11月は紅葉が見頃を迎え、晩秋から初冬へと季節が移り変わる時期。
手紙やメールに添える「時候の挨拶」にも、この時期ならではの季語を使うと、相手に丁寧で温かみのある印象を与えることができます。
しかし「どんな表現がふさわしいのか」「ビジネスと親しい人向けでどう使い分ければよいのか」と迷う方も多いでしょう。
この記事では、11月にふさわしい時候の挨拶・季語・結びの言葉を詳しく解説し、ビジネス文書とプライベート向けに分けた例文を豊富に紹介します。
さらに、よくある疑問やNG表現もまとめましたので、11月の手紙やメールにすぐ役立つ実用的な一冊となっています。
1月から12月までの季節ごとに使える時候の挨拶を一覧で紹介。
手紙やメールで使える例文も豊富に掲載しているので、ビジネス・プライベート両方で参考にできます。
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【季節別一覧】時候の挨拶カレンダー|1月〜12月の手紙・メールで使える例文集
ビジネスシーンに特化した時候の挨拶フレーズと例文をまとめています。
取引先へのメールや上司への報告・依頼など、堅めの場面でそのまま使える正しい書き方を紹介。
信頼感を与える文章に仕上げたい方におすすめです。
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ビジネスメールで使える時候の挨拶と例文集|取引先・上司への正しい書き方
目次
- 1 11月の時候の挨拶とは
- 2 11月に使える季語・挨拶の表現
- 3 11月の結びの言葉
- 4 11月の時候の挨拶|例文集
- 5 11月の異称・霜月(しもつき)
- 6 手紙・メールでの書き方のコツ
- 7 NG表現集
- 8 11月に咲く花:烏瓜(からすうり)
- 9 よくある質問(Q&A)
- 9.1 Q1. 11月でも「紅葉の候」は使えますか?
- 9.2 Q2. ビジネスメールで「時候の挨拶」は必須ですか?
- 9.3 Q3. 季語が思いつかないときはどうすればいい?
- 9.4 Q4. 年末の挨拶と混同しないためのポイントは?
- 9.5 Q5. 「晩秋の候」と「初冬の候」はどう使い分ければいいですか?
- 9.6 Q6. 「霜月」という表現はフォーマルでも使えますか?
- 9.7 Q7. ビジネスメールでは時候の挨拶を省略しても失礼になりませんか?
- 9.8 Q8. 親しい友人に「時候の挨拶」は必要ですか?
- 9.9 Q9. 「夜長の候」はどんな場面で使えますか?
- 9.10 Q10. 11月下旬に「紅葉の候」を使うのは不自然ですか?
- 9.11 Q11. 季語や挨拶を間違えると失礼になりますか?
- 10 まとめ
11月の時候の挨拶とは
「時候の挨拶」とは、手紙やメールの冒頭で季節感を取り入れて書き出す決まり文句のことです。
相手に「季節を意識している丁寧な文章だな」という印象を与えることができ、ビジネス文書や礼状では特に重視されます。
11月は、暦のうえでは「立冬」を迎え、秋から冬への移り変わりを感じさせる表現が多く使われます。
紅葉や木枯らし、夜長などの自然を表す言葉がよく選ばれるため、季語をどう取り入れるかが大切です。
「時候の挨拶」とは何か
「時候の挨拶」とは、四季の移ろいを反映した日本独自の挨拶文です。
手紙の最初に添えることで、形式的な文章であっても柔らかく、親しみのある印象を与えられます。
例えば「春暖の候」「盛夏の候」といった表現が代表的で、11月であれば「晩秋の候」「立冬の候」がよく用いられます。
11月の季節感と特徴
11月は二十四節気で「立冬(11月上旬)」「小雪(11月下旬)」を含みます。
紅葉が見頃を迎え、秋の終わりと冬の始まりを感じさせる季節です。
そのため「紅葉の候」「夜長の候」「霜月の候」といった表現がぴったりです。
地域によって紅葉の時期が異なるため、相手の住む場所に合わせた言葉を選ぶとより自然です。
11月に使える季語・挨拶の表現
11月の時候の挨拶には、晩秋を表すものから冬を意識したものまで幅広い表現があります。
冒頭の書き出しにふさわしい季語やフレーズを知っておくと、どんな相手にも応じた手紙やメールが書けるようになります。
ここでは上旬・中旬・下旬に分けて使いやすい表現を紹介します。
11月上旬(立冬前後)に使える挨拶
- 「紅葉の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
- 「晩秋の候、朝夕の冷え込みが厳しくなってまいりました。」
- 「秋深き候、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのことと存じます。」
11月上旬に使える挨拶:ビジネス関係
・深冷の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・暮秋の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・霜降の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
11月上旬に使える挨拶:親しい人
・秋気身にしみる頃となりました。
・日だまりの恋しい季節となりました。
・街路のいちょうもすっかり黄金色に色づきました。
・菊の香り漂う霜月を迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか。
・暦の上でははや立冬となり、めっきり日脚も短くなってまいりました。
11月中旬(小雪の頃)に使える挨拶
- 「落葉の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
- 「木枯らしの候、日ごとに冬の訪れを感じるこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「夜長の候、心静かなひとときをお過ごしのことと拝察いたします。」
11月中旬に使える挨拶:ビジネス関係
・初霜の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・菊花の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・時雨の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
11月中旬に使える挨拶:親しい人
・吐く息も白くなり、冬近しを感じております。
・遠くの山々がうっすらと冬化粧を始めています。
・襟元にマフラーの恋しくなる季節がやってきました。
・艶やかな錦繍の日々も過ぎ、いよいよ冬の到来となりました。
・枯れ葉も落ちつくし、木々の枝差しもあらわになってまいりました。
11月下旬(初冬の始まり)に使える挨拶
- 「初冬の候、寒さも一段と厳しくなってまいりました。」
- 「小雪の候、時雨に冬の気配を感じる季節となりました。」
- 「霜月の候、皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」
11月下旬に使える挨拶:ビジネス関係
・向寒の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・霜寒の候、貴社いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。
・霜秋の候、貴社いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
11月下旬に使える挨拶:親しい人
・夜には湯たんぽを抱いて眠る季節がやってきました。
・散り敷いた落ち葉を北風が舞い上げる時節となりました。
・霜枯れの季節となり、冬の到来をいっそう間近に感じております。
・十一月も終盤を迎え、
冬支度にあわただしくされていることと存じます。
・草木も露も霜へと変わり、
冬の気配がいよいよ濃くなってまいりました。
汎用的に使える時候の挨拶一覧
- 「晩秋の候」
- 「立冬の候」
- 「初冬の候」
- 「落葉の候」
- 「霜月の候」
→ これらは11月全体を通して使える表現なので、迷ったときに便利です。
11月の結びの言葉
手紙やメールは、冒頭の挨拶だけでなく、最後の結びの言葉でも印象が変わります。
11月の結びには、寒さや年末の忙しさを気遣う表現を添えるのが基本です。
ここでは、ビジネス用と親しい人用に分けて紹介します。
11月の結びの言葉:ビジネス文書に適した結び
・深冷の候、ご自愛専一に、益々ご活躍ください。
・向寒の折、貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
・季節の変わり目ですが、くれぐれもご自愛ください。
貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
・末筆ながら、貴社の一層のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。
・末筆ながら、一層のご躍進のほどご祈念申し上げます。
まことに略儀ではございますが、書中をもちまして
ご通知申し上げます。
・時節柄、くれぐれもご自愛ください。
今後とも、よろしくご指導のほどをお願い申し上げます。
・これからもご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申しあげます。
社員皆々様には一層のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
11月の結びの言葉:親しい人への手紙に適した結び
・天候不順の折柄、どうぞおからだにお気をつけください。
・時雨の多い時節柄、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
・これから朝の霜が日ごとに深まりますので、どうぞご用心ください。
・これから寒さに向かいますが、くれぐれもお身体をおいといください。
・ことのほか風も冷たく感じられるこの頃、
ご家族の皆様にはつつがなくお過ごしください。
11月の時候の挨拶|例文集
実際の文例を知っておくと、手紙やメールにすぐ応用できます。
ここではビジネス・親しい人向け・年賀状前の挨拶に分けた例文を紹介します。
ビジネス向け例文
拝啓 晩秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
(本文)
年末に向けてご多忙の折とは存じますが、どうぞご自愛のうえ益々ご発展くださいませ。
敬具
親しい人向け例文
こんにちは。
紅葉が美しい季節になりましたね。街を歩くと落ち葉が舞い、秋の深まりを感じます。
(本文)
朝晩の冷え込みも強まってきたので、体調を崩さないように元気に過ごしてくださいね。
年賀状前のご挨拶に使える例文
拝啓 初冬の候、皆様お健やかにお過ごしのことと存じます。
(本文)
今年も残すところわずかとなりました。本年中のご厚情に心より御礼申し上げます。
来年も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
11月の異称・霜月(しもつき)
旧暦11月の異称でもある、
季語の「霜月」は、文字通り霜が降りる月。
本格的に寒くなり、
平野部にも霜が降りる頃からこの名前がつきました。
そのほかにも11月の異称には、
1年の農事を終えた里の人々が、神様にささげる神楽(かぐら)を
奉納してきたことから「神楽月(かぐらづき)」と呼ぶ季語もあります。
他にも「雪待月」や、「風寒(ふうかん)」。
出雲に行っていた神様たちがかえって来る月だから、
「神帰月(かみきづき)」などがあります。
11月の昔の呼び名である和風月名を、季語にして書き出しに使うと、
ひと味違った風流な時候の挨拶文になります。
👉【11月の和風月名!】霜月(しもつき)の意味と時候の挨拶|
手紙・メールでの書き方のコツ
11月の時候の挨拶を使いこなすには、ただ形式的に挿入するのではなく、本文や相手との関係性に合わせて自然につなげることが大切です。
ここでは3つのポイントを解説します。
季語と本文の自然なつなぎ方
例:「紅葉の候、貴社ますますご発展のこととお喜び申し上げます。さて、先日の件につきまして~」
→ 季語のあとに「さて」「ところで」を添えるとスムーズに本文へ移れます。
相手との関係性に応じた言葉選び
ビジネスでは「ご清栄」「ご発展」といった硬めの言葉が安心。
親しい相手には「体を温かくしてね」「風邪に気をつけて」と柔らかい表現を。
ビジネスメールに応用する場合の注意点
長い時候の挨拶はメールでは冗長になりがちです。
1行程度にまとめ、「いつもお世話になっております」との併用が無難です。
NG表現集
- 季節感に合わない表現(例:11月に「新緑の候」)
- ビジネス相手にカジュアルすぎる表現(例:「寒いですね~風邪ひいてませんか?」)
- 逆に親しい人に硬すぎる表現(例:「霜月の候、ますますご隆昌のことと…」)
11月に咲く花:烏瓜(からすうり)

烏瓜(からすうり)
晩秋の風景に、烏瓜の朱色の実は印象的です。
この果実の中の種の様子の形を、
古人は結び文に見立て「玉章(たまずさ)」とも呼びました。
花言葉はここからきたのでしょう。
夏の夜に咲くレースのような白い花も意外な美しさです。
花言葉
「よき便り」「深い語らい」
烏瓜(からすうり)は、つる性の多年草です。
花は白くレースのような縁取りがあり、
属名もtrichos(毛の意)とanthos(花)からで花冠の縁取りに由来します。
雌雄異株。
果実は楕円形で10月頃、朱赤色に熟します。
この実は花材として用いる他、
カマキリの頭のような形の黒い種は鎮咳、
鎮痛(ちんつう)などの薬として使われます。
よくある質問(Q&A)
11月の時候の挨拶については「紅葉はいつまで使える?」「ビジネスメールでは省略できる?」など、多くの方が迷うポイントがあります。
ここでは、実際の手紙・メールにすぐ活かせるように、よくある質問をQ&A形式で整理しました。
ビジネス・親しい人向けどちらにも対応できる具体例文付きですので、ぜひ参考にしてください。
Q1. 11月でも「紅葉の候」は使えますか?
はい。11月上旬から中旬にかけて自然に使えます。
紅葉の時期は地域差が大きく、北海道では10月末で終わることもあれば、関西以南では11月下旬まで見頃が続くこともあります。
相手の地域を意識することでより自然な文章になります。
<例文>
拝啓 紅葉の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
Q2. ビジネスメールで「時候の挨拶」は必須ですか?
必須ではありませんが、初めての取引先やお礼・依頼のメールでは効果的です。
通常のやり取りでは簡潔さが優先されますが、正式な案内や挨拶状メールには一文添えると丁寧な印象を与えられます。
<例文>
晩秋の候、貴社益々ご隆盛のことと拝察申し上げます。
Q3. 季語が思いつかないときはどうすればいい?
無理に難しい季語を探さず、「晩秋の候」「初冬の候」といったオーソドックスな表現を使うのが安心です。
具体的な自然描写(落葉・冷え込み・夜長など)を加えると、簡単でも印象深い挨拶になります。
<例文>
初冬の候、日ごとに寒さが増してまいりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
Q4. 年末の挨拶と混同しないためのポイントは?
11月は「晩秋」「紅葉」「初冬」など季節の移ろいを意識し、12月に入ったら「歳末」「師走」「年の瀬」など年の暮れを示す言葉を用いると自然です。
使い分けることで相手に「時期を意識している」という印象を与えられます。
<例文>
霜月の候、寒さも日ごとに増してまいりました。
年の瀬に向けてご多忙かと存じますが、どうぞご自愛ください。
Q5. 「晩秋の候」と「初冬の候」はどう使い分ければいいですか?
「晩秋の候」は秋らしさが残る11月上旬〜中旬に自然で、「初冬の候」は冬の訪れを感じ始める下旬に適しています。
ただし厳密に分ける必要はなく、どちらも11月全体を通して使用可能です。
<例文>
晩秋の候、木々の葉も色づきを増し、街並みに季節の深まりを感じます。
初冬の候、冷え込みが一段と厳しくなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
Q6. 「霜月」という表現はフォーマルでも使えますか?
はい。11月の旧暦名「霜月」は、ビジネス文書でも違和感なく使える便利な表現です。
やや格式高い響きがあるため、公式な案内状やご挨拶状にも適しています。
<例文>
霜月の候、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
Q7. ビジネスメールでは時候の挨拶を省略しても失礼になりませんか?
日常的な業務連絡では省略しても問題ありません。
むしろ本文にすぐ入ったほうが読みやすい場合が多いです。
ただし挨拶や感謝の意を伝えるメールでは、1文添えると格が上がります。
<例文>
いつもお世話になっております。
(本文)
※必要に応じて「晩秋の候」といった一文を追加可能。
Q8. 親しい友人に「時候の挨拶」は必要ですか?
必須ではありませんが、簡単な季節の一言を添えるだけで手紙らしさが出て、温かみが伝わります。
硬い表現ではなく、日常的な言葉で十分です
<例文>
紅葉が見頃ですね。街を歩くだけで秋の深まりを感じます。
Q9. 「夜長の候」はどんな場面で使えますか?
「夜長の候」は秋の夜が長く感じられる情緒を表す言葉です。
ビジネス文書でも使えますが、特に親しい人への手紙や趣味の集まりのお知らせなどに用いると、落ち着いた雰囲気が出ます。
<例文>
夜長の候、ゆったりと読書を楽しむ季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
Q10. 11月下旬に「紅葉の候」を使うのは不自然ですか?
地域によっては違和感があります。
関東以北では紅葉が散り始める時期のため「初冬の候」「落葉の候」と切り替える方が無難です。
ただし関西以南でまだ紅葉が残っていれば問題ありません。
<例文>
初冬の候、木枯らしに冬の訪れを感じる頃となりました。
Q11. 季語や挨拶を間違えると失礼になりますか?
大きな失礼にはなりませんが、季節外れの表現は違和感を与えます。
迷ったときは「晩秋の候」「初冬の候」「霜月の候」といった無難な表現を選ぶのが安心です。
<例文>
晩秋の候、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
まとめ
11月の時候の挨拶は「晩秋」「初冬」「紅葉」など季節の移り変わりを意識した表現が基本です。
ビジネスでは格式を守った硬めの文章を、親しい人には温かみのある言葉を選びましょう。
例文をそのまま使っても良いですが、相手やシーンに合わせて一言添えるとより印象に残ります。
「11月の時候の挨拶は紅葉や晩秋を中心に使いますが、12月の時候の挨拶はこちら で冬本番にふさわしい表現もチェックしておくと安心です。」

