謝罪メールの「よろしくお願いいたします」は、一律に失礼な表現ではありません。相手にお願いすることがあるなら、その内容を具体的に書いて添えます。依頼がない場合は、お詫びの言葉で締めてもかまいません。
最後の一文に迷ったら、「何をお願いするのか」「次は自分から何を連絡するのか」を考えてみましょう。案件がクレームや納期遅延だからという理由だけで、使える言葉を決める必要はありません。
この記事では、仕事の不備について謝罪するメールの結びに絞り、本文と矛盾しない締め方を紹介します。
例文を使う前に
例文は説明用の架空の場面です。各例の前提を確認し、[ ]を実際の情報に置き換えてください。結びを整えるために、未確認の原因や、決まっていない対応・期限を付け足さないようにしましょう。
謝罪メールの結びは、依頼の有無で選ぶ
「丁寧な定型句を入れる」ことより、メールの最後で何を伝える必要があるかを先に決めます。
- 相手への依頼がない:お詫びの言葉で締める。
- 確認・返信・検討をお願いする:対象と求める行動を書き、必要に応じて「よろしくお願いいたします」を添える。
- 自分から次の連絡をする:確認済みの連絡予定と内容を伝え、お詫びで締める。
依頼と次の連絡の両方があるなら、両方を書けます。謝罪・依頼・連絡予定を別の文にするのは、役割をわかりやすくするためです。必ず別々のメールを送るという意味ではありません。
依頼がないなら、「ご確認」を足さなくてよい
訂正内容を知らせるだけで、相手に確認作業や返信を求めていない場合もあります。そのときは、締めるためだけに「ご確認のほど」を付け足す必要はありません。
前提:誤った案内の訂正を本文で伝えており、追加の行動をお願いしない場合。
結びの例:
このたびは、[訂正した案内の内容]について誤ったご案内をいたしましたこと、お詫び申し上げます。
置き換える情報:[訂正した案内の内容]。
依頼があるなら、案件の種類より内容を確かめる
苦情への対応でも、調査に必要な情報を相手へ尋ねることがあります。反対に、添付忘れでも、ただ再送するだけなら返信を求めない場合があります。
「軽いミスなら使える」「クレームなら使えない」と分けるより、依頼の必要性と相手の負担を確認しましょう。謝罪は謝罪として書き、協力してほしいことは別の文で具体的に伝えます。
確認・返信・検討をお願いするときの締め方
確認してほしい箇所を示す
「ご確認」だけでは、読むだけでよいのか、内容を照合するのか、回答も必要なのかがわからないことがあります。対象と確認してほしい点を示しましょう。
前提:本文で資料の誤記を謝罪し、修正版を添付済み。相手に訂正箇所の確認をお願いする必要がある場合。
結びの例:
お手数をおかけしますが、添付した[修正版のファイル名]の[訂正箇所]をご確認くださいますようお願いいたします。
置き換える情報:[修正版のファイル名][訂正箇所]。
修正版を使ってほしいなら、「今後の[用途]には、今回の修正版をご使用くださいますようお願いいたします」と、使用の依頼を明記します。確認と使用は同じ行動ではありません。
返信が必要なら、回答してほしい内容を書く
返信を待って次の対応を決める場合は、答えてほしい項目を書きます。「よろしくお願いいたします」だけでは、回答を求めていることが伝わらない場合があります。
前提:案内の不備を本文で謝罪し、対応の確認に相手からの情報が必要な場合。
依頼と結びの例:
今回の対応を確認するため、[回答が必要な項目]を本メールへの返信でお知らせいただけますでしょうか。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
置き換える情報:[回答が必要な項目]。項目が複数ある場合は、本文で箇条書きにします。
回答期限が必要なら、実際に必要な日時と理由も示します。締め方を丁寧に見せるために、不要な期限を設ける必要はありません。
検討や同意が必要なら、結びだけで済ませない
日程や条件の変更は、「ご理解ください」と締めただけでは合意したことになりません。提案内容を本文で示し、何について回答してほしいかを伝えます。
前提:こちらの都合による日程変更を謝罪し、社内で確認済みの候補日を本文に示している場合。相手の同意はまだ得ていません。
依頼と結びの例:
上記の[候補日時]への変更が可能か、ご検討のうえお知らせいただけますでしょうか。難しい場合は、ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。
こちらの都合で変更をお願いすることとなり、申し訳ございません。
置き換える情報:[候補日時]。本文に示した候補と一致させます。
自分から次に連絡するときは、内容と予定を伝える
こちらが確認を進めて連絡する場面では、相手に「ご確認」をお願いする必要がないこともあります。次に誰が何を伝えるのかを示しましょう。
前提:不備を確認済みで、対応は継続中。完了時期は未定ですが、経過連絡の担当者・日時は確認できている場合。
連絡予定と結びの例:
[確認済みの日時]に、[担当者]から、その時点の確認状況をご連絡します。確認が続いている場合も、経過をお知らせします。
このたびは、[確認済みの不備]について、お詫び申し上げます。
置き換える情報:[確認済みの日時][担当者][確認済みの不備]。
この例は、連絡日時までに対応を完了する約束ではありません。「経過をご連絡します」を「解決してご報告します」に変えると、約束の内容が変わります。連絡予定が未定なら、結びのために架空の日時を入れず、予定を確認しましょう。
原因や対応状況を含めた本文全体の組み立て方は、ビジネス謝罪文の書き方|確認済みの事実・対応・次の連絡を伝える例文で詳しく紹介しています。
同じ事実を保ったまま、結びだけを直す例
表現を直すときは、原因・対応・期限を変えず、最後の一文が何を伝えるかを整えます。以下の比較では、共通の本文をそのまま使います。
依頼のないメールを、お詫びで締める
前提:返信の遅れと担当者不在という事情を確認済み。回答は本文に記載済みで、相手への追加依頼はありません。
共通の本文:
担当者が不在であったため、[問い合わせ内容]への返信が遅くなりました。返信が遅れましたこと、お詫び申し上げます。お問い合わせへの回答は、以下のとおりです。
[確認済みの回答]
修正前の結び:
よろしくお願いいたします。
修正後の結び:
このたびは返信が遅くなりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
置き換える情報:[問い合わせ内容][確認済みの回答]。
修正後も原因は変えていません。「担当者不在」を「引き継ぎ不足」に置き換えたり、決まっていない確認手順の見直しを追加したりすると、結びの修正ではなく事実や約束の変更になります。
本文にある確認依頼を、結びで明確にする
前提:修正版を添付済みで、相手による確認が必要な場合。
共通の本文:
[資料名]の[該当箇所]に誤りがあり、申し訳ございません。訂正した[修正版のファイル名]を添付しております。お手数ですが、[確認してほしい項目]をご確認ください。
修正前の結び:
何卒よろしくお願いいたします。
修正後の結び:
上記項目のご確認を、よろしくお願いいたします。
置き換える情報:[資料名][該当箇所][修正版のファイル名][確認してほしい項目]。
新しい依頼は足していません。重複を減らしたい場合は、本文の確認依頼と結びを一つの文にまとめてもかまいません。
「ご容赦」「ご理解」「今後とも」「引き続き」は意味を確かめて使う
「ご容赦」は、許しを求める言葉
「ご容赦ください」は、相手に許しや大目に見ることを求める表現です。お詫びの言葉と同じ意味ではありません。
訂正や対応の説明が必要な場面で、最後だけ「ご容赦ください」に変えても、必要な情報は補えません。許しを求める意図がないなら、確認済みの不備へのお詫びで締められます。
「ご理解」は、事情の理解を求める言葉
「ご理解いただけますと幸いです」は、事情を理解してほしいというお願いです。変更への同意や、回答の依頼とは区別します。
例えば日程変更への可否を知りたいなら、前の例のように「変更が可能か、お知らせいただけますでしょうか」と書きます。どの事情を理解してほしいのかが不明なまま、定型句だけを置かないようにしましょう。
「今後とも」は、今後の関係継続を願う言葉
「今後ともよろしくお願いいたします」は、これからも関係を続けたいという挨拶です。必要な対応や相手からの質問に答える代わりにはなりません。
本文で必要な説明を済ませ、関係継続の挨拶を添える意図があるときに使います。相手が取引継続を検討している場面などでは、こちらの願いと相手の判断を混同せず、まず求められている回答を伝えましょう。
「引き続き」は、続いている事柄を意識する
「引き続きよろしくお願いいたします」は、現在のやり取りや協力の継続をお願いするときに使います。何が続くのかを本文で示すと、意味が伝わりやすくなります。
前提:資料の不備を謝罪・訂正済み。相手は資料の確認に協力中で、残りの確認項目を本文で示している場合。
結びの例:
引き続き、[残っている確認項目]のご確認をお願いいたします。
置き換える情報:[残っている確認項目]。
対応中だから必ず使えない、対応が終わったから必ず使える、と決める必要はありません。続けてお願いする内容があるかを確かめましょう。
お礼・依頼など、謝罪以外の結びも探したい場合は、ビジネスメールの締め例文100選|社外でも使えるコピペ集をご覧ください。表現は、実際に伝えたい内容に合うものを選んでください。
謝罪メールの締め方でよくある疑問
「何卒」を付ければ、謝罪に適した結びになりますか?
「何卒」はお願いを強める言葉で、謝罪の内容を補うものではありません。「何卒よろしくお願いいたします」に変える前に、相手に何をお願いしているかを明確にしましょう。
依頼を書いた後、もう一度お詫びしてもよいですか?
かまいません。「謝罪の文→具体的な依頼→お詫びの結び」とする方法もあります。最後を依頼で締める方法もあり、一つの順番に限定する必要はありません。謝罪の定型句を何度も重ねず、必要な依頼を読み取れる形にします。
納期遅延でも「よろしくお願いいたします」を使えますか?
変更案への回答など、実際の依頼があるなら、その内容に添えられます。ただし、新しい納期への同意を「よろしく」の一言で求めたり、すでに了承されたものとして扱ったりしないようにします。
状況別の本文例は、納期遅れのお詫びメール例文10選|取引先に失礼にならない書き方で確認できます。掲載例の原因・納品予定・再発防止策は、ご自身の確認済みの内容と一致する場合だけ使ってください。納期が未定なら、決まっている経過連絡と区別して伝えます。
まとめ|最後の一文は、本文の目的に合わせる
謝罪メールの結びは、相手への依頼があるかを出発点に選びます。依頼がなければお詫びで締め、依頼があれば確認・返信・検討などの具体的な行動を伝えましょう。
自分から次に連絡する場合は、確認済みの予定と連絡内容を書きます。言葉を整えるときも、本文にある事実や約束を変えず、実際の対応と一致する一文にしてください。