この記事では、8月の和風月名を紹介します。

和風月名とは、
旧暦における12ヶ月各月の日本風の呼び方をいいます。

旧暦は新暦とは1ヶ月ずれていますが、
和風月名はそのまま残り、現在も8月は「はづき」。
というように使用されています。

四季があるだけで珍しいのにも関わらず、その四季の中にも
様々な季節があって名前があり、季語や時候の挨拶が変わる。

他の国にはなかなかないのではないでしょうか?

【時候の挨拶】8月の季語と結びの言葉!書き方と例文を紹介

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和風月名(わふうげつめい)とは?

旧暦では、和風月名(わふうげつめい)と呼ばれる月の和風の呼び名を使用していました。

和風月名は太陰太陽暦(旧暦)のときに使われていたもので、
起源は日本最古の書籍『日本書紀』に四月(うげつ)、
二月(きさらぎ)と訓読みが書かれているそうです。

和風月名は旧暦の季節や行事に合わせたもので、
現在の暦でも使用されることがありますが、現在の季節感とは1~2ヶ月ほどのずれがあります。

旧暦の1月:睦月(むつき)=現在の2月ごろ ということです。

和風月名の由来については諸説ありますが、代表的なものを紹介します。

和風月名一覧表

旧暦の月和風
月名
由来と解説
1月睦月
(むつき)
正月に親類一同が集まる、睦び(親しくする)の月。
仲睦まじい月。
正月に家族や親戚でなごやかな宴を催し、むつみあうことからつきました。
「生月(うむつき)」が転じたという説もあります。
2月如月
(きさらぎ)
衣更着(きさらぎ)とも言う。
まだ寒さが残っていて、衣を重ね着する(更に着る)月。

「如月」という漢字は、中国最古の辞書『爾雅(じが)』の「二月を如となす」という記述に由来しますが、中国では「きさらぎ」とは読みません。

旧暦の2月は現在の3月半ばなので、
寒さがぶり返しいったん脱いだ衣を更に着る月という意の「衣更着」が
「きさらぎ」の語源になったという説が有力です。
3月弥生
(やよい)
木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる、草木が生い茂る)月。

暖かな陽気にすべての草木がいよいよ茂るという意味の「弥生(いやおい)」がつまって「弥生(やよい)」になったとされています。
4月卯月
(うづき)
卯の花の月。

卯の花(ウツギの花)が盛りになる月。
また、田植えをするから「植月(うづき)」という説もあります。
5月皐月
(さつき)
早月(さつき)とも言う。早苗(さなえ)を植える月。

早苗を植える「早苗月(さなえづき)」が略されて「さつき」となり、
後に「皐月」の字があてられました。
「皐」という字には水田という意味があります。
6月水無月
(みなづき、みなつき)
水の月(「無」は「の」を意味する)で、田に水を引く月の意と言われる。

旧暦の6月は梅雨明け後で夏の盛りであることから、水が涸れて無くなる月であるという説と、田んぼに水を張るので「水月(みなづき)」が変化したともいわれています。
7月文月
(ふみづき、ふづき)
稲の穂が実る月(穂含月:ほふみづき)。

短冊に歌や字を書く七夕の行事から「文披月(ふみひろげづき)」、
稲穂が膨らむ月ということで「ふくみ月」、これらが転じて「文月」になったといわれています。
8月葉月
(はづき、
はつき)
木々の葉落ち月(はおちづき)。

葉の落ちる月「葉落月(はおちづき)」が転じて「葉月」。
現代感覚では葉が生い茂る様子を思い浮かべますが、旧暦では7月から秋となるため、秋真っ盛りだったのです。
9月長月
(ながつき、ながづき)
夜長月(よながづき)。

秋の夜長を意味する「夜長月(よながづき)」の略で「長月」になりました。また、秋の長雨の「長雨月(ながめづき)」、稲穂が実る「穂長月(ほながづき)」からという説も。
10月神無月
(かんなづき)
神の月(「無」は「の」を意味する)の意味。

全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になる月という説などもある。神々が出雲の国に行ってしまい留守になるという意の「神なき月」が転訛して「神無月」。
神々が集まる出雲の国では「神在月(かみありつき)」といいます。
11月霜月
(しもつき)
霜の降る月。

文字通り霜が降る月という意の「霜降月(しもふりつき)」の略で「霜月」となりました。
12月師走
(しわす)
師匠といえども趨走(すうそう、走り回る)する月。

12月は僧(師)を迎えてお経を読んでもらう月でした。師が馳せる月という意の「師馳す」が転訛し、走るという字があてられるようになりました。

8月の季節の挨拶状も「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へ

賑やかな夏のイベントが行われる一方、
8月は、お盆や終戦記念日がやってきます。

生命を巡る静と動のコントラストが際立つ1ケ月です。

二十四節気の季語のひとつ「立秋(りっしゅう)」を迎えました。

「立つ秋」の文字通り、
8月8日から立冬前日までが暦の上では秋となります。

8月は、うだるような暑さに実感は少ないものの、
季節の挨拶状も「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へ。

残暑見舞いのはがきは、処暑までに出すようにしましょう。

そして最後に、8月のはがきや手紙の結びで、
相手の健康や安否を気遣う言葉を選ぶのが、
一般的によい書き方だと言われています。

8月の七十二侯(しちじゅうにこう)

8月の時候の挨拶には、夏の終わりや秋の訪れなどが使われることが多いようです。

例えば、
「暑さも落ち着きを見せる頃」といった書き出しになる口語調での時候の挨拶があります。

また、8月は「土用(どよう)」と呼ばれる時期でもあります。

土用とは、夏至から秋分までの18日間を指し、
その中でも「大暑(たいしょ)」という72候があります。

大暑の次候は「土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)」という言葉があります。
この「溽(じょく)」の字には湿気が多くて暑い、といった意味があり、
日本の夏独特の絡みつくような暑さは「溽暑(じょくしょ)」とも表現されます。

8月の和風月名:葉月の語源・由来

8月の昔の呼び名である和風月名を、
はがきや手紙の季語にして書き出しに使うと、
ひと味違った風流な挨拶文になります。

8月の季語で代表的な和風月名は「葉月(はづき)」。

8月を「葉月」と呼ぶようになったのは、
木の葉が黄色に色づいて落ちることから。

葉が生い茂るという意味ではなく、
散りはじめとなる「葉落月(はおちづき)が由来とも。

「葉落ち月(はおちづき)」が、
訛(なま)った、とする説が一般的です。

その他、
「穂発月・穂張り月(ほはりづき)」から、
「はづき」になった説。

また、稲がふくらむようになる頃という
「張る月」が「葉月」に転じたとも。

単純に八番目の月で「はづき」、「南風月(はえつき)」の転化、
雁(かり)が初めて来る月から「初来月(はつきつき)」などさまざまです。

どちらにしても「発」「張る」「初」など、
農事がらみに関連しているようです。

出典
著者名:  「野呂希一」・「荒井和生」
書籍タイトル「暦の風景」 
出版社名: 「青菁社」

8月の別名・異称

秋風月(あきかぜつき)・観月(かんげつ)・雁来月(かりきづき)

橘春(きつしゅん)・草津月(くさつづき)・桂月(けいげつ)

建酉月(けんゆうげつ)・紅染月(こうぞめづき)・素月(そげつ)

木染月(こぞめづき)・ささはな月・秋涼(しゅうりょう)

・深秋(しんしゅう)・豆雨(ずう)・清月(せいげつ)

・清秋(せいしゅう)・盛秋(せいしゅう)・壮月(そうげつ)

染色月(そめいろづき)・仲商(ちゅうしょう)・月見月(つきみづき)

燕去月(つばめさりづき)・天岡(てんこう)・南呂(なんりょ)

8月の花暦(はなごよみ)

薊(あざみ)の花は、
俳句の世界では、春の季語になっています。

春に咲くのは野薊ぐらいで、薊類の花の最も多い季節は初秋。
ほとんどの種類は夏から秋にかけて花をつけます。

薊の語源は「浅む」からきているそうです。

「浅む」とは「驚き呆(あき)れる」とか。
「興(きょう)ざめる」の意味があります。

薊が美しいので、つい手折(たお)ろうとすると、
刺(とげ)にさされて我に返ることからきているそうです。

薊の花言葉は「報復」「厳格」

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8月の季語と時候の挨拶

炎暑(えんしょ)の候・酷暑(こくしょ)の候・三伏(さんぷく)の候

納涼(のうりょう)の候・晩夏(ばんか)の候・初秋(しょしゅう)の候

秋暑(しゅうしょ)の候・早涼(そうりょう)の候・季夏(きか)の候

8月の季語の読み方ですが、候は「こう」と読みます。

8月上旬・中旬・下旬別!季語と時候の挨拶

8月のはがきや手紙の時候の挨拶は、
上旬、中旬、下旬によっても違ってくるので、
それぞれ例文を交えて8月の季語の書き方をご説明します。

まずは、はがきや手紙を出す日がいつごろか把握しましょう。

その上で、以下に記載している8月の二十四節気の
どの時期の季語に該当するかを確認しましょう。

大暑(たいしょ)  :7月23日頃~8月7日頃
立秋(りっしゅう) :8月8日頃~8月22日頃
処暑(しょしょ)   :8月23日頃~9月7日頃

暖冬や冷夏があるように、
季節もその年によって移り変わる時期はさまざまです。

今の季節の8月は例年と比べて暖かいのか、
暑いのか、移り変わりの早さなどを考慮して、
はがきや手紙の季語と時候の挨拶を選びましょう。

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8月上旬の季語と時候の挨拶

8月上旬のはがきや手紙の時候の挨拶には、
「炎暑の候」「酷暑の候」「三伏の候」などの
季語がふさわしいです。

その年の8月の気温を考慮して、季語を選んで書くと良いでしょう。

(例文)
・炎暑の候        真夏の焼けつくような暑さのこの季節
・酷暑の候        ひどく暑い日が続く毎日ですが
・三伏の候        夏の最も暑いこの季節

(例文)

・残暑がいっそう身にこたえる毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

・蝉時雨の降りそそぐ夏の盛りとなりましたが、
 お変わりございませんか。

・立秋とは名のみの厳しい残暑が続いております。

・ようやく残炎の頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

・残暑厳しき折から、皆様いかがお過ごしでしょうか。

8月中旬の季語と時候の挨拶

8月中旬のはがきや手紙の時候の挨拶には、
「納涼の候」「晩夏の候」「季夏の候」の季語を
使用すると良いでしょう。

はがきや手紙の冒頭に「季夏の候」の季語を使う場合は、
たとえ書いているのが8月半ばの場合でも、到着が
9月になりそうな時は、別の時候の季語の挨拶にしましょう。

8月中旬は、「寒蝉鳴く(ひぐらしなく)」。

8月は、お盆の訪れとともに、七十二候も次の候へ。

夕暮れ時になるとヒグラシが、
「カナカナカナ」と鳴き声を響かせる頃です。

季節の巡りにも時間差があるので、8月の季語だけを見ると
違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。

(例文)
・納涼の候       暑さを避けて涼しさを味わう今日この頃
・晩夏の候       夏の終わりが近づくこの季節
・季夏の候       秋の訪れる時期になりました

(例文)

・ようやく夏も盛りを過ぎまして、
 ますますご壮健にてお暮らしのことと存じます。

・湧きたつ入道雲に夕立を待ちわびるこの頃、
 お健やかにお過ごしでしょうか。

・日差しの眩しい空に、
 つくつくぼうしの声がかまびすしく響いております。

・今年もまた盆踊りの季節となりましたが、
 ご壮健にてお暮らしのことと存じます。

・晩夏とはいえ、まだ当分この暑さは続きそうです。

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8月下旬の季語と時候の挨拶

8月23日からは二十四節気の季語の「処暑(しょしょ)」。

「暑さがおさまる」という意味をもっています。

日中はまだまだ暑さがつづく8月ですが、
朝夕には夏の終りを予感させる涼しい風が。

夏至の頃にくらべると日の入りは40分ほど早くなっているため
日が短くなったなと感じるようにもなります。

8月下旬のはがきや手紙の季語の時候の挨拶として、
「秋暑の候」「早涼の候」「初秋の候」といった季語を
使用すると良いでしょう。

(例文)
・秋暑の候       暑さのなかにも秋の気配を感じはじめた今日この頃
・早涼の候       朝晩も涼しくなり、過ごしやすい季節になりましたが
・初秋の候       秋の訪れが感じられる季節

(例文)

・窓外より聞こえくる虫の音に、
 しだいに秋の気配を感じる頃となりました。

・たそがれ時の風の涼しさに、秋の近いことを実感しております。

・野山のよそおいも日に日に秋めいて、
 夏も終わりを告げようとしております。

・盛夏の疲れの出やすい時節となりましたが、
 夏風邪など召されていませんか。

・鈴虫の澄んだ声をしばしば耳にする季節となりました。

8月の結びの挨拶のことば

8月のはがきや手紙の結びは、相手の居住地の状況や、
その年の8月の気温から季節感のある季語を使いましょう。

8月の季語の挨拶をはがきや手紙に入れたあと、
「どうかご自愛専一に。」「お身体をおいといください。」
などの言葉で結びます。

(例文)

・残暑厳しき折、くれぐれもご無理をならさず、
 お身体をおいといください。

・連日の炎暑でお疲れを出されませんよう、くれぐれもご用心ください。

・立秋を過ぎたとはいえ、暑さはいましばらく続きます。ご自愛専一に。

・秋の足音を間近に感じる季節、
 ますますのご活躍をお祈りいたしております。

・この残暑を乗り越えて、
 実り多き秋を迎えられますようお祈りいたします。

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まとめ

8月の時候の挨拶は、秋の訪れや夏の終わりを表現します。

わたしたちが肌で感じる8月の暑い様子とは違うため、
間違った季節の挨拶を用いないようにしましょう。

相手に届く頃と、はがきや手紙の内容が一致するよう、
季語や言葉は慎重に選んでくださいね。

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よっちゃん
他の月の「和風月名の意味と時候の挨拶」の記事です。