就職先を紹介していただいた場合、採用・不採用に関わらず、
感謝の気持ちを伝えるお礼状を送ることが大切です。
本記事では、お礼状の書き方やマナー、具体的な例文をご紹介します。
目次
就職先紹介へのお礼状とは
就職先の紹介は、人生の節目において大きなサポートです。
そのご厚意に対し、感謝の気持ちをしっかりと伝えるのが社会人としてのマナー。
ここでは、お礼状を書く意義や、どのようなタイミングで送るべきかについて解説します。
お礼状の重要性とタイミング
お礼状は単なる形式ではなく、人間関係を円滑に保ち、紹介者への信頼と感謝を表す大切な手段です。
送る時期を逃さないこともポイントです。
お礼状の基本構成とマナー
お礼状には、一定の型と礼儀があります。
感謝の気持ちが伝わるよう、言葉遣いや文体にも注意が必要です。
この章では、お礼状の基本構成やマナーを紹介します。
頭語・結語の使い方
日本の手紙には決まった「始まり」と「終わり」の挨拶があります。
お礼状では、特に丁寧な表現が求められるため、正しい使い方を押さえておきましょう。
時候の挨拶の選び方
お礼状の冒頭には、季節に応じた挨拶を入れるのが一般的です。
受け取る相手に心地よく感じてもらえるよう、適切な時候の挨拶を選びましょう。
採用された場合のお礼状例文
採用された場合は、紹介者に喜びと感謝を伝えるのが大切です。
立場や関係性に応じて文面を調整すると、より誠意が伝わります。
知人宛
親しい知人や先輩など、あまり堅すぎない関係の方には、礼儀を保ちつつも少し柔らかい文面が好まれます。
拝啓
春陽の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたびは就職先をご紹介いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで無事に内定をいただくことができました。
新たな職場でも精進してまいります。
まずは書中をもちましてお礼申し上げます。
敬具
本当に感謝しています。
〇〇さんのご紹介がなければ、今のチャンスは掴めませんでした。
再就職の紹介者宛
再就職の場合は、励ましや信頼に対して深い感謝を伝えることが大切です。
年齢や背景にふさわしい丁寧な文面が求められます。
拝啓 新緑の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは再就職にあたり、温かいご支援を賜り、誠にありがとうございました。
貴重なご縁をいただき、〇〇社より内定の通知を頂戴いたしました。
今後はご期待に応えられるよう、一層努力いたします。
略儀ながら書中をもちまして厚く御礼申し上げます。
敬具
一度は離職した自分に、再び希望をつないでくださったこと、心より感謝しております。
と、背景への言及が効果的です。
親が代筆する場合
就職が決まったお子さまに代わって親が代筆する場合、親の立場としての敬意と感謝をしっかり伝える必要があります。
拝啓
晩春の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
このたびは息子(娘)の就職に際し、温かいご助力をいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで〇〇社より内定を頂戴いたしました。
親として心より御礼申し上げます。
今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
敬具
まだまだ未熟な点が多くございますが、社会人として成長してくれるものと期待しております。
など、親心を込めた文面が好印象です。
不採用だった場合のお礼状例文
たとえ採用に至らなかったとしても、紹介者の行為に対する感謝は必ず伝えましょう。
誠意あるお礼状は、今後の信頼関係にもつながります。
父の友人宛
親の知人など、やや距離のある相手には、丁寧かつ控えめな言葉選びが求められます。
拝啓 盛夏の候、〇〇様におかれましては益々ご健勝のことと存じます。
このたびは就職に際し、ご紹介のお心遣いを賜り、心より感謝申し上げます。
結果としてご期待に沿えず恐縮ですが、真摯に受け止め今後の糧としてまいります。
略儀ながら書面にて御礼申し上げます。
敬具
ご縁には至りませんでしたが、貴重な経験となりました。
今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
など前向きな印象を残しましょう。
恩師宛
お世話になった先生には、感謝と今後への決意を織り交ぜた文面にすると誠意が伝わります。
拝啓
初秋の候、先生におかれましてはますますご清祥のことと拝察いたします。
このたびは就職先のご紹介を賜り、心より御礼申し上げます。
結果は残念ながら不採用となりましたが、今回の経験を活かして今後も努力してまいります。
今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
ご助言のおかげで多くの学びを得られました。
引き続きご指導いただけますと幸いです。
と加えるのも好印象です。

紹介先に決まった場合のお礼状 文例集
就職が決まった場合の知人宛お礼状の例文
拝啓 立秋の候、○○様におかれましては、
ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたびは、私の就職にあたり、
格別のお力添えをいただきまして、誠にありがとうございました。
おかげさまで、
本日、希望しておりました株式会社○○より、
就職内定の通知を頂くことができました。
今後は、
ご尽力を賜りました○○様のご期待に沿うことができますよう、
誠心誠意仕事に励んでまいる所存でございます。
引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながら、まずは書中をもちましてお礼を申し上げます。 敬具
令和○年○月○日
氏名 〇〇 〇〇
再就職を紹介してくれた方へのお礼状 の例文
拝啓 春暖の候、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度は、
私の再就職にあたり一方ならぬご尽力を賜りまして、
誠にありがたく心よりお礼申し上げます。
〇〇様のご紹介ということで、
人事のご担当者様も迅速にご対応いただき、
早くも本日採用のご連絡をいただき、
来月より正社員とて働くこととなりました。
これもひとえに〇〇様のご人徳のお陰と大変感謝しております。
これからは、ご紹介いただきました〇〇様のお名前を汚さぬよう、
一生懸命努力してまいる所存ですので、何卒、今後ともご指導
ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
早々にお伺いして、お礼のご挨拶を申し上げますが、
まずは書中をもってご報告とお礼を申し上げます 。 敬具
令和○年○月○日
氏名 ΟО ОΟ
息子の就職内定に際し、紹介者へのお礼状(親が代筆する場合)
拝啓 向春の候、
〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたびは、愚息・幸太郎の就職につきまして
ご懇篤なご尽力を賜り、厚くお礼申し上げます。
おかげ様で本日、商事会社〇〇から採用内定の通知が届きました。
第一志望の業界で堅実な経営を続ける会社ということで、
本人も心から喜んでおります。
本人には〇〇様のご恩に報いるためにも、
精一杯の精進を続けるよう言い聞かせております。
後日、本人同伴のうえ改めてお礼に伺う所存でございますが、
まずはささやかなお礼の品を別便にてお送りいたしますので、
ご笑納いただければ幸甚に存じます。
時節柄、皆様くれぐれもご自愛のほど、お祈り申し上げます。
まずは書中にて、ご報告かたがたお礼申し上げます。 敬具
令和○年○月○日
氏名 〇〇 〇〇
不採用でも感謝を伝える就職紹介者へのお礼状文例
書き方のポイント
就職先をお世話になったにもかかわらず、
不採用という結果に終わってしまったというケースもあり得ます。
お骨折りが無駄になったお詫びを丁寧にすることが大切です。
不首尾の原因については、事情のいかんにかかわらず、
自己責任によるという姿勢を示しましょう。
就職先の結果は思わしくなかったけれども、
その人のお力添えや、お口添えがあったからこそ、
その会社の人事の方と面会できた、ということを報告しましょう。
尽力していただいたことのお礼と感謝の意を表することが大切です。
父の友人から紹介された就職先に不採用だった場合のお礼状の例文
拝啓 初冬の候、
〇〇様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたびは、
私の就職に際しまして、ご多忙中にもかかわらず
親身なお世話をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様にはお力添えをいただきましたが、
残念ながら不採用という結果になりました。
私の力不足ゆえ、
〇〇様のお骨折りに報いることができず、誠に申し訳ございません。
日頃の努力不足を反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、
〇〇様のご恩に報いることができますよう精進してまいります。
引き続きご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
後日、改めてご挨拶にお伺いしたいと存じますが、
まずは書中にてお礼とお詫びを申し上げます。 敬具
令和○年○月○日
氏名 〇〇 ○○
恩師から紹介された就職先が不採用だった際のお礼状の文例
拝啓 新緑の候、○○様におかれましては、
ますます健勝のことと拝察いたしております。
さて、このたびは私の就職に際しまして
並々ならぬご尽力を賜り、心より御礼申し上げます。
結果は不採用とのこと。
ご多忙中にもかかわらずご尽力いただきましたのに
このような結果となり、誠に心苦しく、申し訳なく存じております。
日頃の努力不足を反省し、心よりお詫び申し上げます。
しかしあのような大きい会社の人事部長様に面接願えたのは、
ひとえに先生のお力添えあってのことと感謝しております。
先生にはご迷惑をおかけすることとなり本当に申し訳ありません。
このような結果にはなってしまいましたが、
貴重な体験をさせて頂いたと思っております。
心より御礼申し上げます。
今後共ご指導くださいますよう重ねて申し上げます。
時節柄お体大切にお過ごし下さいませ。 敬具
令和○年○月○日
氏名 〇〇 ○○
頭語・時候の挨拶・結語の例まとめ
手紙には頭語・時候の挨拶・結語といったルールが存在します。
それぞれの意味やルールを覚えておくことで、
お礼状を書く時にもすぐに利用することが可能です。
基本的な意味やルールを覚えて相手に失礼のないように心がけましょう。
頭語と結語
手紙は頭語にはじまり結語で終わります。
頭語とは、
「こんにちは」などの挨拶にあたる言葉。
結語とは、
「さようなら」「それではまた」といった挨拶にあたる言葉。
頭語と結語はセットで使うことがルールなので、
片方だけを手紙に書くことはできません。
また、
手紙を送る相手によって頭語を変える必要があるので、
相手との関係性を踏まえて頭語を選ぶようにしましょう。
手紙を出す相手や状況によって、表現の方法が異なるので、
しっかり調べてから書くようにしましょう。
・一般的な手紙を出す場合に使える頭語です。
「拝啓」「拝呈」「啓上」
面識のない相手にも送ることができるため、
手紙やはがきではよく使われる頭語のひとつです。
・より丁寧な手紙を出す場合に使われます。
「謹啓」「恭敬」「粛啓」
お客様や目上の方に使われることが多く、
改まった手紙やはがきにも利用されます。
・いずれも「頭語」に対して使用できる「結語」は決まっています。
一般的な手紙の場合
頭語「拝啓(はいけい)―結語「敬具(けいぐ)」
丁寧な手紙の場合 (目上の方に対して)
頭語「謹啓(きんけい)」―結語「謹白(きんぱく)」
時候の挨拶
時候の挨拶とは、
頭語の後に続く書き出しの言葉で、
「○○の候」「○○のみぎり」といった表現が一般的です。
短く表現した「漢語調」と
少し砕けた表現の「口語調」の2つの種類があります。
目上の方には「漢語調」親しい方には「口語調」と
使い分けることが多いようです。
1月の挨拶(例用例)
<漢語調>
初春の候、新春の候、迎春の候、厳寒の候、大寒の候、寒冷の候
<口語調>
正月気分も抜け、寒さ厳しき折から、厳しい寒さが続きますが
季節の移り変わりを伝え相手の健康を気遣う意味があり、
手紙やはがきに使用できる季節の言葉は時季によって異なります。
しかし、
季節を問わず年中使える時候の挨拶として、
「時下」を用いる場合があります。
時下とは、「このところ」「今現在」などの意味合いを持つもので、
春夏秋冬を問わず使うことができます。
(使用例)
「拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。」
月ごとの時候の挨拶を書きたい人は以下を参照してください。
お礼状を出すときの
「時候の挨拶1月から12月までの季語と結び」をまとめています。
👇
お礼の言葉 「頭語」「時候の挨拶」に続いてお礼をのべましょう
・引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
・これからは、ご紹介いただきました〇〇様のお名前を汚さぬよう、
一生懸命努力してまいる所存ですので、何卒、今後ともご指導
ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
・このような結果にはなってしまいましたが、
貴重な体験をさせて頂いたと思っております。
心より御礼申し上げます。
お礼の品を添える際のマナー
菓子折りの渡し方とマナー
お礼やご挨拶の際に、マナーとして知っておきたい菓子折り。
ここでは菓子折りの意味から学ぶ基本マナーと、
今すぐ用意できるおすすめのギフトをご紹介します。
お礼や挨拶シーンの場合は、他のお祝いに重ねることも多いので、
のしをつけるのがベター。
大きなお礼でない場合、簡易的な短冊のしを使うのがベストです。
表書きに「御礼」や「心ばかり」と追加しておくと、
嫌味にならず相手に良い印象を与えてくれるでしょう。
お礼やご挨拶の品の場合は、相手の負担にならないよう、
“気軽な値段”の菓子折りを選ぶのが吉。
贈る場合のおススメの品


まとめ
この記事では、
就職先を紹介していただいた時のお礼状の
マナーや注意点についてお伝えしました。
先方に
「紹介してよかった」と感じてもらえるよう、
丁寧な対応を心がけましょう。
しかし、就職先をお世話になったにもかかわらず、
不採用という結果に終わってしまったということもあり得ます。
ですが、その場合でも「お世話になった」という事実は変わりません。
採用・不採用にかかわらず、
結果の報告とお礼はマナーなので、すぐに手紙でお礼を述べましょう。
手紙を書くときに綺麗な手紙が書けずに悩んでいらっしゃる方がいたら、
別の記事で「きれいな手紙が書ける便箋と封筒」をご紹介しています。