この記事では、5月の和風月名を紹介します。

和風月名とは、
旧暦における12ヶ月各月の日本風の呼び方をいいます。

旧暦は新暦とは1ヶ月ずれていますが、
和風月名はそのまま残り、現在も5月は「さつき」。
というように使用されています。

四季があるだけで珍しいのにも関わらず、その四季の中にも
様々な季節があって名前があり、季語や時候の挨拶が変わる。

他の国にはなかなかないのではないでしょうか?

季節は淡く優しい春から、
力強くエネルギッシュな初夏へ向かう5月のはじまりです。

5月は、青空、新緑、爽やかな風が吹く季節。

おおいにはしゃぐ、行楽シーズンの到来です。

5月のはがきや手紙を送る相手に、活動的な気持ちを感じさせる
季語を使った時候の挨拶を使用した方がよいでしょう。

そして最後に、5月の結びで、
相手の健康や安否を気遣う言葉を選ぶのが、
一般的によい書き方だと言われています。

【時候の挨拶】5月の季語と結びの言葉!書き方と例文を紹介

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5月の和風月名:皐月の語源・由来

5月の昔の呼び名である和風月名を季語にして、
5月のはがきや手紙の書き出しに使うと、
ひと味違った風流な挨拶文になります。

5月の代表的な和風月名は「皐月(さつき)」

旧暦5月の異称でもある「さつき」は、
「皐月・早月」などの字をあててきました。

「皐月」と呼ぶようになったのは、
「早苗を植える月」を略して「さつき」
になったといわれています。

また、皐月の「さ」は、桜の「さ」と同様に、
神に捧げる稲を植える月から、「さつき」
になったともいわれています。

「万葉集」などでは「五月」を「さつき」と読ませていて、
「皐月」の字をあてたのは後年になってからです。

「皐」の漢字には「ゆるやか」「告げる」「大声をあげる」、
また「沢」「みぎわ」などの意味があります。

みずみずしい印象のある字で、皐月雨は「さみだれ」。

五月雨の晴れ間が「五月晴れ(さつきばれ)」。
その頃の空を「五月空(さつきそら)」。

五月雨の頃の山は「皐月山(さつきやま)」。

五月雨の頃の夜の暗さが「五月闇(さつきやみ)」で、
いづれも夏の季語になっています。

*出典

著者名:  「野呂希一」・「荒井和生」
書籍タイトル「暦の風景」 
出版社名: 「青菁社」

「5月の誕生花一覧!花言葉と季節の挨拶を紹介」
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また、
春の七十二候の最後を飾る季語は
「牡丹華さく(ぼたんはなさく)」。

5月には「花の王」とたたえられる牡丹が咲きはじめ、
楚々とした春の花々から、鮮やかで華麗な夏の花々へ。

季節のバトンを受け取ったかのように牡丹の花が咲き誇り、
5月の初夏の陽気のなかで崩れるように散っていきます。

2月4日の立春から88日目は「八十八夜」。

八十八は5月上旬の季語です。

「夏も近づく八十八夜」と歌うように、
暦の上では夏となる立夏が数日後に迫り、
昔から夏の準備をはじめる日としてきました。

5月の別名・異称

雨月(うげつ)・鶉月(うずらづき)・梅月(うめづき)

梅の色月(うめのいろづき)・開明(かいめい)・啓明(けいめい)

建午月(けんごづき)・皐月(こうげつ)・早稲月(さいねづき)

早苗月(さなえづき)・五月雨月(さみだれづき)・写月(しゃげつ)

授雲月(じゅうんづき)・星花(せいか)・田草月(たぐさづき)

多草月(たぐさつき)・橘月(たちばなづき)・長至(ちょうし)

月不見月(つきみづき)・梅夏(ばいか)・吹喜月(ふぶきづき)

芒積(ぼうせき)・茂林(もりん)・浴蘭月(よくらんづき)など。

5月の花暦(はなごよみ)

藤(ふじ)は日本固有種で、マメ科の蔓性落葉樹。

池辺なので垂れ下がって咲く姿は、
気品があり、優美の二文字が似合う花。

美しいのに奥ゆかしい姿に、
謙譲の美徳を見る人も多い花です。

古来から日本人に愛されてきました。

「くたびれて宿るころや藤の花」と詠んだのは松尾芭蕉。

「二季草(にきぐさ)」という異名もあります。
花言葉は「優しさ・歓迎」

誕生日のお祝いの言葉!5月の誕生色を使ったメッセージを紹介
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5月の季語と時候の挨拶

惜春(せきしゅん)の候・残春(ざんしゅん)の候・穀雨(こくう)の候

新緑(しんりょく)の候・青葉(あおば)の候・薫風(くんぷう)の候

万緑(ばんりょく)の候・向暑(こうしょ)の候・初夏(しょか)の候。

5月の季語の読み方ですが、候は「こう」と読みます。

5月上旬・中旬・下旬別!季語と時候の挨拶

5月のはがきや手紙の時候の挨拶は、
上旬、中旬、下旬によっても違ってくるので、
それぞれ例文を交えて季語の書き方をご説明します。

まずは、はがきや手紙を出す日がいつごろか把握しましょう。

その上で、以下に記載している5月の二十四節気の
どの時期に該当するかを確認しましょう。

穀雨(こくう)    :4月20日頃~5月5日頃
立夏(りっか)    :5月6日頃~5月20日頃
小満(しょうまん):5月21日頃~6月5日頃

暖冬や冷夏があるように、
季節もその年によって移り変わる時期はさまざまです。

今の季節の5月は例年と比べて暖かいのか、
暑いのか、移り変わりの早さなどを考慮して、
はがきや手紙の季語と時候の挨拶を選びましょう。

5月上旬の季語と時候の挨拶

5月上旬のはがきの時候の挨拶には
「惜春の候」「残春の候」「穀雨の候」などの季語がふさわしいです。

その年の気温を考慮して、季語を選んではがきを書くと良いでしょう。

(例文)
惜春の候         過ぎ行く春を惜しむ今日この頃
残春の候         春の陽気に名残を感じる季節
穀雨の候         五穀豊穣をもたらす春の雨が降る季節

(例文)

・風薫る五月となり、ご壮健にてお過ごしのことと存じます。

・八十八夜も過ぎて、茶ばたけの緑も一層色濃くなってまいりました。

・端午の節句を迎え、
 お孫様のお健やかなご成長にお祝いを申し上げます。

・暦の上でははや立夏となり、
 心なしか日差しも明るさを増してまいりました。

・芳ばしい新茶の香りに心なごむ季節がやってまいりました。

5月中旬の季語と時候の挨拶

5月中旬のはがきの季語と時候の挨拶には
「新緑の候」「青葉の候」「薫風の候」の
季語をはがきや手紙に使用すると良いでしょう。

5月中旬は、
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」の
言葉通り、立夏の初候は繁殖期を迎える蛙が主人公。

これからしばらくは、
オスがメスに贈るラブソングがみずぎわで聞けるようになります。

季節の巡りにも時間差があるので、5月の季語だけを見ると
違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。

(例文)
・新緑の候       木々が芽吹いて色鮮やかになる今日この頃
・青葉の候       木々の葉が深い緑でいっぱいになる今日この頃
・薫風の候       青葉が香る初夏の風が吹く季節

(例文)

・五月晴れの好天が続く毎日、お元気にてお過ごしのことと存じます。

・霞もはらわれ、遠くの山々の緑が鮮やかに目に映る季節となりました。

・庭のぼたんが大輪の花を咲かせ、うるわしい季節の到来となりました。

・目に青葉と申しますが、みな美しく照り映える季節となりました。

・母の日も近づき、
 色鮮やかなカーネーションが花屋の店先に並んでおります。

5月下旬の季語と時候の挨拶

5月21日からは二十四節気は「小満(しょうまん)」。

5月は、草木も花々も動物も虫も、
すべてのものが成長を重ね、天地に生命力が満ちていきます。

「小満」は、麦の穂が無事に実り、
少しずつ色づきだすことに、農家の方がほっとひと安心したのが語源とも。

あたたかい地方では、前年の秋にまいた麦の収穫がはじまります。

5月のはがきや手紙の季語の時候の挨拶として、
「万緑の候」「向暑の候」「初夏の候」といった
季語を使用すると良いでしょう。

(例文)
・万緑の候       草木が見渡す限り緑色に染まる頃
・向暑の候       暑い季節に向かう今日この頃
・初夏の候       夏の始まりを感じさせる季節

(例文)

・五月は早苗月とも申しますとおり、
 そろそろ田植えの始まる頃でございます。

・春から夏へとうつろいゆく季節、お変わりございませんでしょうか。

・吹く風もはや夏めいてまいりましたが、
 お健やかにお過ごしでしょうか。

・走り梅雨に濡れ、木々の緑もいっそう深まったように感じられます。

・軽暑のみぎり、お変わりなくお過ごしでしょうか。

5月の結びの挨拶のことば

5月の結びは、相手の居住地の状況や、
その年の5月の気温から、季節感のある季語をつかいましょう。

5月の季語の挨拶を入れたあと、「お身体にご留意ください。」
「ご無理なさいませんように。」などの言葉で結びます。

(例文)

・お子様の、鯉のぼりのようにお健やかなご成長を
 お祈りいたしております。

・すがすがしい若葉の季節、大いに英気を養いたいものです。

・新しい環境にも慣れた頃かと存じます。どうぞご活躍ください。

・さわやかな好季節、ますますのご活躍を期待しております。

・過ごしやすい季節とはいえ、なにとぞご無理をなさいませんように。

【5月の時候の挨拶】誕生色と花で季節感を演出
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まとめ

5月は、ピンと背筋を伸ばしているかのようなたたずまいと、
紫色の気品ある花、梅雨の訪れを告げる季節の便りとして
愛されてきたアヤメが開きはじめます。

人間ではなく、花鳥風月を中心に据えた日本語は趣深く、
今の時季は「菖蒲(あやめ)」や「迎え梅雨」といった
5月ならではの、趣のある季語を添えてみてくださいね。

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よっちゃん
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