内定をいただいた企業に対して「お礼状」を送ることで、感謝の気持ちを伝えるだけでなく、社会人としてのマナーや誠意も伝えることができます。
しかし、「いつ送るべき?」「手書きがいい?」「どう書けば失礼にならない?」など、初めての方には悩みも多いものです。
本記事では、内定後に送るお礼状の基本マナーから例文までを網羅的に解説します。
手紙・メール両方の例文もご紹介しているので、すぐに実践できる内容になっています。
ぜひ最後までご覧ください。
手紙を書くときに綺麗な手紙が書けずに悩んでいらっしゃる方がいたら、
別の記事で「きれいな手紙が書ける便箋と封筒」をご紹介しています。
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「内定辞退のマナーとお詫び状の書き方!電話・メール・手紙での断り方を紹介(例文あり)」
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目次
内定後にお礼状を送るべき理由とその効果
内定通知をもらった後、お礼状を送るかどうか迷う方も多いでしょう。
しかし、ビジネスマナーの一環としてお礼状を送ることで、相手に良い印象を与えることができます。
この章では、お礼状を送ることのメリットと、送らなかった場合の影響について解説します。
お礼状を送るメリットとは?
お礼状は単なる形式ではなく、あなたの人柄や誠意を伝える重要な手段です。
以下のようなメリットが考えられます。
・感謝の気持ちがより明確に伝わる
・採用担当者に好印象を与える
・他の候補者との差別化になる
・入社に対する意欲が伝わる
送らない場合の影響は?
一方で、「お礼状を送らなくても問題ない」と考える方もいるかもしれません。
確かに必須ではありませんが、送らないことで生じるマイナス面もあります。
・「礼儀を知らない人」という印象を与える可能性
・最終的な評価に若干の影響を与えることも
・特に少人数採用の企業では印象の差が影響すること
お礼状の基本マナーと送付タイミング
お礼状は内容だけでなく、書き方やタイミングも非常に重要です。
この章では、形式の選び方や、送るタイミングに関するマナーについてご紹介します。
手書きとパソコン、どちらが良い?
「手書き」と「パソコン作成」のどちらでお礼状を書くべきか、迷う方も多いはず。
それぞれの特性を理解した上で、適切な方法を選びましょう。
・手書きは「誠意」が伝わりやすい
・パソコンは「読みやすさ」や「清潔感」がある
・大企業や忙しい採用担当者宛ならメールでもOK
・手紙が基本だが、状況に応じて選ぶことが大切
送付のベストタイミングはいつ?
お礼状は「早さ」も大切なポイントです。
できるだけ早く感謝の気持ちを伝えることで、印象アップにもつながります。
・可能であれば当日または翌日中にポスト投函
・メールなら当日中がベスト
・遅くとも1週間以内には送りましょう
遅くとも1週間以内には送りましょう
お礼状は、内定後いつ出してもいいわけではなく、
基本的には内定をもらった直後に素早く出さなければなりません。
内定を獲得したことへの喜びという点もありますが、
1人の社会人として、すぐにお礼状を送るという行為は
会社から非常に高評価を得られる行動です。
ビジネスにおいてもお礼状やお礼のメールなどを送ることは日常的にあります。
ひとつひとつの行動に対するスピード感によって、
取引先などから得られる信頼度は変わってきます。
結果が出てからお礼をするまでの時間が空いてしまうと、
相手に対して感謝の気持ちが伝わりづらくなります。
お礼状が届くのが、あまりにも遅すぎると、
企業への優先度が低いとも思われかねないため
内定をもらったらすぐに出すようにしましょう。
早ければ当日、遅くても1週間以内には出すことをお勧めします。
内定の連絡からポストに投函するまでの期間を短くする努力をしましょう。
投函自体が遅れてしまうと、
企業に届くまでにかなりの時間を要してしまうため、
内定の結果を受けたらすぐにお礼状を送ることを意識しましょう。
便箋・封筒・筆記具の選び方ガイド


どんなに内容が良くても、使用する文房具の印象が悪いと台無しです。
この章では、適切な便箋・封筒・筆記具の選び方をご紹介します。
適切な便箋と封筒の選び方
便箋や封筒のデザインにもマナーがあります。
社会人として恥ずかしくない選び方を意識しましょう。
・無地またはシンプルな白い便箋が無難
・派手なデザインやキャラクター柄は避ける
・封筒も白無地または淡い色の縦型が一般的
お礼状の便箋は、白無地の縦罫が基本。
封筒は、白無地の和封筒(長型4号)が基本。
二重か、厚手の上質紙のものを選びます。
茶封筒は事務的文書用なのでお礼状には向きません。

おすすめの筆記具とその理由
筆記具も手紙の印象を左右する大切な要素です。
次の点を守れば、より丁寧な印象になります。
・黒のボールペンまたは万年筆を使用
・サインペンは避ける
・消せるペン(フリクションなど)はNG
・字が苦手でも丁寧に書く姿勢が大切
お礼状の構成と書き方のポイント

*呉竹の筆ペンの「筆ごこち」を使って書いてみました。
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お礼状は内容構成も重要です。
基本の形式に沿って書くことで、読み手に好印象を与えます。
頭語と時候の挨拶の使い方
ビジネス文書には一定の形式があります。
まずは冒頭部分の構成を押さえましょう。
・頭語(例:拝啓)→ 時候の挨拶 → 本文 → 結語(敬具)という流れ
・季節に合わせた挨拶(例:春:陽春の候、秋:爽秋の候など)
お礼状を出すときの
「時候の挨拶1月から12月までの季語と結び」をまとめています。
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【時候の挨拶】1月~12月の季語と結びの言葉!月ごとの季節の例文を紹介
お礼の言葉から結語までの流れ
本文部分では、感謝の気持ちや入社への決意を簡潔かつ丁寧に伝えましょう。
・内定通知への感謝
・入社の意欲や決意
・今後のご指導へのお願い
・結語(例:末筆ながら貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます)
署名と宛名の正しい書き方
細部まで丁寧に書くことで、ビジネスマナーを理解しているという印象を与えます。
・宛名:正式な会社名と部署名・担当者名を明記
・差出人:自分の氏名、住所、連絡先を明記
・封筒にも宛名と差出人を正確に記載
内定後のお礼状の例文集(手紙・メール)
ここでは、実際に使えるお礼状の例文をご紹介します。
状況に合わせてご活用ください。
採用担当者の個人名が分かっている場合
誰宛に送るべきか個人名が分かっている場合は、
「採用ご担当様」とせず、「個人名+様」と表記しましょう。
特定の人に宛てたものを曖昧な表記にしてしまうと、
失礼に当たる可能性があるため、注意しなければなりません。
また、「採用ご担当者様」とすると、採用に関係する人全員が読む可能性があります。
個人的な連絡で内容をあまり知られたくない場合は特に注意が必要で、
「個人名+様」で送りましょう。
また、宛名が2人になる場合でも、「採用ご担当者様」とまとめず、
それぞれの個人名を表記するのが一般的です。
例えば山口さんと松富さんに送る場合は、
「山口様 松富様」とそれぞれに様をつけましょう。
名前の前後については、役職の上の人が前になります。
また、小さな会社の場合には、
採用に関する業務を社長が兼務していることがあります。
その場合の宛名は、「社長 ◯◯◯◯様」と書きます。
内定通知書は、
会社とあなたの間の約束を表す正式文書です。
会社の代表者、つまり代表取締役の名前と会社の印が押してあるはずです。
また、内定通知書と一緒に送付状が入っていると思います。
そしてその送付状には「採用担当部署名」と「担当者名」が書いてあるはずです。
さて、この場合代表取締役と担当者と、お礼状はどちら宛に出すべきかですが、
普通の場合は担当者宛で良いです。
あなたのお礼状をもらって一番うれしく感じるのは、
あなたを採用しようと頑張ってくれた担当者。
そしてその人はこれから入社してからも、
ずっとお世話になるはずの人だからです。
相手の名前を記載せずに送ってしまうと、
誰に宛てたお礼状なのかわからなくなるので、
必ず記入するのを忘れないようにしましょう。
宛先に書く相手の氏名がわからない場合には、
「人事採用ご担当者様」などと書けば良いでしょう。
手紙の例文1:一般的なケース
まずは、一般的な手紙の形式での例文です。
採用担当者の名前が分かる場合の想定です。
拝啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
○○大学経済学部の○○○○と申します。
このたびは内定のご連絡をいただきましてありがとうございました。
貴社に内定をいただけましたこと、誠に嬉しく思います。
先輩社員の方々との交流や面接を通じ、話すことへの難しさに反省しながらも、
貴社にて活躍していきたいとより一層強く感じました。
今後は入社するまでの大学生活を充実したものとし、社会人へとなる自覚を高めてまいります。
まだまだ至らない点もございますが、
今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
この度は、内定をいただき誠にありがとうございました。
書中にて取り急ぎ御礼を申し上げます。 敬具
令和○年○月○日
○○大学経済学部四年 ○○ ○○
株式会社○○
人事採用課 担当○○様
拝啓
陽春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは内定のご通知をいただき、誠にありがとうございます。
貴社の一員として働けることを大変光栄に感じております。
今後も一層の努力を重ね、貴社に貢献できるよう励んでまいります。
末筆ながら、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
〇〇大学〇〇学部 〇〇〇〇
住所:
電話:
メール:
拝啓 時下、貴社益々のご活躍のことと、心よりお慶び申し上げます。
この度は内定のご連絡を頂き、誠にありがとうございます。
春から貴社の一員として活躍できるよう、
残りの学生生活も悔いなく過ごしたいと考えています。
面接では皆様方には大変お世話になり、一日でも早く恩返しができるよう、
日々精進して参りたいと思います。
今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ではございますが、貴社益々のご清栄をお祈り申し上げます。 敬具
拝啓 初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度は内定をいただきまして、誠にありがとうございました。
早速恩師と両親に報告したところ、大変喜んでおりました。
来春から貴社に貢献できるよう、
就業までの期間も努力を重ねて参ります。
未熟な私ですが、
今後共ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
この度は内定をいただき、本当にありがとうございました。
略儀ではございますが、まずは書面にてお礼申し上げます。 敬具
令和○年 ○月○日
○○大学○○学部○○学科四年
氏名 ○○ ○○
株式会社○○ 人事部人事課
○○ ○○様
手紙の例文2:採用担当者名が不明な場合
採用担当者の名前が分からない場合には、宛名や表現に工夫が必要です。
・宛名は「人事ご担当者様」とする
・丁寧な言葉遣いを心がける
メールの例文:迅速に感謝を伝える場合
迅速に感謝の意を伝えたい場合や、遠方からすぐにお礼が必要な場合は、メールも有効です。
メールでのお礼状は、
ひと目でわかるように件名に内容を記載します。
メールでは、冒頭で企業名と相手の方の氏名を書きます。
挨拶をしてから大学名、学部、学科名、氏名を書きましょう。
そして、内定に対する感謝の気持ちを伝えます。
入社まで努力することも大切です。
最後に署名を忘れないように気を付けましょう。
件名:【内定御礼】〇〇大学〇〇〇〇
株式会社〇〇
人事部 採用ご担当者様
お世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の〇〇〇〇です。
このたびは内定のご通知をいただき、誠にありがとうございました。
貴社の一員として働けることを心より嬉しく思っております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
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〇〇大学〇〇学部 〇〇〇〇
電話:
メール:
住所:
----------------------------
件名:内定のお礼/○○大学○○学部 ○○ ○○(氏名)
株式会社○○
人事部人事課 ○○様
お世話になっております。
○○大学○○学部○○学科の○○ ○○(氏名)です。
このたびは内定のご連絡をいただき、
誠にありがとうございました。
恩師や家族に報告したところとても喜んでおり、
感謝の気持ちでいっぱいです。
貴社で1日も早く活躍できるよう、一生懸命努力して参ります。
未熟な私ですが、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
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山際 太郎(やまぎわ・たろう)
○○大学○○学部○○学科○年
携帯電話:080-6304-2525
メール:minato@yottyann.ab.jp
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よくある質問と注意点Q&A
お礼状を書く際に多くの人が悩むポイントを、Q&A形式で解説します。
お礼状を送る際のNG行動とは?
せっかくのお礼状でも、マナー違反があると逆効果になってしまうことも。
注意すべきポイントを押さえておきましょう。
・誤字脱字が多い
・時候の挨拶が不適切
・不自然に堅苦しすぎる文体
・個人的な情報を過度に書きすぎる
メールと手紙、どちらを選ぶべき?
「メールで済ませていいの?」「手紙じゃないと失礼?」という疑問にお答えします。
判断基準:
・緊急性がある → メール
・感謝の気持ちをしっかり伝えたい → 手紙
・両方送るのも好印象(まずメール→後日手紙)
感謝の気持ちをしっかり伝えたい → 手紙
お礼状を書く場合、パソコン作成と手書きで悩む人が多いと思います。
パソコンだと字に自信がない人でも
整った書面を作成できます。
でも、それだとメールと変わらないですよね。
せっかく手紙にしてお礼状を送るのですから、
思いを込めて手書きでお礼を書きましょう。
パソコンで書いたお礼状より、
手書きでゆっくり書いた方が、気持ちが伝わります。
これは「相手が自分に手間をかけて書いてくれた」と感じるためです。
パソコンで作成されたお礼状の手紙には、
業務的で冷たい印象を持つ人も多いです。
業務でパソコンしか使わない企業に入社する場合は、
企業で働く社員にとっても、手書きで書かれた手紙の方が、
より新鮮に見えるかもしれません。
せっかくこれからお世話になる企業に向けたお礼状を書くのであれば、
多少字に自信がなくても丁寧にお礼を書いて感謝の気持ちを伝えましょう。
まとめ:内定後のお礼状で好印象を与えるために
この記事では、
内定が出た後に送るお礼状の書き方を紹介しました。
内定後は、すぐにお礼状を送って、
「これからよろしくお願いします」というお願いと感謝の気持ちを伝えましょう。
内定のお礼を伝える方法には電話やメールもありますが、
電話は担当者の仕事を中断させてしまう恐れがあります。
また、メールは最も手軽にお礼を伝えらえる方法ですが、
お礼状と比べると真剣さや丁寧さが足りない印象です。
手書きで書くことで、礼儀正しく感謝の気持ちをしっかり伝えられます。
お礼は、内定をもらい次第作成し、できるだけ早く郵送しましょう。
手紙を書くときに綺麗な手紙が書けずに悩んでいらっしゃる方がいたら、
別の記事で「きれいな手紙が書ける便箋と封筒」をご紹介しています。
