この記事では、10月の和風月名を紹介します。
和風月名とは、
旧暦における12ヶ月各月の日本風の呼び方をいいます。
旧暦は新暦とは1ヶ月ずれていますが、
和風月名はそのまま残り、現在も10月は「かんなづき」。
というように使用されています。
四季があるだけで珍しいのにも関わらず、その四季の中にも
様々な季節があって名前があり、季語や時候の挨拶が変わる。
他の国にはなかなかないのではないでしょうか?
10月は読書にスポーツ、食べ物と秋を堪能する一か月です。
肌寒い空気のなかで夜空を見上げれば、
冴え冴えとした10月の月が美しい姿を見せてくれます。
十三夜(じゅうさんや)とは、旧暦9月13日のよるのこと。
9月の季語の「十五夜」の「芋名月」に対して、
「十三夜」は「栗名月」や「豆名月」と呼ばれます。
10月上旬の季語の二十四節気は「寒露(かんろ)」。
10月はいよいよ秋も深まり、草木に降りる露も
いつの間にか冷たさを増している、というのがその名のいわれです。
10月の朝夕の冷え込みは、
涼しさというよりも肌寒さを感じるようになります。
10月のはがきや手紙を送る相手に、
秋の実りや景色を感じることが出来る季語を使った
時候の挨拶を使用した方がよいでしょう。
そして最後に、10月のはがきや手紙の結びで、
相手の健康や安否を気遣う言葉を選ぶのが、
一般的によい書き方だと言われています。
目次
10月の和風月名:葉月の語源・由来
10月の昔の呼び名である和風月名を、
はがきや手紙の季語にして書き出しに使うと、
ひと味違った風流な挨拶文になります。
10月の季語で代表的な和風月名は「神無月(かんなづき)」。
10月を「神無月(かんなづき)」と呼ぶようになったのは、
男女縁結びの相談をするために全国の神々が出雲大社に集まって、
神々が留守にするから。
「神無月(かみなしづき)」になったという説が一般的です。
一方で、神々をお迎えする出雲地方では、
旧暦10月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。
また、10月は雷が鳴らなくなる月「雷なし月(かみなしづき)」。
翌日に新酒を醸(かも)す月だから「醸成月(かみなんづき)」、
「神嘗月(かんなめづき)」の意味であるという説も強いようです。
さらに、雅楽(ががく)の12律で音階を12の月に配したところ、
10月にあたったのが、「上無(かみむ)」という音だったことから、
「上無の月」が「神無月」になったという説もあります。
*出典
著者名: 「野呂希一」・「荒井和生」
書籍タイトル「暦の風景」
出版社名: 「青菁社」
10月の別名・異称
応章(おうしょう)・応鐘(おうしょう)・開冬(かいとう)
亥冬(がいとう)・神在月(かみありつき)・神去月(かみさりつき)
雷無月(かみなりづき)・吉月(きつげつ)・極陽(きょくよう)
玄英(げんえい)・建亥月(けんがいづき)・小春(こはる)
小春月(こはるづき)・小六月(ころくがつ)・呷月(こんげつ)
時雨月(しぐれづき)・小春(しゅしゅん)・上冬(じょうとう)
正陰月(せいいんづき)・大素(たいそ)・鎮祭月(ちんさいげつ)
初霜月(はつしもづき)・孟冬(もうとう)・陽月(ようげつ)
良月(りょうげつ)などがあります。
10月の花暦(はなごよみ)
コスモスとは、「飾り」という意味のギリシャ語です。
メキシコから日本に輸入されてから一世紀あまり。
こぼれ種でも気やすく咲く、
きわめて庶民的な花として花暦にもなりました。
コスモスには、「宇宙」の意味もあります。
倒れても倒れても根を出して力強く咲く、
「無限大の力」を表現したものなのでしょうか。
「大波斯菊(おおはるしゃぎく)」という異名もあります。
秋桜(こすもす)の花言葉は、「調和」「乙女の愛情」
10月の季語と時候の挨拶
秋冷(しゅうれい)の候・紅葉(こうよう)の候・秋分(しゅぶん)の候
寒露(かんろ)の候・夜長(よなが)の候・秋麗(しゅうれい)の候
紅葉(こうよう)の候・錦秋(きんしゅう)の候・霜降(そうこう)の候。
10月の季語の読み方ですが、候は「こう」と読みます。
10月上旬・中旬・下旬別!季語と時候の挨拶
10月のはがきや手紙の時候の挨拶は、
上旬、中旬、下旬によっても違ってくるので、
それぞれ例文を交えて10月の書き方をご説明します。
まずは、はがきや手紙を出す日がいつごろか把握しましょう。
その上で、以下に記載している10月の二十四節気の
どの時期の季語に該当するかを確認しましょう。
暖冬や冷夏があるように、
季節もその年によって移り変わる時期はさまざまです。
今の季節の10月は例年と比べて暖かいのか、
寒いのか、移り変わりの早さなどを考慮して、
はがきや手紙の季語と時候の挨拶を選びましょう。
10月上旬の季語と時候の挨拶
10月上旬のはがきや手紙の時候の挨拶には、
「秋冷の候」「紅葉の候」「秋分の候」などの
季語がふさわしいです。
その年の10月の気温を考慮して書くと良いでしょう。
(例文)
・秋冷の候 肌寒くなり、秋の気配を感じる季節
・紅葉の候 秋が深まり紅葉の美しい今日この頃
・秋分の候 暑さを避けて涼しさを味わう今日この頃
(例文)
・爽やかな秋晴れの日々が続くこの頃、
お健やかにお過ごしのことと存じます。
・暦の上では寒露となりましたが、お変わりございませんか。
・十月の声を聞き、気候もようやく秋めいてまいりました。
・清らかな青空が胸にまでしみわたるこの頃です。
・あちこちで運動会の開かれるシーズンとなりました。
10月中旬の季語と時候の挨拶
10月中旬のはがきや手紙の季語と時候の挨拶には、
「寒露の候」「夜長の候」「秋麗の候」の
季語を使用すると良いでしょう。
10月19日からの七十二候の末候は、
「蟋蟀戸にあり(きりぎりすとにあり)」。
寒露の末候に登場する「蟋蟀(きりぎりす)」は、
一説にはコオロギとも。
「戸に在り」は「家の戸口の近くで鳴いている」といった意味合いです。
季節の巡りにも時間差があるので、10月の季語だけを見ると
違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。
(例文)
・寒露の候 霜の降りそうな寒い季節
・夜長の候 夜が長く感じられる今日この頃
・秋麗の候 秋晴れの陽気が心地よい季節
(例文)
・実りの秋を迎え、皆様にはますますご精励のことと拝察いたします。
・稲田は黄金に波打ち、まさに収穫の秋となりました。
・菊花咲き乱れる候となり、ますますご清栄のことと存じます。
・そこはかとなく木犀の香りがただよいくる頃となりました。
・天高く馬肥ゆる秋といいますが、
人ごとでなく、ダイエットにはげんでいます。
10月下旬の季語と時候の挨拶
10月23日から、二十四節気は「霜降(そうこう)」。
「霜降」は文字通り、
「霜が降りるようになる頃」といった意味合いです。
10月になると、
北海道や東北北部からは初霜のニュースが届きます。
山間部では紅葉が真っ盛り。
赤や黄色、茶色の葉に彩られる10月の山の様子を、
先人は「山粧う(やまよそおう)」とあらわしました。
10月下旬のはがきや手紙の季語の時候の挨拶として、
「紅葉の候」「錦秋の候」「霜降の候」といった
季語を使用すると良いでしょう。
(例文)
・紅葉の候 秋が深まり紅葉の美しい今日この頃
・錦秋の候 秋が深まり紅葉が錦のように美しいこの季節
・霜降の候 露が霜となって降り始める季節
(例文)
・暦の上でははや霜降となり、朝夕はことに肌寒くなってまいりました。
・穏やかな小春日和が続くこの頃、
ご機嫌うるわしくお過ごしのことと存じます。
・いつしか秋も深まり、けやき並木も色づき始めました。
・街路樹のこずえも日ごとに黄色味を帯びてまいりました。
・木々の彩りも日ごとに変化を見せて、目を楽しませてくれます。
・すすきの穂が白く輝き、秋の風情を奏でています。
10月の結びの挨拶のことば
10月のはがきや手紙の結びは、相手の居住地の状況や、
その年の10月の気温から季節感のある季語を使いましょう。
10月の季語の挨拶をはがきや手紙に入れたあと、
「ご自愛専一に。」「ご留意なさってください。」
などの言葉で結びます。
(例文)
・寒露の折から、くれぐれもおからだにはご留意なさってください。
・何かと実りの多い秋になりますようお祈りいたしております。
・どうぞこの好季節を思う存分満喫していただきたいと存じます。
・秋冷日増しに加わります頃、どうかお風邪など召されませんように。
・秋の深まりとともに寒さも増してまいります。
くれぐれもご自愛専一に。
まとめ
秋の夜長に、ゆっくりと相手を思いながら、
はがきや手紙を書いてみたらいかがでしょうか?
季節の変わり目は、相手の居住地によっては
あなたの感じる季節感と異なることがあります。
特に、
遠方の人に送るときは、相手の住む地域の気候や
温度をふまえて、時候にあった季語の挨拶を選びましょう。