この記事では、
11月に使える時候の挨拶と結びの言葉をご紹介します。

ビジネス関係と親しい人に出す、
11月の時候の挨拶と結びの言葉の例文もご参考ください。

山々が赤や黄色に染め上がるなか、11月は木枯らしが寒さを運んできます。

秋の終わり。
そして冬のはじまりの景色に感傷を覚える11月。

11月上旬の季語の二十四節気は「霜降(そうこう)」。

11月はいよいよ秋も深まり、草木に降りる露(つゆ)も、
いつの間にか冷たさを増している、ということからの季語です。

11月の朝夕の冷え込みは、涼しさというよりも肌寒さを感じます。

11月のはがきや手紙を送る相手に、
紅葉の景色を楽しみながらも、本格的に寒くなる、
冬の季節を感じさせる季語を使った時候の挨拶を使用しましょう。

そして、
11月の時候の挨拶の後には、
相手の健康や安否を気遣う言葉を書きましょう。

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11月の異称・霜月(しもつき)

旧暦11月の異称でもある、
季語の「霜月」は、文字通り霜が降りる月。

本格的に寒くなり、
平野部にも霜が降りる頃からこの名前がつきました。

そのほかにも11月の異称には、
1年の農事を終えた里の人々が、神様にささげる神楽(かぐら)を
奉納してきたことから「神楽月(かぐらづき)」と呼ぶ季語もあります。

他にも「雪待月」や、「風寒(ふうかん)」。

出雲に行っていた神様たちがかえって来る月だから、
「神帰月(かみきづき)」などがあります。

旧暦でいえば、今は12月半ば。

霜が降る月です。

「霜」も、

この霜降月を省略したものだという説が、一般的です。

ところで、

霜を降らす女神のことを青女(せいじょ)というのだそうです。

日が昇れば、その光に溶けて、消えてしまう霜の花。

きっと、

寒い日に朝早く起きた人だけへの、

女神様からのプレゼントなのかもしれません。

その結晶の形から、

六つの花(むつのはな)と呼ばれる雪に対して、

霜(しも)を、三つの花と呼んだりもします。

11月の異称は、
他に神楽月(かぐらづき)、雪待月、風寒(ふうかん)、
神帰月…。

そう、出雲に行っていた神様たちも、帰ってくるのですね。

バラエティーに富んだ、11月の表情。

来るべき寒さに備えつつも、
その表情を楽しむことを、人々は忘れてはいませんね。



引用

書名「美人の日本語」

作者「山下景子」

出版社「幻冬舎」

11月の昔の呼び名である和風月名を、
はがきや手紙の季語にして書き出しに使うと、
ひと味違った風流な時候の挨拶文になります。

11月の季語と時候の挨拶

深秋(しんしゅう)の候

暮秋(ぼしゅう)の候

霜降(そうこう)の候

初霜(はつしも)の候

菊花(きっか)の候

時雨(しぐれ)の候

向寒(こうかん)の候

霜寒(そうかん)の候

霜秋(そうしゅう)の候

11月の季語の読み方ですが、候は「こう」と読みます。

11月に咲く花:烏瓜(からすうり)

烏瓜(からすうり)

晩秋の風景に、烏瓜の朱色の実は印象的です。

この果実の中の種の様子の形を、
古人は結び文に見立て「玉章(たまずさ)」とも呼びました。

花言葉はここからきたのでしょう。

夏の夜に咲くレースのような白い花も意外な美しさです。

花言葉

「よき便り」「深い語らい」

烏瓜(からすうり)は、つる性の多年草です。

花は白くレースのような縁取りがあり、
属名もtrichos(毛の意)とanthos(花)からで花冠の縁取りに由来します。

雌雄異株。

果実は楕円形で10月頃、朱赤色に熟します。

この実は花材として用いる他、
カマキリの頭のような形の黒い種は鎮咳、
鎮痛(ちんつう)などの薬として使われます。

秋、枯れた蔓(つる)に、ひときわ鮮やかな朱色の実がぶらさがっています。

おもちゃの瓜のようなかわいい実。

この実を烏(からす)が好んで食べるから烏瓜(からすうり)。

また、

いつも枝に残っている様子を、烏の食べ残しに見立てての烏瓜。

ほかにもさまざまな説があるようです。

実の中にある種の形が、また変わっています。

昔の人には「結び文」に見えたようですね。

玉章(たまずさ)と呼ばれるようになりました。

「玉章」は、「玉梓(たまあずさ)」が変化したもの。

「玉」は美祢です。

手紙をたずさえた使者が、

梓の杖を持っていたことから、

「文(ふみ)」のことをこう呼ぶようになりました。

後には、主に「恋文」のことを指したそうです。

同じ由来で、結状(むすびじょう)とも呼ばれます。

やがて、夏の夜、

レースで編んだような純白の花を咲かせます。

昼間、

蕾を見ると、こんなに幻想的な花が咲くとは思いもよりません。

日が暮れると咲き、

朝になると、あの花が夢だったかのようにしぼんでしまうのです。

引用

書名「花の日本語」

作者「山下景子」

出版社「幻冬舎」

11月の二十四節気:霜降・立冬・小雪

11月のはがきの時候の挨拶は、
上旬、中旬、下旬によっても違ってくるので、
それぞれ例文を交えて11月の季語の
はがきや手紙の書き方をご説明します。

まずは、はがきや手紙を出す日がいつごろか把握しましょう。

その上で、
以下に記載している11月の二十四節気の、
どの時期の季語に該当するかを確認しましょう。

霜降そうこう)   :10月23日頃~11月6日頃

立冬(りっとう)   :11月7日頃~11月21日頃

小雪(しょうせつ):11月22日頃~12月6日頃

11月初旬の季語と時候の挨拶(霜降:10月23日頃~11月6日頃)

霜降(そうこう)…

「暦便覧」には、
「つゆが陰気に結ばれて、霜となり降るゆへ也」とあります。

秋も末、霜が降りることから「しもふり」ともいいます。

霜降の頃の朝は澄んだいい匂いがします。

11月上旬のはがきや手紙の時候の挨拶には、
「深秋の候」「暮秋の候」「霜降の候」などの季語がふさわしいです。

その年の11月の気温を考慮して、
はがきや手紙を書くと良いでしょう。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係

・深冷の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。

・暮秋の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。

・霜降の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人

・秋気身にしみる頃となりました。

・日だまりの恋しい季節となりました。

・街路のいちょうもすっかり黄金色に色づきました。

・菊の香り漂う霜月を迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか。

・暦の上でははや立冬となり、めっきり日脚も短くなってまいりました。

11月中旬の季語と時候の挨拶(立冬:11月7日頃~11月21日頃)

立冬(りっとう)…

「暦便覧」には、
「冬の気立ち初めて、いよいよ冷ゆれば也」とあります。

日脚が短くなり、北国では冬の気配に包まれる頃です。

時雨(しぐれ)の季節でもあり、
南国では深秋の時ですが、寒冷地では台地が固く凍(こお)り始めます。

11月中旬のはがきや手紙の季語と時候の挨拶には、
「初霜の候」「菊花の候」「時雨の候」の季語を使用すると良いでしょう。

11月8日からの七十二候は、
「山茶花始めて開く(つばきはじめてひらく)」。

立冬の初候に登場する、
「山茶(つばき)」は、椿(つばき)ではなく、
ツバキ科の山茶花(さざんか)の事をさしています。

花の少ないこの11月の季節に、
人知れずそっと咲いて散っていく山茶花。

殺風景な11月の景色を、
可憐に彩ることから庭木としても好まれる花です。

季節の巡りにも、
時間差があるので、11月の季語だけを見ると、
違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係

・初霜の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。

・菊花の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。

・時雨の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人

・吐く息も白くなり、冬近しを感じております。

・遠くの山々がうっすらと冬化粧を始めています。

・襟元にマフラーの恋しくなる季節がやってきました。

・艶やかな錦繍の日々も過ぎ、いよいよ冬の到来となりました。

・枯れ葉も落ちつくし、木々の枝差しもあらわになってまいりました。

11月下旬の季語と時候の挨拶(小雪:11月22日頃~12月6日頃)

小雪(しょうせつ)…

11月22日からは、
二十四節気の季語は「小雪(しょうせつ)」。

東北南部や信越地方からは、そろそろ初雪の便りが届きます。

「暦便覧」には、
「冷ゆるが故(ゆえ)に雨も雪となりてくだるがゆへ也」とあります。

寒さは増しますが、雪はまだ大ならず、で小雪といいます。

北風が木の葉を翻(ひるがえ)し、
山では雪が降り積もって眠る準備に入ります。

本格的は冬はもうすぐそこまで来ています。

かつては、
先人の経験や言い伝えが天気予報のよりどころでした。

とくに北国の人々にとって雪は大きな関心事。

初雪や積雪量を、
自然のうつろいから読みとった証が言葉に残っています。

たとえば、
空を飛ぶと初雪が近いとされたのは、
アブラムシの一種である「雪虫(ゆきむし)」。

やはり初雪を知らせる、
蜘蛛(くも)もしくは蜘蛛の糸のみが、
空中に漂う現象は「雪迎え(ゆきむかえ)」。

「カマキリが高いところに産卵するその年は大雪になる。」
という言い伝えは、科学的に見ても信用に値するそうです。

11月下旬のはがきの季語の時候の挨拶として、
「向寒の候」「霜寒候」「霜秋の候」といった季語を
はがきや手紙に使用すると良いでしょう。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:ビジネス関係

・向寒の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。

・霜寒の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。

・霜秋の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。

11月の季語と時候の挨拶を使った例文:親しい人

・夜には湯たんぽを抱いて眠る季節がやってきました。

・散り敷いた落ち葉を北風が舞い上げる時節となりました。

・霜枯れの季節となり、冬の到来をいっそう間近に感じております。

・十一月も終盤を迎え、
 冬支度にあわただしくされていることと存じます。

・草木も露も霜へと変わり、
 冬の気配がいよいよ濃くなってまいりました。

11月の時候の挨拶:結びの言葉

11月のはがきや手紙の結びの言葉は、相手の居住地の状況や、
その年の11月の気温から、季節感のある季語を、
はがきや手紙に使いましょう。

11月の季語の挨拶を入れたあとに、
「どうかご自愛ください。」「お身体にお気をつけください。」
「つつがなくお過ごしください。」などの言葉で結びます。

11月の時候の挨拶:結びの言葉ビジネス関係)

・深冷の候、ご自愛専一に、益々ご活躍ください。

・向寒の折、貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。

・季節の変わり目ですが、くれぐれもご自愛ください。
 貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。

・末筆ながら、貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
 まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。

・末筆ながら、一層のご躍進のほどご祈念申し上げます。
 まことに略儀ではございますが、書中をもちまして
 ご通知申し上げます。

・時節柄、くれぐれもご自愛ください。
 今後とも、よろしくご指導のほどをお願い申し上げます。

・これからもご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 皆様のご健康とご多幸をお祈り申しあげます。
 社員皆々様には一層のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

11月の時候の挨拶:結びの言葉(親しい人)

・天候不順の折柄、どうぞおからだにお気をつけください。

・時雨の多い時節柄、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。

・これから朝の霜が日ごとに深まりますので、どうぞご用心ください。

・これから寒さに向かいますが、くれぐれもお身体をおいといください。

・ことのほか風も冷たく感じられるこの頃、
 ご家族の皆様にはつつがなくお過ごしください。

11月の時候の挨拶を使った「新築祝いのお礼状」例文

・草木の露も霜へと変わり、
 冬の気配がいよいよ濃くなってまいりました。

ご家族の皆様には、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。

先日は、
とても素敵な萩焼の花瓶をどうもありがとうございました。

ようやく荷物の整理も終わったので、
さっそく大好きなガーベラとバラの花を生けてみました。

花があると家の中がパッと華やいでいいですね。

コロナ禍で、外出もなかなか出来ませんでしたが、
もうそろそろ、コロナも落ち着いて来そうなので、
今度、ぜひ遊びにいらしてくださいませ。

泊まる部屋もありますので、
ゆっくりしていってくださいね。

十一月も終盤を迎え、
冬支度にあわただしくされていることと思います。

どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。

まずは書中にて御礼申し上げます。

まとめ

この記事では、
11月に使える時候の挨拶と結びの言葉をご紹介しました。

各地の紅葉を教えてくれる紅葉前線は、
日本列島の北から南へ、高地から平野部へと駆け抜けます。

相手にはがきや手紙が届く頃と、
その土地の11月の気候に合わせた季語や内容が、
一致するよう時候の挨拶を選んで書きましょう。

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よっちゃん
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・ビジネスで使える時候の挨拶
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