教育実習が進んでくると、多くの実習生が不安になるのが研究授業です。
「研究授業って普通の授業と何が違うの?」
「指導教員以外の先生も見に来るの?」
「失敗したら評価が下がるのでは?」
このように感じている人も多いのではないでしょうか。
研究授業は、教育実習の中でも特に緊張しやすい授業です。指導案を作り、教材研究を行い、発問や板書、時間配分まで考えて授業を進める必要があります。
しかし、研究授業で大切なのは、最初から完璧な授業をすることではありません。
大切なのは、児童生徒の実態を考えて準備し、指導教員の助言を受け止め、授業後に改善点を学ぶ姿勢です。
この記事では、教育実習の研究授業とは何か、普通の授業実習との違い、準備の流れ、当日の進め方、反省会での対応まで、実習生向けにわかりやすく解説します。
目次
教育実習の研究授業とは?
教育実習の研究授業とは、実習中に行う授業の中でも、特に準備を重ねて実施する授業のことです。
多くの場合、指導教員だけでなく、学年の先生、管理職、大学の先生などが授業を参観することがあります。
そのため、普段の授業実習よりも緊張しやすく、「失敗できない」と感じる実習生も少なくありません。
ただし、研究授業は実習生を責めるための場ではありません。実習生がどのように教材を理解し、児童生徒にどう伝えようとしているかを見てもらい、今後の授業改善につなげるための学びの場です。
研究授業は実習中の成果を見せる授業
研究授業は、教育実習で学んできたことを授業という形で示す機会です。
たとえば、次のような力が見られます。
児童生徒の実態を理解しているか
本時の目標が明確か
発問が児童生徒の思考につながっているか
板書が授業の流れに沿っているか
時間配分を意識できているか
児童生徒の反応を見ながら授業を進めているか
つまり、研究授業では「うまく話せたか」だけが見られるわけではありません。
授業のねらい、準備の過程、児童生徒との関わり方、授業後の振り返りまで含めて見られます。
普通の授業実習との違い
普通の授業実習と研究授業の大きな違いは、準備の深さと参観者の多さです。
普段の授業実習では、指導教員が中心となって授業を見てくれることが多いです。一方、研究授業では、指導教員以外の先生や大学の先生が参観する場合があります。
また、研究授業では、指導案をより丁寧に作成し、授業の流れや発問、板書計画、評価の観点まで細かく確認することが多くなります。
ただし、授業の基本は普段の授業実習と同じです。
児童生徒に何を学ばせたいのか
どのように考えさせるのか
どこでつまずきそうか
最後に何を理解していればよいのか
このような点を整理して授業を組み立てることが大切です。
研究授業で見られるポイント
研究授業で見られるポイントは、授業の上手さだけではありません。
特に見られやすいのは、次のような点です。
授業の目標が明確であるか
児童生徒の実態に合った内容になっているか
導入からまとめまで流れが自然か
発問がわかりやすいか
板書が整理されているか
児童生徒の反応を見て対応しているか
時間配分を意識しているか
授業後に自分の課題を振り返れるか
研究授業では、緊張して言葉に詰まることもあります。予定通りに進まないこともあります。
しかし、その場で落ち着いて対応しようとする姿勢や、授業後に改善点を受け止める姿勢も大切に見られます。
研究授業の準備だけでなく、職員室での振る舞いや報告・相談の仕方まで不安がある人は、
「教育実習で失敗しない方法」を先に確認しておくと安心です。研究授業以外でも評価を下げやすい行動を避けやすくなります。
教育実習の研究授業の目的
研究授業の目的は、実習生を緊張させることではありません。
授業を通して、自分の指導の良い点と課題を知り、今後の成長につなげることが目的です。
教育実習は、教員としての第一歩を学ぶ場です。研究授業もその一つであり、授業を実際に行うことで、教科書を読むだけではわからない難しさや工夫を学びます。
授業力を確認するため
研究授業では、実習生が授業をどのように組み立て、どのように進めるかが確認されます。
たとえば、授業の導入で児童生徒の興味を引けているか、展開で考える時間を確保できているか、まとめで本時の学びを整理できているかが見られます。
ここで大切なのは、派手な授業をすることではありません。
授業の目標に向かって、児童生徒が少しずつ理解を深められる流れになっているかが重要です。
たとえば、算数の授業であれば、いきなり答えを教えるのではなく、
「前の時間に学んだことは何でしたか」
「この問題は、前の問題とどこが違いますか」
「どうすれば解けそうですか」
というように、児童生徒が考えられる発問を準備しておくと授業の流れが作りやすくなります。
児童生徒の実態に合わせた指導を学ぶため
研究授業では、児童生徒の実態に合った授業ができているかも大切です。
同じ教材でも、学年やクラスの状況によって進め方は変わります。
発言が活発なクラス
発表が苦手な児童生徒が多いクラス
理解の差が大きいクラス
集中が続きにくいクラス
このように、クラスの実態によって必要な支援は変わります。
たとえば、発表が苦手な児童生徒が多い場合は、いきなり全体発表を求めるよりも、まず隣同士で話し合う時間を入れると安心して考えやすくなります。
理解に差がある場合は、早く終わった児童生徒用の追加課題や、つまずいた児童生徒へのヒントを準備しておくと授業が止まりにくくなります。
研究授業では、教科内容だけでなく、目の前の児童生徒に合った授業を考えることが大切です。
指導教員から改善点を学ぶため
研究授業は、指導教員から具体的な改善点を学ぶ機会でもあります。
授業後の反省会では、良かった点だけでなく、改善すべき点も指導されます。
たとえば、次のような指摘を受けることがあります。
導入が長くなりすぎていた
発問が抽象的で児童生徒が答えにくかった
板書の文字が小さかった
活動の指示がわかりにくかった
まとめの時間が足りなかった
このような指摘を受けると落ち込むこともありますが、研究授業の目的は失敗を責めることではありません。
自分では気づけなかった課題を知り、次の授業に生かすことが大切です。
反省会では、言い訳をするよりも、
「ご指導ありがとうございます。次回は発問をより具体的にして、児童が答えやすい形に改善します」
「時間配分が甘かったので、次回は導入を短くし、まとめの時間を確保します」
というように、改善につなげる姿勢を示すと印象がよくなります。
教育実習の研究授業までの流れ
研究授業は、当日だけ頑張ればよい授業ではありません。
本番までに、単元の確認、指導案作成、教材研究、発問準備、板書計画、模擬授業などを進める必要があります。
ここでは、研究授業までの流れを時系列で解説します。
2週間前までに単元と授業内容を確認する
研究授業の準備は、できるだけ早く始めることが大切です。
まず確認したいのは、どの単元のどの時間を担当するのかです。
指導教員に、次の点を確認しましょう。
担当する教科
単元名
本時の位置づけ
前時までに学習している内容
次時につながる内容
クラスの実態
研究授業で重視したいポイント
この確認があいまいなままだと、指導案を書いても授業の軸がぶれてしまいます。
指導教員に確認するときは、次のように伝えると自然です。
例文
「研究授業に向けて準備を進めたいので、担当する単元と本時の内容を確認させていただいてもよろしいでしょうか。」
「本時の授業が単元全体の中でどの位置づけになるのか、教えていただけますでしょうか。」
「児童生徒の実態を踏まえて、特に意識した方がよい点があれば教えていただきたいです。」
早めに確認しておくことで、後から慌てずに準備できます。
1週間前までに指導案を作成する
研究授業では、指導案の作成がとても重要です。
指導案は、授業の設計図です。授業の目標、流れ、発問、児童生徒の反応、教師の支援、評価の観点などを整理します。
指導案に入れる主な内容は、次の通りです。
単元名
本時の目標
本時の展開
教師の発問
予想される児童生徒の反応
教師の支援
板書計画
評価の観点
準備物
指導案は一度で完成するものではありません。
最初に作った案を指導教員に見てもらい、修正を重ねながら完成させます。
研究授業の直前に初めて提出すると、修正する時間がなくなります。できれば1週間前までには一度見てもらうのが安心です。
指導案を提出するときは、次のように伝えると丁寧です。
例文
「研究授業の指導案を作成しました。お時間のあるときにご確認いただけますでしょうか。」
「発問と時間配分に不安がありますので、特にその点をご指導いただけますと幸いです。」
「児童生徒の実態に合っているか確認していただきたいです。」
研究授業では、指導案の完成度が授業の流れを大きく左右します。
「教育実習の指導案の書き方と例文」を読んでおくと、本時の目標、展開、評価の観点を整理しやすくなり、提出前の不安を減らせます。
数日前までに発問・板書・教材を準備する
指導案がある程度固まったら、発問、板書、教材を具体的に準備します。
授業中に何を聞くのか、児童生徒がどのように答えそうか、答えが出なかった場合にどう支援するかを考えておきます。
たとえば、発問は次のように段階を作ると授業が進めやすくなります。
気づかせる発問
考えさせる発問
比較させる発問
理由を説明させる発問
まとめにつなげる発問
具体例としては、次のような形です。
「この資料を見て、気づいたことはありますか。」
「前の問題と比べて、どこが違いますか。」
「なぜそのように考えましたか。」
「友達の考えと似ているところ、違うところはありますか。」
「今日の学習で大切だったことは何ですか。」
また、板書計画も必ず準備しておきましょう。
板書は、授業の流れを見える形にするものです。黒板に何を書くかを事前に考えておくと、授業中に迷いにくくなります。
教材やプリントを使う場合は、配布するタイミングも考えておく必要があります。
配るだけで時間がかかったり、児童生徒がプリントに集中して説明を聞けなくなったりすることもあります。
そのため、教材は「いつ」「何のために」「どのように使うのか」まで考えておきましょう。
前日に教具・配布物・時間配分を確認する
研究授業の前日は、新しいことを増やすよりも、確認を中心に行いましょう。
前日に確認することは、次の通りです。
指導案の最終版
プリントの枚数
教具や資料
板書計画
チョークやマーカー
掲示物
ICT機器を使う場合の動作確認
時計やタイマー
授業の時間配分
特に、配布物の枚数不足やICT機器の不具合は、当日の焦りにつながります。
プリントは予備を数枚用意しておくと安心です。
また、時間配分は細かく確認しておきましょう。
例
導入 5分
課題提示 5分
個人思考 10分
ペア・グループ活動 10分
全体共有 10分
まとめ 5分
このように大まかな時間を決めておくと、授業中に今どのくらい進んでいるかを確認しやすくなります。
当日は授業と反省会まで行う
研究授業の当日は、授業だけで終わりではありません。
授業後には、指導教員や参観した先生方との反省会が行われることがあります。
当日の流れは、一般的には次のようになります。
授業前の準備
研究授業の実施
授業後の片付け
自分の振り返り
指導教員や参観者からの助言
次回への改善点の整理
授業中に予定通り進まないことがあっても、焦りすぎる必要はありません。
大切なのは、児童生徒の反応を見ながら、できる範囲で落ち着いて進めることです。
また、反省会では、自分の授業を客観的に振り返る姿勢が大切です。
「緊張してうまくできませんでした」だけで終わるのではなく、
「導入に時間をかけすぎて、まとめの時間が短くなってしまいました」
「発問が広すぎて、児童が答えにくそうでした」
「次回は発問を具体的にし、活動時間を確保したいです」
というように、具体的に振り返ると学びにつながります。
研究授業前に準備すること
研究授業を落ち着いて進めるためには、事前準備が欠かせません。
準備不足のまま当日を迎えると、授業中に迷いが出やすくなります。
ここでは、研究授業前に特に大切な準備を解説します。
指導案を早めに作成する
研究授業の準備で最初に取り組むべきことは、指導案の作成です。
指導案は、ただ形式を埋めればよいものではありません。
授業の目標を明確にし、児童生徒がどのように学ぶのかを考えるためのものです。
特に、次の点は丁寧に考えましょう。
本時の目標は明確か
導入からまとめまで流れが自然か
発問が児童生徒の思考につながるか
つまずきへの支援が考えられているか
評価の観点が授業内容と合っているか
指導案を書くときは、まず完璧を目指しすぎないことも大切です。
最初から完成度の高いものを書こうとすると、手が止まってしまいます。
まずはたたき台を作り、指導教員に見てもらいながら修正していきましょう。
教材研究を深める
教材研究とは、授業で扱う内容を深く理解し、児童生徒にどのように学ばせるかを考えることです。
教科書を読むだけでは、教材研究としては不十分です。
次のような点まで考えると、授業の軸がはっきりします。
この単元で何を学ぶのか
本時で一番大切な内容は何か
児童生徒がつまずきやすいところはどこか
どのような発問をすれば考えやすいか
どの活動を入れると理解が深まりやすいか
たとえば、国語の授業であれば、本文を読ませるだけでなく、登場人物の気持ちの変化、根拠となる表現、児童生徒に考えさせたい問いを整理しておく必要があります。
算数であれば、答えを出す手順だけでなく、なぜその考え方になるのか、どこでつまずきやすいのかを考えておくことが大切です。
教材研究が浅いと、研究授業で発問やまとめがぶれやすくなります。
「教育実習の教材研究のやり方」を読んでおくと、教科書を読むだけで終わらず、児童生徒のつまずきや授業のねらいまで整理しやすくなります。
発問計画を立てる
研究授業では、発問の準備がとても大切です。
発問とは、児童生徒に考えさせるための問いかけです。
ただ「わかりますか」「どうですか」と聞くだけでは、児童生徒は答えにくくなります。
よい発問は、児童生徒が何を考えればよいのかが明確です。
たとえば、次のように具体的に聞くと答えやすくなります。
悪い例
「この文章についてどう思いますか。」
よい例
「主人公の気持ちが変わったとわかる言葉はどこにありますか。」
悪い例
「この問題はどうすればいいですか。」
よい例
「前に学習した方法の中で、この問題に使えそうな考え方はありますか。」
発問を準備するときは、児童生徒の答えも予想しておきましょう。
予想した答えに対して、どう返すかまで考えておくと、授業中に慌てにくくなります。
研究授業では、発問一つで児童生徒の反応が大きく変わります。
「教育実習の発問の作り方」を確認しておくと、答えやすい問い、考えを深める問い、まとめにつなげる問いを準備しやすくなります。
板書計画を作る
板書計画とは、授業中に黒板へ何をどの順番で書くかを考えた計画です。
研究授業では、板書が授業の流れを示す大切な役割を持ちます。
板書が整理されていると、児童生徒も参観者も授業の流れを理解しやすくなります。
板書計画で考えることは、次の通りです。
本時のめあてを書く位置
児童生徒の考えを書く場所
大切な言葉を強調する場所
まとめを書く位置
図や表を使うかどうか
板書がそのままノートに写しやすい形になっているか
特に、研究授業では黒板が文字でいっぱいになりすぎないように注意しましょう。
何でも書こうとすると、かえって大切なことが伝わりにくくなります。
「何を残すか」を決めておくことが大切です。
板書に自信がない場合は、「教育実習の板書のコツ」を読んでから板書計画を作ると、本時のめあて、児童生徒の考え、まとめの位置を整理しやすくなります。研究授業で黒板が乱れる不安を減らせます。
時間配分を決める
研究授業では、時間配分も重要です。
どれだけよい指導案を作っても、時間が足りなくなると、まとめまでたどり着けないことがあります。
特に実習生は、導入や説明に時間を使いすぎることがよくあります。
時間配分を考えるときは、次のように大まかに決めておきましょう。
導入は何分か
課題提示は何分か
個人で考える時間は何分か
話し合いの時間は何分か
発表の時間は何分か
まとめの時間は何分か
授業は予定通りに進まないこともあります。
だからこそ、「ここまでできればよい」という最低ラインも考えておくと安心です。
たとえば、時間が足りなくなった場合に、発表人数を減らす、話し合い時間を短くする、まとめを教師主導で整理するなど、調整方法を考えておくと落ち着いて対応できます。
模擬授業やリハーサルを行う
研究授業の前には、できるだけ模擬授業やリハーサルを行いましょう。
頭の中ではできると思っていても、実際に声に出してみると、説明が長くなったり、発問が言いにくかったりすることがあります。
リハーサルで確認したいことは、次の通りです。
導入の話し方
発問の言い方
板書を書くタイミング
プリントを配るタイミング
活動の指示の出し方
まとめの言葉
時間配分
特に、活動の指示は短くわかりやすくすることが大切です。
たとえば、
「今から3分間、自分の考えをノートに書きます。そのあと、隣の人と考えを伝え合います。」
このように、何を、何分、どのように行うのかを具体的に伝えると、児童生徒が動きやすくなります。
研究授業は緊張しますが、リハーサルをしておくことで、当日の不安を減らすことができます。
研究授業の当日の進め方
研究授業の当日は、準備してきたことを落ち着いて行うことが大切です。
参観する先生がいると緊張しますが、授業の中心はあくまで児童生徒です。
「先生方にどう見られるか」ばかりを気にすると、児童生徒の反応を見る余裕がなくなります。
当日は、指導案通りに進めることも大切ですが、目の前の児童生徒が理解しているかを確認しながら進めましょう。
授業前に教室環境を整える
研究授業の前には、教室環境を確認しておきます。
黒板が消えているか
チョークやマーカーは使えるか
掲示物が授業の妨げにならないか
プリントを配る場所は決まっているか
参観者の位置は授業の邪魔にならないか
ICT機器を使う場合は動作確認ができているか
教室に入ってから慌てると、授業前から気持ちが乱れます。
早めに教室へ行き、黒板、机の配置、教具、配布物を確認しておきましょう。
指導案・プリント・教具を確認する
授業前には、指導案、プリント、教具をもう一度確認します。
特にプリントは、枚数不足があると授業中に焦りやすくなります。
児童生徒の人数分だけでなく、予備を数枚用意しておくと安心です。
また、教具を使う場合は、どのタイミングで出すのかを決めておきましょう。
最初から机の上に出しておくと、児童生徒の注意がそちらに向いてしまうことがあります。
必要なときに出す、見せたらしまう、使い方を短く説明するなど、扱い方も授業の一部として考えておくことが大切です。
導入で本時のめあてを示す
授業の導入では、児童生徒が「今日は何を学ぶのか」を理解できるようにします。
導入が長すぎると、展開やまとめの時間が足りなくなります。
導入では、次の流れを意識すると進めやすくなります。
前時の確認をする
本時の課題につなげる
めあてを示す
学習の見通しを持たせる
たとえば、次のような声かけができます。
例文
「前の時間には、資料からわかることを読み取りました。今日は、その資料を比べながら、理由を考えていきます。」
「今日は、なぜこの答えになるのかを、友達の考えと比べながら考えていきましょう。」
「この時間のめあては、文章の中の言葉を根拠にして、登場人物の気持ちを考えることです。」
導入で本時のゴールが伝わると、児童生徒も授業に入りやすくなります。
展開では発問と活動の流れを意識する
展開では、発問と活動の流れを意識します。
研究授業では、準備した発問をすべて言おうとしてしまうことがあります。
しかし、児童生徒の反応によっては、発問を減らしたり、言い換えたりすることも必要です。
児童生徒が答えにくそうにしている場合は、次のように問いを小さくします。
例文
「どこを見れば考えられそうですか。」
「まず、わかっていることを確認しましょう。」
「似ているところを一つ探してみましょう。」
「理由までは言えなくても、どちらだと思うかだけ考えてみましょう。」
また、活動の指示は短く具体的に伝えます。
悪い例
「では、班で話し合ってください。」
よい例
「今から3分間、班で考えを出し合います。話し合うことは、資料Aと資料Bの違いです。終わったら、班で一つ発表できるようにしてください。」
何をするのか、何分行うのか、最後にどうするのかを伝えると、児童生徒が動きやすくなります。
まとめで学習内容を整理する
授業の最後には、本時で学んだことを整理します。
研究授業では、導入や展開に時間を使いすぎて、まとめが短くなることがあります。
しかし、まとめは授業のゴールを確認する大切な時間です。
まとめでは、次の点を意識しましょう。
本時のめあてに戻る
児童生徒の言葉を使って整理する
大切な考えを板書に残す
次の学習につなげる
例文
「今日のめあては、資料を比べて理由を考えることでした。どんな違いに注目すると考えやすかったですか。」
「今日の学習では、登場人物の気持ちは、会話文や行動から考えられることがわかりました。」
「次の時間は、今日考えたことをもとに、自分の考えを文章にまとめていきます。」
授業の最後に学びが整理されると、参観者にも授業のねらいが伝わりやすくなります。
時間が足りないときは無理に詰め込まない
研究授業では、予定より時間が足りなくなることがあります。
そのときに、無理にすべての活動を詰め込もうとすると、授業全体が慌ただしくなります。
時間が足りないと感じたら、優先順位を考えましょう。
たとえば、発表人数を減らす、話し合い時間を短くする、教師が要点を整理するなどの対応ができます。
大切なのは、本時の目標に関わる部分を残すことです。
予定通りに進まなくても、落ち着いて判断できれば、授業として大きく崩れにくくなります。
研究授業後の反省会の流れ
研究授業が終わった後には、反省会が行われることがあります。
反省会では、授業の良かった点や改善点について、指導教員や参観した先生方から助言を受けます。
反省会は緊張する時間ですが、研究授業の学びを深める大切な場です。
まず自分の授業を振り返る
反省会では、まず実習生自身が授業を振り返ることがあります。
このとき、「緊張しました」「うまくできませんでした」だけで終わらせないようにしましょう。
具体的に振り返ることが大切です。
例文
「導入では児童が反応してくれましたが、発問が広すぎて、展開の場面で答えにくそうにしていました。」
「個人で考える時間を取りましたが、全体共有に時間を使いすぎて、まとめが短くなってしまいました。」
「板書計画は立てていましたが、児童の発言を拾うことに集中して、黒板の整理が不十分になりました。」
このように、良かった点と課題を分けて話すと、反省会での印象もよくなります。
良かった点と改善点を聞く
反省会では、指導教員や参観者からさまざまな意見をもらいます。
良かった点を言われたら、素直に受け止めましょう。
改善点を指摘されたときも、言い訳をせずに聞く姿勢が大切です。
よくある改善点には、次のようなものがあります。
発問が抽象的だった
板書の文字が小さかった
児童生徒の反応を見る余裕が少なかった
活動の指示が長かった
まとめの時間が足りなかった
机間指導で見るポイントが明確でなかった
指摘を受けたときは、次のように返すと丁寧です。
例文
「ご指導ありがとうございます。発問が広すぎた点は、自分でも課題だと感じました。次回は児童が答えやすいように、問いを具体的に準備します。」
「板書の整理についてご指摘ありがとうございます。次回は、めあて、児童の考え、まとめの位置を事前により明確にしておきます。」
「活動の指示が長くなってしまったので、次回は何をするのかを短く伝えられるように準備します。」
反省会では、完璧な返答をする必要はありません。
大切なのは、指摘を受け止め、次に生かそうとする姿勢です。
指導された内容を記録する
反省会で受けた指導は、必ず記録しておきましょう。
その場では覚えているつもりでも、後から細かい内容を忘れてしまうことがあります。
記録しておきたい内容は、次の通りです。
良かった点
改善点
発問に関する指導
板書に関する指導
児童生徒への対応
時間配分
次回に向けた課題
特に、次の授業で改善できる内容は具体的に書いておくと役立ちます。
反省会で受けた指導は、そのまま実習日誌や観察記録に活用できます。
「教育実習の授業観察記録の書き方」を読んでおくと、何を書けばよいか分からない状態を防ぎ、評価されやすい記録を残しやすくなります。
次の授業にどう生かすかを考える
反省会で大切なのは、指導を受けて終わりにしないことです。
次の授業で何を改善するのかを考えることで、研究授業の意味が深まります。
たとえば、次のように整理できます。
発問が広すぎた場合
次回は「どこを見れば考えられるか」がわかる発問にする
板書が整理できなかった場合
めあて、児童の考え、まとめの位置を事前に決めておく
時間が足りなかった場合
導入を短くし、まとめの時間を必ず確保する
児童生徒の反応を見られなかった場合
机間指導で見るポイントを一つに絞る
反省会で厳しいことを言われても、それは次の成長につながる材料です。
研究授業は、できたかできなかったかで終わるものではありません。
授業を振り返り、次にどう改善するかまでが大切です。
研究授業で評価されやすい行動
研究授業では、授業の完成度だけでなく、準備や態度も見られます。
特に教育実習では、実習生として学ぶ姿勢が大切です。
早めに相談して準備している
評価されやすい実習生は、わからないことを早めに相談しています。
指導案が完成してから相談するのではなく、授業の方向性を考える段階で確認することが大切です。
例文
「研究授業の流れについて、現段階で一度ご相談してもよろしいでしょうか。」
「本時のめあての立て方に不安があります。児童の実態に合っているか見ていただけますでしょうか。」
「発問の順番について、授業の流れに無理がないか確認していただきたいです。」
研究授業前は、わからないことを一人で抱え込まず、指導教員に相談することが重要です。
「教育実習で指導教員に質問する例文」を読んでおくと、失礼にならない質問の仕方や相談のタイミングがわかり、研究授業の準備をスムーズに進められます。
児童生徒の反応を見ながら進めている
研究授業では、指導案通りに進めることだけに意識が向きがちです。
しかし、実際の授業では児童生徒の反応を見ることが大切です。
児童生徒が困っているのに予定通り進めてしまうと、理解が深まりにくくなります。
反対に、児童生徒の表情やノート、発言を見ながら進められると、授業として自然になります。
指導案と授業内容がつながっている
指導案に書いてあることと、実際の授業がつながっていることも重要です。
たとえば、指導案には「児童が考える時間を確保する」と書いているのに、実際は教師が説明し続けていると、授業のねらいと内容がずれてしまいます。
指導案は提出するためだけの書類ではありません。
授業を進めるための設計図として活用しましょう。
指摘を素直に受け止めている
研究授業では、改善点を指摘されることがあります。
そのときに言い訳が多いと、学ぶ姿勢が伝わりにくくなります。
たとえ自分なりに理由があったとしても、まずは指導を受け止めることが大切です。
例文
「ご指摘ありがとうございます。自分では気づけていなかった点でした。」
「次回はその点を意識して改善します。」
「具体的にどのように修正すればよいか、後ほど相談させていただいてもよろしいでしょうか。」
素直に受け止める姿勢は、教育実習全体でも大切です。
改善しようとする姿勢がある
研究授業で大切なのは、最初から完璧にできることではありません。
指導を受けた後に、どう改善しようとしているかが重要です。
たとえば、次の授業で発問を見直したり、板書を整理したり、児童生徒への声かけを工夫したりする姿勢が評価されます。
研究授業は、実習生の成長過程を見る場でもあります。
研究授業でやってはいけないNG行動
研究授業では、失敗そのものよりも、準備不足や態度によって印象が悪くなることがあります。
ここでは、特に避けたいNG行動を紹介します。
指導案の提出が遅い
指導案の提出が遅いと、指導教員が確認する時間がなくなります。
その結果、十分な修正ができないまま当日を迎えることになります。
研究授業の指導案は、一度で完成させるものではありません。
早めに提出し、指導を受けながら直していくことが大切です。
教材研究が浅いまま授業する
教材研究が浅いと、授業中に児童生徒の質問や反応に対応しにくくなります。
また、本時で何を学ばせたいのかがあいまいになり、授業全体の軸がぶれてしまいます。
教科書の内容だけでなく、児童生徒がどこでつまずきやすいかまで考えておきましょう。
発問や板書を準備していない
発問や板書をその場で考えようとすると、授業中に迷いやすくなります。
特に研究授業では、緊張して言葉が出にくくなることもあります。
主な発問や板書の流れは、事前に準備しておきましょう。
時間配分を考えていない
時間配分を考えていないと、導入が長すぎたり、活動時間が足りなくなったりします。
授業の最後にまとめができないと、本時の学びが整理されにくくなります。
研究授業では、まとめの時間を必ず確保できるように計画しましょう。
反省会で言い訳が多い
反省会で改善点を指摘されたとき、言い訳ばかりになると印象がよくありません。
もちろん、自分なりの意図を説明することはあります。
しかし、まずは指導を受け止めることが大切です。
「でも」「時間がなくて」「児童が思ったように動かなくて」と言い続けるよりも、
「次回はどのように改善すればよいか考えます」
と伝えた方が、学ぶ姿勢が伝わります。
研究授業で失敗したときの考え方
研究授業では、思い通りにいかないこともあります。
発問に反応が少なかったり、時間が足りなかったり、板書が乱れたりすることもあります。
しかし、研究授業での失敗だけで、すべてが決まるわけではありません。
研究授業は完璧さだけで評価されない
研究授業は、完璧な授業を見せる場ではありません。
実習生がどのように準備し、どのように授業を行い、どのように振り返るかを学ぶ場です。
もちろん準備は必要ですが、少し失敗したからといって、すぐに評価が大きく下がるとは限りません。
大切なのは、授業後に課題を理解し、次に生かそうとすることです。
大切なのは失敗後の受け止め方
研究授業でうまくいかなかったときは、まず原因を整理しましょう。
発問が難しかったのか
説明が長かったのか
活動の指示が不十分だったのか
時間配分に無理があったのか
児童生徒の実態に合っていなかったのか
原因を整理できると、次の改善点が見えてきます。
反省会では、次のように話すと前向きな印象になります。
例文
「本時では、発問が抽象的になり、児童が答えにくそうにしていました。次回は、考える視点が明確になるように問い方を修正します。」
「時間配分が不十分で、まとめの時間が短くなりました。次回は導入を簡潔にし、まとめの時間を確保します。」
「活動の指示が長くなってしまったため、児童が何をすればよいか迷っていました。次回は、手順を短く区切って伝えます。」
反省点を次の授業に生かす
研究授業で出た反省点は、次の授業に生かしてこそ意味があります。
たとえば、板書が見づらいと指摘された場合は、次の授業で黒板の使い方を見直します。
発問が難しいと指摘された場合は、次の授業で問い方を具体的にします。
反省点を一つでも改善できれば、それは成長です。
研究授業後に厳しい指導を受けて落ち込んだ場合は、「教育実習で怒られたときの立ち直り方」を読むことで気持ちを整理しやすくなります。怒られた経験を成長につなげる考え方や行動例も確認できます。
研究授業前のチェックリスト
研究授業の前日は、不安な気持ちになりやすいものです。
そのようなときは、やるべきことを一つずつ確認しましょう。
指導案は指導教員に確認してもらったか
指導案は、自分だけで完成させるのではなく、指導教員に確認してもらいましょう。
特に、本時の目標、発問、時間配分、評価の観点は見てもらうと安心です。
教材・プリント・教具は準備できているか
プリントは人数分だけでなく、予備も用意しておきましょう。
教具やICT機器を使う場合は、当日使える状態か確認しておきます。
発問と予想される生徒の反応を考えたか
発問だけでなく、児童生徒がどのように答えそうかも考えておきましょう。
答えが出ない場合のヒントも準備しておくと安心です。
板書計画を作ったか
黒板のどこに、何を書くのかを決めておきます。
めあて、児童生徒の考え、まとめの位置を事前に考えておくと、授業中に迷いにくくなります。
時間配分を確認したか
導入、展開、まとめにどれくらい時間を使うか確認しておきましょう。
特に、まとめの時間を残せるように意識することが大切です。
反省会で話す内容を考えたか
授業後の反省会では、自分の振り返りを話す場面があります。
事前に、次のような視点を持っておくと話しやすくなります。
うまくいった点
課題だと感じた点
児童生徒の反応
時間配分
次回改善したい点
研究授業が不安なときの対処法
研究授業の前に不安になるのは自然なことです。
緊張するのは、それだけ真剣に準備している証拠でもあります。
大切なのは、不安を抱えたままにせず、具体的な行動に変えることです。
不安な点を具体的に書き出す
まずは、自分が何に不安を感じているのかを書き出しましょう。
たとえば、次のように整理できます。
指導案に自信がない
発問がうまくできるか不安
板書が間に合うか不安
時間内に終わるか不安
反省会で何を言われるか怖い
不安を具体的にすると、対策も考えやすくなります。
指導教員に早めに相談する
不安なことがある場合は、指導教員に早めに相談しましょう。
相談するときは、「不安です」だけではなく、何に困っているのかを具体的に伝えるとよいです。
例文
「発問の順番に不安があります。児童が考えやすい流れになっているか見ていただけますでしょうか。」
「まとめの時間が足りるか不安です。時間配分についてご助言いただけますでしょうか。」
「板書計画を作ったのですが、授業の流れが見えやすいか確認していただきたいです。」
指導教員への相談が怖くて準備が進まない人は、「教育実習で指導教員が怖いときの考え方」を読んでみてください。相談しやすくなる考え方や、関係づくりのポイントを具体的に知ることができます。
授業観察で他の先生の進め方を見る
研究授業が不安なときは、他の先生の授業を観察することも役立ちます。
見るポイントを決めて観察すると、自分の授業に生かしやすくなります。
導入の入り方
発問の仕方
児童生徒への声かけ
板書の整理
活動の指示
時間配分
まとめ方
ただ見るだけではなく、「自分の研究授業で使えそうな工夫は何か」を考えながら観察しましょう。
完璧な授業を目指しすぎない
研究授業前は、完璧な授業をしなければならないと思いがちです。
しかし、実習生に求められているのは、ベテラン教師のような授業ではありません。
大切なのは、準備をして、児童生徒に向き合い、指導を受けて改善しようとする姿勢です。
研究授業前後に厳しい指導が続いて精神的につらい場合は、「教育実習で毎日怒られるときの対処法」も参考になります。気持ちの整理の仕方や大学へ相談すべきケースも確認できます。
教育実習の研究授業に関するFAQ
Q1. 研究授業で失敗したら評価は下がりますか?
研究授業で少し失敗しただけで、すぐに評価が大きく下がるとは限りません。
教育実習では、授業の完成度だけでなく、準備の姿勢、指導を受け止める態度、改善しようとする姿勢も見られます。
大切なのは、失敗した後に原因を整理し、次の授業にどう生かすかを考えることです。
Q2. 研究授業の指導案はいつまでに作るべきですか?
できれば研究授業の1週間前までには、指導案のたたき台を作って指導教員に見てもらうと安心です。
直前に提出すると、修正する時間が足りなくなります。
指導案は一度で完成させるものではなく、指導を受けながら改善していくものと考えましょう。
Q3. 研究授業では誰が授業を見に来ますか?
学校や大学によって異なりますが、指導教員、同じ学年の先生、管理職、大学の先生などが参観する場合があります。
ただし、参観者ばかりを意識しすぎる必要はありません。
授業の中心は児童生徒です。
目の前の児童生徒に向けて、落ち着いて授業を進めることが大切です。
Q4. 研究授業の反省会では何を話せばよいですか?
反省会では、授業の良かった点、課題、次回改善したい点を具体的に話すとよいです。
たとえば、次のように話せます。
「導入では児童が反応してくれましたが、展開で発問が広くなり、答えにくそうにしていました。次回は、考える視点がわかる発問に改善したいです。」
このように、できたことと課題を分けて話すと、振り返りが伝わりやすくなります。
Q5. 研究授業で緊張しない方法はありますか?
緊張を完全になくすのは難しいですが、準備によって不安を減らすことはできます。
指導案を早めに作る
発問を声に出して練習する
板書計画を作る
時間配分を確認する
教具やプリントを前日に準備する
当日は、参観者ではなく児童生徒を見ることを意識しましょう。
Q6. 研究授業と普段の授業実習は何が違いますか?
研究授業は、普段の授業実習よりも準備を丁寧に行い、指導教員以外の先生が参観することもある授業です。
指導案、教材研究、発問、板書、時間配分などをより細かく確認しながら進めます。
ただし、基本は普段の授業と同じです。
児童生徒に何を学ばせたいのかを明確にし、目の前の反応を見ながら授業を進めることが大切です。
まとめ|研究授業は準備と振り返りが大切
教育実習の研究授業は、実習中でも特に緊張しやすい授業です。
指導教員だけでなく、他の先生や大学の先生が参観することもあるため、不安を感じる実習生は少なくありません。
しかし、研究授業で大切なのは、完璧な授業を見せることではありません。
大切なのは、児童生徒の実態を考えて準備し、指導案、教材研究、発問、板書、時間配分を整えたうえで、落ち着いて授業に臨むことです。
当日は予定通りに進まないこともあります。
それでも、児童生徒の反応を見ながら進め、授業後の反省会で改善点を受け止めることができれば、研究授業は大きな学びになります。
一人で不安を抱え込まず、早めに指導教員へ相談しながら準備を進めましょう。
研究授業は、実習生として成長するための大切な機会です。