お見舞いで病室の前に着いたとき、「最初に何と言えばよいのだろう」「家族や同室の人にも挨拶したほうがよいのかな」と迷うことがあります。
病室に入るときは、小さな声で「失礼します」と伝え、本人には名乗ってから短く声をかけるとよいでしょう。付き添いの家族には簡単な自己紹介をし、同室の方には、目が合ったときの会釈や小さな声の挨拶で十分です。
長い挨拶を準備するよりも、相手が起き上がったり、詳しい病状を説明したりしなくてよい言葉を選ぶことが大切です。
迷ったら、この短い言葉から
- 病室の入口:「失礼します。△△です」
- 本人へ:「こんにちは。お見舞いに来ました。そのままで大丈夫ですよ」
- 家族へ:「こんにちは。〇〇さんの友人の△△です」
- 同室の方へ:目が合ったら会釈し、小さな声で「こんにちは」「失礼します」
この記事では、面会の了承を得て訪問した場合に使える、病室へ入るときの挨拶を紹介します。面会場所や入室方法について病院から案内がある場合は、その指示に従ってください。
すぐ使える|病室に入るときの短い挨拶
最初の声かけは、相手との関係に合わせて短くまとめましょう。以下の言葉をすべて続けて言う必要はありません。場面に合うものを選んでください。
病室の入口で声をかける
失礼します。△△です。今、入っても大丈夫でしょうか。
約束をしていても、着替えやケアの最中かもしれません。入口で声をかけ、返事や案内を待ってから入りましょう。
親しい友人・家族へ声をかける
こんにちは。お見舞いに来たよ。起き上がらなくて大丈夫だからね。
本人が横になっている場合は、そのままでよいことを伝えられます。すでに起きている場合は、最後の一文を省いてかまいません。
親戚・目上の方へ丁寧に伝える
こんにちは。△△です。お見舞いに伺いました。どうぞそのままで、楽になさっていてください。
丁寧な言葉でも、かしこまった挨拶を長く続ける必要はありません。相手がこちらを認識できるように名乗り、短く気遣いを添えましょう。
同僚・上司へ声をかける
こんにちは。〇〇部署の△△です。お見舞いに伺いました。どうぞ楽になさっていてください。
仕事の相手でも、病室ではお見舞いの挨拶を中心にします。入ってすぐに、引き継ぎや復帰予定の話を始めないようにしましょう。
病室に入る前に確認したいこと
面会の了承と、病院の最新の案内を確認する
病室へ行く前に、本人が面会を希望しているかを確かめ、了承を得てから訪問します。病院で面会できる時間帯でも、本人が人と会いたい状況とは限りません。
面会時間、予約、人数、受付方法、面会場所などは、病院や病棟によって異なります。病室ではなく、指定された場所で面会する場合もあるため、案内に従ってください。
訪問前の確認に使える文章は、お見舞いに行く前の連絡例文|面会の都合を聞くLINE・メールとマナーで紹介しています。
手洗い・手指消毒などは、訪問先の指示に従う
病室へ入る前には、病院が案内している手洗い・手指消毒などを行いましょう。マスクの着用についても、訪問先の最新の指示を確認してください。
例えば、大阪医療センターの公式案内では、病室を出入りする際の手指衛生を求め、面会者にも同様の協力を案内しています。また、発熱や咳など体調不良がある場合は面会を控えるよう示しています。
参考:国立病院機構 大阪医療センター「入院・お見舞いのご案内」
面会条件は変更される場合があります。訪問先の病院の最新情報をご確認ください。
ドアが閉まっている場合は、軽くノックして待つ
ノックしてよいドアであれば、軽くノックしてから名乗ります。回数にこだわる必要はありません。病院の案内がある場合は、その方法に従ってください。
返事がないからといって、すぐにドアを開けたり、何度も大きな音でノックしたりすることは控えます。入ってよいか判断できない場合は、病棟の職員に確認しましょう。
カーテンが閉まっている場合は、勝手に開けない
ベッドの周りのカーテンは、着替えやケア、休息などのために閉められていることがあります。病室へ入れたとしても、カーテンの内側へそのまま進まないようにします。
△△です。お見舞いに来ました。カーテンを開けても大丈夫でしょうか。
本人や家族、職員の返事を待ちます。返事がなければ、カーテンを開けて様子を確かめようとせず、職員へ相談してください。
本人への挨拶|病状を尋ねるより、楽に過ごせる言葉を
最初に名乗り、誰が来たかわかるようにする
久しぶりに会う相手や、仕事で接点の少ない相手には、名前に加えて関係も伝えるとわかりやすくなります。
こんにちは。以前、〇〇でご一緒した△△です。お見舞いに伺いました。
「私のこと、わかる?」「誰だと思う?」など、相手に答えを求める形にせず、自分から名乗りましょう。
起き上がろうとしたら、そのままでよいと伝える
そのままで大丈夫ですよ。どうぞ楽になさっていてください。
言葉で伝え、相手の希望や職員の指示を尊重します。挨拶のために起き上がることを求めたり、自己判断で身体を支えたりしないようにしましょう。
話すのが負担そうなら、会話を求めない
無理にお話ししなくて大丈夫です。今日はご挨拶だけにしますね。
この言葉を使った場合は、質問を重ねず、挨拶を済ませて面会を切り上げます。「話さなくてよい」と伝えながら長く滞在することは避けましょう。
相手が話し始めたときも、病名や治療の詳しい説明を求めず、本人が話したい範囲で聞いてください。
ほかの短い気遣いの言葉は、お見舞いの言葉・短文例文集|入院・手術・自宅療養のLINE・メール文例も参考になります。
付き添いの家族への挨拶|自己紹介と短い気遣いを
初めて会う家族には、本人との関係を伝える
こんにちは。〇〇さんの友人の△△と申します。今日はお見舞いに伺いました。
仕事関係なら「〇〇さんと同じ部署の△△です」、親戚なら「〇〇の娘の△△です」など、相手に伝わりやすい関係を添えます。
病室にいる人が誰かわからない場合は、配偶者や子どもと決めつけず、まず自分から名乗りましょう。
面会を調整してくれた家族には、お礼を一言添える
こんにちは、△△です。面会の予定をご調整くださり、ありがとうございました。
実際に調整してもらった場合に使える言葉です。何度もお礼を繰り返さず、短く伝えれば十分です。
席を用意しようとしてくれたら、負担をかけない言葉を添える
ありがとうございます。どうぞお気遣いなく。こちらで大丈夫です。
家族が立ち上がったり、荷物を片付けたりしようとした場合の言葉です。座る場所は、本人や家族、職員の案内に従ってください。空いて見える隣のベッドや椅子を、勝手に使わないようにします。
家族の様子にも、短く気を配る
付き添いの家族とは、無理に長い会話をしなくてもかまいません。気遣いを添えるなら、負担や疲れを決めつけずに伝えましょう。
△△さんも、どうぞお身体を大切になさってください。
「ずっと付き添っているんですよね」「大変でしょう」と、確認していない事情を前提に話さないようにします。
家族への気遣いをもう少し詳しく知りたい方は、入院した人の家族にかける言葉|付き添い・看病を気遣うLINE例文をご覧ください。
同室の人への挨拶|会釈や小さな声で十分
目が合ったときに、短く挨拶する
複数人の病室で、同室の方と目が合った場合は、軽く会釈をするか、小さな声で挨拶しましょう。
こんにちは。失礼します。
わざわざ一人ずつのベッドを回って、自己紹介をする必要はありません。相手から話しかけられたときは短く返し、病室全体に会話が広がらないよう配慮します。
休んでいる人や、カーテンの内側にいる人には声をかけない
眠っている方や、カーテンを閉めている方を、挨拶のために起こす必要はありません。カーテンの内側をのぞいたり、返事を待って呼びかけたりすることも控えます。
静かに入室し、小さな声で会話をすること自体が、同室の方への配慮になります。
同室の方に、病状や本人の様子を尋ねない
本人が不在でも、同室の方に「どこへ行きましたか」「具合はどうですか」と詳しく尋ねることは控えましょう。入室してよいか、どこで待つかなど、面会に必要な確認は職員に相談します。
また、本人の病名や治療の話を、大きな声で口にしないことも大切です。カーテンが閉まっていても、声は周囲に聞こえると考えて会話しましょう。
休息中・処置中・不在だったときの対応
本人が眠っているときは、挨拶のために起こさない
面会の約束があっても、到着時には眠っていることがあります。無理に起こさず、付き添いの家族や職員に、待つ場所や帰る対応を相談しましょう。
家族に声をかけられる状況なら、次のように短く伝えられます。
お休みのようなので、今日は失礼します。起こしていただかなくて大丈夫です。
「せっかく来たので少しだけ」と、起こすことを頼む必要はありません。
処置や着替えの最中は、その場に入らない
職員から待つように案内された場合は、その指示に従います。カーテンの隙間から声をかけたり、処置中の本人に挨拶を求めたりしないようにしましょう。
承知しました。どちらで待てばよいでしょうか。
待機が難しい場合は、面会を取りやめる方法を相談してください。
本人が不在なら、病室で勝手に待たない
本人が見当たらない場合は、私物やベッド周りに触れず、職員に面会のために来たことを伝えます。
〇〇さんの面会に来た△△です。ご不在のようなのですが、どのようにすればよいでしょうか。
必要なのは、面会についての案内です。検査や治療の詳しい内容まで聞く必要はありません。
病室に入ってすぐの挨拶で避けたい言葉
| 避けたい言葉 | 気になる点 | 代わりの言葉・対応 |
|---|---|---|
| 「元気そうで安心した!」 | 見た目だけで体調を判断してしまう | 「こんにちは。お見舞いに来たよ」 |
| 「ずいぶん痩せたね」 | 外見の変化に注目させてしまう | 外見への評価を添えずに挨拶する |
| 「何の病気なの?」 | 詳しい説明を求めることになる | 「どうぞ楽になさっていてください」 |
| 「いつ退院できるの?」 | 答えにくい予定を尋ねてしまう | 最初の挨拶では、予定を尋ねない |
| 「せっかく来たから起きて」 | 訪問者の都合を優先してしまう | 「起き上がらなくて大丈夫だよ」 |
| 「絶対すぐ元気になるよ」 | 回復の見通しを断定してしまう | 「無理に話さなくて大丈夫だよ」 |
励ましたい気持ちがあっても、病状や回復を決めつける言葉は避けましょう。入室直後は、名乗ることと、相手が楽な姿勢のままでよいと伝えることを中心にすると、短くまとめられます。
病室に入るときの挨拶でよくある質問
「お邪魔します」と「失礼します」は、どちらがよいですか?
病室に入るときは、「失礼します」が使いやすい表現です。親しい相手に「お邪魔するね」と伝えることもできますが、決まった言葉を完璧に言うことより、小さな声で入室を知らせ、相手の反応を待つことを大切にしましょう。
ドアが開いていれば、そのまま入ってもよいですか?
開いていても、入口で名乗って声をかけてから入りましょう。病棟の受付や職員への申し出が必要な場合は、先にその手続きを済ませます。ドアが開いていることだけで、自由に入ってよいとは判断しないようにしてください。
本人と家族の、どちらに先に挨拶すればよいですか?
厳密な順番を決める必要はありません。入口で家族が迎えてくれたら、まず家族に挨拶して名乗り、その後に本人へ声をかければ自然です。本人が先に気づいた場合は、本人への挨拶から始められます。
同室の人全員に挨拶しないと失礼ですか?
一人ずつ回って挨拶する必要はありません。目が合ったときに会釈するなど、自然な形で十分です。休んでいる方やカーテンを閉めている方には、声をかけずに静かに過ごしましょう。
最初に「具合はどう?」と聞いてもよいですか?
普段から親しい相手なら自然な問いかけになる場合もありますが、詳しい説明を求められたと感じる方もいます。迷う場合は、まず「お見舞いに来たよ」「そのままで大丈夫だよ」と伝え、本人が話したいことを話せるようにしましょう。
何を話せばよいかわからず、緊張します
最初は「こんにちは。△△です。お見舞いに来ました」だけでもかまいません。相手が横になっていたら「そのままで大丈夫ですよ」と添えましょう。会話を盛り上げようとせず、相手の様子に合わせて短く過ごしてください。
まとめ|短い挨拶と、静かな入室で気遣いを伝える
お見舞いで病室に入るときは、「失礼します」と声をかけ、本人には名前と来た目的を短く伝えましょう。
- 本人には「お見舞いに来ました」「そのままで大丈夫ですよ」と伝える。
- 家族には、本人との関係を添えて簡単に自己紹介する。
- 同室の方には、目が合ったときの会釈や小さな声の挨拶で十分。
- ドアやカーテンを開ける前に声をかけ、返事や案内を待つ。
- 眠っている方を挨拶のために起こさず、処置中は職員の案内に従う。
- 詳しい病状や退院予定を、入室直後から尋ねない。
気の利いた言葉を長く話す必要はありません。本人や周囲の方が落ち着いて過ごせるように、声の大きさと短い気遣いを大切にしてください。