・末筆ながら、一層のご躍進のほどご祈念申し上げます。
まことに略儀ではございますが、書中をもちまして
ご通知申し上げます。
・時節柄、くれぐれもご自愛ください。
今後とも、よろしくご指導のほどをお願い申し上げます。
社員皆々様には一層のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
・これからもご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申しあげます。
2月の時候の挨拶:結びの言葉(親しい人)
・これから寒のもどりもございます。
油断されませんようご自愛ください。
・本格的な春の近いことを励みに、
もうしばらくの寒さを乗り切りましょう。
・寒さの中にも春の兆しが感じられる昨今、
どうぞお健やかにお過ごしください。
・梅の便りが聞かれる昨今、
皆々様の益々のご健勝を心よりお祈りいたしております。
・三寒四温の時節柄、
どうかご自愛専一にてますますのご活躍をお祈り申し上げます。
2月の時候の挨拶を使った「余寒お見舞い」例文
余寒お伺い申し上げます。
名ばかりの春ですが、
そちらは今もなお雪が降っているのではないでしょうか。
正月には一家で大変お世話になり、
大変ありがとうございました。
おかげさまで、ふるさとの味を楽しませて頂きました。
やはり、故郷はいいですね。
風邪が流行っています。
どうぞ風邪とは仲良しになられませんように、
お元気にお過ごしくださいませ。
桜が咲くころになりましたら、一の坂川をご案内しますので、
皆様おそろいで、今度は山口の方にも遊びにいらしてください。
お待ち申し上げています。
本格的な春の近いことを励みに、
もうしばらくの寒さを乗り切りましょう。
まとめ
この記事では、2月に使える時候の挨拶と結びの言葉をご紹介しました。
2月は、
寒さの中にも、春の気配がほんのりと感じられる季節です。
草木も動物たちも、そして私たちも、
目覚めの季節へのウォーミングアップを始めるタイミングです。
はがきや手紙の文章を書くときは、
2月ならではの季語を入れた趣のある、
時候の挨拶を届けられたらいかがでしょうか。