手紙やメールの書き出しに迷うこと、ありませんか?
日本の手紙文化では「時候の挨拶」が大切とされますが、実は一年中使える便利な表現も多くあります。
本記事では、季節を問わず使える定番フレーズから、ビジネス・プライベート別の実例、時候の挨拶を省略できるケース、さらには2025年版の最新表現までを網羅。
書き出しの悩みをスパッと解決する、保存版ガイドです。
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目次
時候の挨拶って必要?その意味と使いどころ
「時候の挨拶」とは?|手紙やメールで使われる慣用表現
手紙やメールの冒頭でよく使われる「時候の挨拶」。
これは、日本ならではの文化で、季節の移ろいを感じさせる定型表現です。
例えば「春暖の候」「晩秋の候」といった表現は、文書の印象を柔らかくし、丁寧な印象を与える効果があります。
日本独自の文化であり、相手に対して礼儀を尽くしつつ、季節の変化に共感を示す大切な表現でもあります。
フォーマルな手紙やビジネス文書だけでなく、親しい人への便りにも使われ、文章に温かみや上品さを添える役割を果たします。
なぜ日本では季節の挨拶が重視されるのか
日本では自然との共生を大切にする文化が根づいており、季節感のある挨拶は相手への心配りや礼儀の一部とされています。
こうした背景から、特にビジネス文書では「季節の挨拶→本題」の流れが一般的です。
日本語には「相手との距離を縮めるための挨拶文化」が根づいています。
特に時候の挨拶は、季節の移ろいに寄り添う言葉として、相手への思いやりや品格を表現する手段でもあります。
季節が不明な相手やビジネスメールでも役立つ理由
相手の住んでいる場所がわからない場合や、やり取りが頻繁なビジネスメールでは、具体的な季節感を避けた時候の挨拶が便利です。
「梅雨の季節となりましたが、お変わりございませんか」など柔らかい表現が活躍します。
相手の住む場所や時差が不明なときでも、「通年使える表現」があれば安心です。
ビジネスでも全国・海外へ発信する機会が増えた今、季節にとらわれない時候表現は重宝されます。
通年で使える!定番の時候の挨拶フレーズ集
ビジネス向け|失礼のない丁寧な書き出し例
- いつもお世話になっております。
- 平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
- 皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
プライベート向け|親しみある柔らかい表現
- ご無沙汰しておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- お元気ですか?季節の変わり目ですのでご自愛ください。
- お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
季節に左右されない万能フレーズ一覧
手紙を書く際、日付や送付先の地域によって「季節感が合わない」と感じることがあります。
特に急ぎの連絡や、海外の相手に送る手紙では、季節に依存しない時候の挨拶が便利です。
ここでは、季節を問わず使える丁寧な表現を紹介します。
「いつも大変お世話になっております。」
「平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。」
「ご無沙汰しておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
実際の手紙例:季節感がないときの前文テンプレート
実際に手紙を書くとなると、どんな風に時候の挨拶を取り入れるべきか迷う方も多いでしょう。
ここでは、ビジネスシーンとプライベートで使える「季節に左右されない」挨拶を活用した例文をご紹介します。
拝啓 いつもお世話になっております。
早速ではございますが、〇〇の件につきまして下記の通りご報告申し上げます。
ご無沙汰しております。
お元気でお過ごしでしょうか。
こちらは皆、変わらず元気に過ごしております。
時候の挨拶は「省略してOK」な場合もある!
こんなときは入れなくても問題なし
- 【即レス・短文メール】「了解しました」「ありがとうございます」で済む連絡。
- 【事務的文書】請求書や見積書などに時候の挨拶は不要。
- 【親しい相手】LINE・SNS・友人とのやりとりでは「おつかれさま」「元気?」でOK。
判断フロー付き|使う・使わないの基準
▼
相手はビジネス相手ですか?
├─ YES → 用件はフォーマル(報告・依頼・挨拶)ですか?
│ ├─ YES → ✅【時候の挨拶を入れる】
│ └─ NO(事務的連絡・即レス要件) → ❌【不要】
│
└─ NO(プライベート) → 相手との関係は丁寧にすべき関係ですか?(目上・久しぶり)
├─ YES → ✅【時候の挨拶を入れる】
└─ NO(家族・親しい友人・SNSなど) → ❌【不要】
前文に入れるべき基本構成|4つのステップ
手紙には礼儀が求められますが、すべての文書に時候の挨拶を盛り込む必要はありません。
特に以下のようなケースでは、簡潔さを優先して省略することが一般的です。
ケース別|前文に含めるか判断するコツ
省略しても問題のないケース
LINEやメールなど即時性を求める連絡
トラブル対応やお詫びなど、主旨が明確なビジネス文書
何度もやり取りしている相手とのカジュアルな手紙
用途別!具体的な時候の挨拶フレーズ&例文集
手紙を書く際、日付や送付先の地域によって「季節感が合わない」と感じることがあります。
特に急ぎの連絡や、海外の相手に送る手紙では、季節に依存しない時候の挨拶が便利です。
ここでは、季節を問わず使える丁寧な表現を紹介します。
ビジネス編|上司・クライアント向け丁寧な表現
「いつも大変お世話になっております。」
「平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。」
「ご無沙汰しておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」
拝啓 向暑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。
プライベート編|友人や家族向けカジュアル例
ご無沙汰しております。
お元気ですか?
日ごとに暖かさが増してまいりました。
季節の変わり目、どうぞご自愛ください。
安否を気遣うときの一文
時候の挨拶の次は、相手の安否を気遣う言葉を書くのが一般的です。
なお、それに続けて、
「お蔭様で、私どもも元気で暮らしています」など、
こちらの安否を伝えることもあります。
お礼やお詫びを添えたいときの一文
前文の最後は、日頃お世話になっているお礼や
感謝の気持ち、お詫びを伝える言葉で締めくくります。
お見舞いや弔事メールでは省略が基本
お見舞い状やお悔やみ状、あるいは緊急の用件を伝える手紙では、
時候の言葉とあわせて、その次にくる前文もすべて省略します。
先方が明らかに喜ぶべき状態にないと分かっているお悔やみの手紙で、
「お元気にしていますか」「私どもは元気にしています」などといった
安否を尋ねる言葉や安否を伝える言葉も、前文をすべて省略します。
突然のご連絡、失礼いたします。
ご家族のお加減をお聞きし、心よりお見舞い申し上げます。
前略
このたびは、突然の病に倒れられご入院されたとのこと、
突然のことで驚いております。
ここに謹んでお見舞い申し上げます。
このたびの悲報を知り、
いまだに信じられない思いがしております。
心からお悔やみ申し上げます。
時候の挨拶フレーズ
時候の言葉は、手紙を出す時期や
そのときの気候によって、使い分けなければなりません。
しかし、ビジネス文書などでは、
季節を問わず年中使える時候の挨拶として、
「時下」を用いる場合があります。
時下とは、「このところ」「今現在」などの意味合いを持つもので、
春夏秋冬を問わず使うことができます。
月ごとの時候の挨拶を書きたい人は以下を参照してください。
遠方に住む方だと自分の住んでいるところとは
季節感が異なることもあります。
お相手の住む地域の季節感に合わせて時候の挨拶を選びましょう。
「時候の挨拶1月から12月までの季語と結び」をまとめています。
【時候の挨拶】季節を彩る季語と結びの言葉!1月~12月の例文総まとめ!
👇
ビジネス向け!相手を気遣う+αの一文
「時候の挨拶」に加えて、気遣いの一文を添えると、手紙に深みが出ます。
- ご自愛専一にてお過ごしください。
- ご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
- 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
前文を省略するケース
前文は、どのような手紙・ビジネス文書でも
必ず書くといったものではありません。
前文を書くかどうか迷った時は、以下を目安にしてください。
前文を書く場合
・目上の人に差し出す手紙
・前文がある手紙の返信
前文を省略可能な場合
・急用の手紙
・事務的な内容の手紙
・親しい人に宛てるはがきや手紙
・年賀状、寒中見舞い、暑中見舞いなど
・お見舞い(病気、けが、災害など)
・弔事(死亡通知やお悔やみ状、会葬のお礼など)
相手の安否を尋ねる挨拶
前文の最初は、相手の安否を尋ねる言葉を使います。
・いかがお過ごしでしょうか。
・ご様子はいかがですか。
・お健やかにお過ごしでしょうか。
・ご無沙汰しておりますが、お元気ですか。
・皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
・お障りなくお暮らしでございましょうか。
・相変わらずお達者にお暮らしでしょうか。
感謝を伝える挨拶
前文の最後は、日ごろお世話になっていることのお礼や、
感謝の気持ち、お詫びを伝える言葉で締めくくります。
・日ごろは何かとお世話になり、ありがとうございます。
・いつもお心にかけていただき、まことに恐縮です。
・先月お伺いした際は、大変お世話になりました。
・先日は心のこもったおもてなしをいただき、ありがとうございました。
・常々ひとかたならぬご芳情をたまわり、深謝申し上げます。
・平素から温かいご厚情をたまわり、心より感謝いたしております。
・過日はご多忙中にもかかわらず、お力添えをたまわり、
誠にありがとうございました。
お詫びを伝える挨拶
・ご無沙汰ばかりで申し訳ありません。
・久しくお便りも差し上げず、大変失礼いたしました。
・長らくご無音いたしましたことをお詫び申し上げます。
・雑事にとりまぎれご無沙汰を重ね、心苦しく存じます。
・先日は長居をしてしまい、申し訳ございませんでした。
・このたびはご返信が遅れ、大変申し訳ありません。
・いろいろとお手数をおかけしており、恐縮に存じます。
その他の挨拶
面識のない相手に送る手紙では、
時候や安否に関する言葉は省略し、頭語の後に以下のような言葉を続けます。
面識のない人への挨拶
返信の挨拶
返信の場合は、手紙を受け取ったことを伝えます。
時候の言葉などは、状況により省略しても問題ありません。
・お手紙ありがとうございました。
・お便り、うれしく拝見いたしました。
・お手紙ありがとう。
懐かしく、うれしい気持ちで胸がいっぱいになりました。
・本日、お便りを拝受いたしました。
・○月○日付のご書面、確かに拝受いたしました。
・このたびはご丁重なご書面をいただき、恐縮に存じます。
・ご芳書を拝受し、感謝申し上げます。
結びの挨拶
結びの挨拶も、季節の表現を入れるものですが、
オールシーズン季節に関係なく使える表現も多くありますので覚えておきましょう。
・くれぐれもお体を大事になさって下さい。
・ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
・○○様のご健康をお祈りしつつ、お礼申し上げます。
・末筆ながら、ますますのご多幸をお祈り申し上げます。
・時節柄お風邪などひかれぬようご自愛下さい。
コロナ禍・2025年に対応した最新の書き出し表現
「健康を気遣う」現代的な言い回し例
・新緑がまぶしい季節となりましたが、気温差の激しい日々が続いております。
皆さまにはお変わりなくお過ごしでしょうか。
・コロナ禍はひとまず落ち着きを見せているとはいえ、
引き続き体調管理には気の抜けない日々かと存じます。
ご多忙の中、ご自愛くださいませ。
社会状況に合わせた配慮あるフレーズ
・これまでの長いコロナ禍の影響で、
御社のお仕事にもさまざまなご苦労があったこととお察しいたします。
状況が少しずつ好転している今、今後のご活躍をますます楽しみにしております。
よくある疑問Q&A|メールや海外宛ての対応など
時候の挨拶は慣れないと難しく感じるものです。
ここではよくある疑問をQ&A形式で解決します。
Q1:時候の挨拶は絶対に必要?
A: 必須ではありませんが、ビジネス文書や改まった手紙では入れるのが望ましいです。
簡潔な文章で代用しても構いません。
Q2:季節感がズレる地域への配慮は?
A: 季節に触れない表現を使うか、相手の地域に合わせた気候に配慮した言葉を選びましょう。
Q3:メールでどこまで時候の挨拶を書くべきか?
A: 丁寧なビジネスメールでは効果的ですが、カジュアルなやり取りでは省略しても問題ありません。
実例|季節に関係ないビジネスのお礼状テンプレ
お中元のお礼文(季節問わず使える形式)
謹啓 貴社におかれましては時下ますますご繁栄のことお慶び申し上げます。
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は大変結構なお品物をご恵贈頂きまして誠にありがとうございました。
社員一同大変喜び、おいしく頂きました。
暖かいお心遣いに感謝申し上げます。
今後も変わらぬお付き合いの程をよろしくお願いいたします。
猛暑の折、皆様のご無事息災を心よりお祈りいたしております。
敬具
まとめ
この記事では、季節に関係なく使える時候の挨拶をご紹介しました。
時候の挨拶は「ちょっとした気遣い」ですが、受け手に安心感や温かみを与える日本ならではの美しい文化です。
シーンに応じて柔軟に使い分け、ぜひ相手とのより良い関係づくりに役立ててください。