お詫びの品に添える送付状には、何についてのお詫びか、品物を一緒に届けるのか別送するのか、日付・宛名・差出人を簡潔に記載します。必要な対応情報を加える場合も、確認できている内容にとどめましょう。
ただし、受け取りを辞退されている場合や、連絡を断られている場合は、文面を整えて送ることより相手の意思を尊重してください。送付状や品物は、謝罪や必要な対応を済ませるための代わりにはなりません。
この記事では、品物の送付が適切で、受取意向を確認できている場合を前提に、法人・個人別の例文と、同封・別送の書き分け、発送前の注意点を紹介します。
送付状を書く前に確認すること
品物の受取意向と、法人の受領ルールを確認する
お詫びの品を送る前に、受け取りを辞退されていないか、届け先や送付方法に希望がないかを確認します。返答がないことだけで、受け取りに同意されたとは判断しないでください。
法人宛ての場合は、相手先に贈答品の受領制限がないか、自社で必要な承認を得ているかも確認します。担当者個人への送付に切り替えて、受領ルールを避けようとすることは控えましょう。
送付前の連絡方法に迷う場合は、謝罪で電話とメールを使い分ける考え方を参考にしてください。必ず電話や訪問を先にするのではなく、相手の希望と用件に合う方法を選びます。
品物と、問題への対応を分ける
お詫びの品を送っても、返金・交換・訂正などの必要な対応が完了するわけではありません。合意した対応の進捗は別に管理し、品物を受け取ったことを許しや解決とみなさないようにします。
品物以外に何を行うべきか整理したい場合は、誠意を行動で示すお詫びの方法をご覧ください。
お詫びの送付状の基本項目と体裁
法人向けの横書き文書では、次の配置を一つの目安にできます。会社の指定書式がある場合は、その形式に合わせてください。
- 右上:日付
- 左上:宛先の会社名・部署名・担当者名
- 宛先の下、右寄せ:差出人の会社名・部署名・氏名・必要な連絡先
- 中央:用件が分かる件名
- 本文:お詫び、品物の案内、必要な対応情報、結び
これは読みやすい配置の例であり、唯一の必須様式ではありません。個人向けの短い添え状では、宛名・本文・日付・氏名を、無理なく読める形でまとめられます。
宛名と差出人を正確に書く
会社や部署を宛先にする場合は「御中」、担当者個人を宛先にする場合は「様」を使います。
- 会社宛て:株式会社〇〇 御中
- 部署宛て:株式会社〇〇 営業部 御中
- 担当者宛て:株式会社〇〇 営業部 [氏名]様
担当者名に「様」を付ける場合、会社名や部署名に「御中」を重ねる必要はありません。
差出人も、必ず代表取締役にする必要はありません。実際の送付主体と、社内で承認された名義を記載します。連絡先を入れる場合は、今回の件を扱う窓口を確認してください。
本文はお詫びから書き、品物の案内につなげる
本文では、何についてのお詫びかを短く伝えた後で、品物について触れます。すでに説明済みの経緯をすべて書き直す必要はありません。
「確認不足」「不注意」といった原因は、実際に確認できている場合だけ記載します。原因が分からなくても、「ご案内が遅れたこと」など、確認済みの不備についてお詫びできます。
頭語を使う場合は「拝啓―敬具」など、対応する結語をそろえます。お詫びの用件を伝える文書なので、時候の挨拶を長く入れる必要はありません。短い個人向けの添え状では、頭語・結語を省く形も選べます。
品物と同封する場合・別送する場合の書き分け
送付状と品物が一緒に届くのか、別便で届くのかが分かる文面にします。発送前・発送済みなど、記載する時点にも合わせましょう。
| 送付方法・状況 | 表現の例 |
|---|---|
| 品物と一緒に届ける | 本状に添えて、心ばかりの品をお届けいたします。 |
| 品物を別便で送る予定 | 本状とは別便にて、[発送予定日]に心ばかりの品を発送する予定です。 |
| 品物を別便で発送済み | 心ばかりの品を、[発送日]に別便にて発送いたしました。 |
到着日が確定していない場合は、届く日を断定しません。品物の発送予定が変わった場合は、送付状の記載も見直してください。
「同封」「同梱」の言葉だけにこだわるより、送付状と品物が一緒か別便かを、相手が理解できることを優先しましょう。
法人・個人別|お詫びの品に添える送付状の例文3選
以下はすべて架空の設定です。品物の送付が適切で、受取意向を確認済みとします。法人の例は、自社の承認と相手先の受領ルールも確認できている前提です。
[ ]を実際の情報に置き換え、原因・対応状況・予定を例文に合わせて作らないでください。以下の枠内は、記事内で紙の文書の配置を示した見本です。
例文1.法人から取引先へ、品物と同封する送付状
使う場面と前提:資料の記載誤りについて説明と訂正を済ませています。品物を送る意向を確認し、紙の送付状を品物と一緒に届ける設定です。原因や再発防止策の詳細は、この送付状には記載しません。
[年]年[月]月[日]
[取引先会社名]
[部署名][担当者名]様
[自社名]
[部署名・差出人氏名]
[所在地・必要な連絡先]
[資料名]の記載誤りに関するお詫び
拝啓
平素よりお世話になっております。
このたびは、[資料名]の[該当箇所]に誤りがあり、訂正版のご確認にお手数をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
[事前説明日]にご説明したとおり、訂正した資料は[送付日]にお送りしております。
本状に添えて、お詫びの気持ちとして心ばかりの品をお届けいたします。お納めいただけましたら幸いに存じます。
改めまして、このたびの記載誤りをお詫び申し上げます。
敬具
書き換える箇所:日付、会社名、部署・氏名、資料名、誤りの箇所、説明日、訂正版の送付日、差出人情報。
削除・変更する場合:訂正が未完了なら「お送りしております」は使わず、確認済みの現在の状況に直します。別送にする場合は、品物を届ける一文も変更してください。
例文2.法人から個人顧客へ、別送の品物を案内する送付状
使う場面と前提:問い合わせへの回答が遅れたことをすでにお詫びし、回答は完了しています。品物は別便で発送済みです。原因や対策はこの文書では断定しない設定です。
[年]年[月]月[日]
[お客様氏名]様
[自社名]
[担当部署・差出人氏名]
[所在地・問い合わせ先]
回答遅れのお詫びと別送品のご案内
拝啓
このたびは、[お問い合わせ事項]への回答が遅れ、お待たせしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
[回答日]にご案内した内容に加え、お詫びの気持ちとして心ばかりの品を、[発送日]に別便にて発送いたしました。お受け取りいただけましたら幸いです。
このたびは、回答までにお時間をいただき、誠に申し訳ございませんでした。
敬具
書き換える箇所:宛名、問い合わせ内容、回答日、実際の発送日、差出人と問い合わせ先。
削除・変更する場合:発送前なら「発送いたしました」を、確認済みの発送予定に直します。問い合わせへの回答がまだ済んでいない場合は、回答完了を前提にしたこの文面をそのまま使わないでください。
顧客への受付や調査開始の返信が必要な場合は、クレームへの返信メールの書き方と例文を参考にできます。品物の案内だけで、必要な回答を省かないようにしましょう。
例文3.個人から知人へ、品物に添える短い添え状
使う場面と前提:訪問日時を誤って伝えたことについて謝罪と訂正を済ませ、相手が時間を空けて待っていたことも確認できています。品物を送る意向は確認済みです。頭語・結語を省いた短い形式です。
[相手の氏名]様
先日は、訪問日時を誤ってお伝えし、お時間を空けてお待ちいただくことになってしまい、申し訳ありませんでした。
お詫びの気持ちとして、本状に添えて心ばかりの品をお届けします。お受け取りいただけましたら幸いです。
今後は、日時をお伝えする前に予定を確認します。改めて、お詫び申し上げます。
[年]年[月]月[日]
[差出人氏名]
書き換える箇所:相手の氏名、自分がしたこと、確認できている負担、実行できる改善、日付と氏名。
削除・変更する場合:相手が待っていたか分からない場合は、その部分を推測で記載しません。改善の内容も、自分が実行できるものに直してください。
お詫びの送付状で避けたい表現と言い換え
品物の受け取りや許しを迫る言葉、価格を強調する言葉は控えます。下表の表現も、相手が受け取りを辞退している場合に送付を正当化するものではありません。
| 避けたい表現 | 気をつけたい点・言い換え |
|---|---|
| ご笑納ください | 謝罪の趣旨には軽く感じられる場合があります。「お納めいただけましたら幸いです」などにします。 |
| これでご容赦ください | 品物と許しを交換するように見えます。「お詫びの気持ちとして、心ばかりの品をお届けいたします」と送付の趣旨を伝えます。 |
| 高価な品を用意しました | 価格を評価してもらう文章になっています。金額には触れず、品物を送ることを簡潔に記載します。 |
| 受け取りの連絡を必ずお願いします | 相手に新たな負担を求めます。業務上の必要性がなければ削除し、必要な場合だけ理由と確認方法を別途調整します。 |
「ご笑納」は一律の禁止語ではありませんが、お詫びの送付状では、謝罪の趣旨に合う落ち着いた表現を選ぶほうがよいでしょう。
また、「これにて解決」「お受け取りいただいたのでご了承済み」といった、相手の意思を決めつける文言は加えないでください。
手書き・印刷の選び方と、封入・発送前の確認
手書きか印刷かは、読みやすさと書式で選ぶ
法人では社内書式に沿って印刷し、個人では手書きの添え状にするなど、相手との関係や作成方法に合わせて選べます。印刷だから不誠実、手書きなら必ず気持ちが伝わる、という違いではありません。
縦書き・横書きも、会社の指定や読みやすさに合わせます。手書きにする場合は、宛名や日付、固有名詞を確認し、読みやすい字で記載しましょう。
文書・品物・配送情報を照合する
- 宛名と配送先の氏名・会社名が一致しているか
- 日付と、発送済み・発送予定の表現が合っているか
- 品物が同封か別送か、本文と実際の手配が一致しているか
- 別の相手の送付状や、不要な書類が混ざっていないか
- 差出人と問い合わせ先は適切か
- 品物の価格、注文者用の明細など、不要なものが入らないか
- 相手の受取希望と、自社・相手先のルールを確認したか
- 必要な保管方法などの案内がある場合、品物の表示と矛盾しないか
店舗から品物を直送する場合は、送付状を一緒に入れられるか、注文者向けの書類がどう扱われるかを事前に確認してください。同封できない場合は、手紙の別送など、実際に利用できる方法に合わせます。
包装や掛け紙は、送付先の事情や店舗で対応できる内容を確認して選びます。地域や場面による違いがあるため、表書きや水引だけで一律に決めず、必要なら事情を伝えて店舗へ相談しましょう。
お詫びの送付状でよくある質問
すでにメールで謝罪していても、同じ説明を書くべきですか?
すべてを繰り返す必要はありません。何についてのお詫びか分かる要点と、品物の送付方法を簡潔に記載します。
調査や対応が続いている場合は、送付状だけで詳しい報告を済ませようとせず、約束した方法で必要な情報を伝えます。文面は、謝罪後の経過報告・完了報告の例文で確認できます。
短いカードでもよいですか?
個人間で、すでに事情を説明している場合などは、短い添え状やカードにまとめる方法もあります。その場合も、宛名、何についてのお詫びか、品物を添えること、日付、差出人は分かるようにします。
法人では必要な記載事項や社内書式を確認してください。小さなカードに収めるために、必要な情報まで省かないことが大切です。
再発防止策は必ず書かなければいけませんか?
必須ではありません。送付状では謝罪と送付の趣旨を伝え、対策の詳細は別に報告する形も選べます。記載する場合は、決定済みの内容と実施状況を確認し、未決定の対策を約束しないようにしてください。
まとめ|お詫びと送付方法を、短く正確に伝える
お詫びの品に添える送付状では、何についてのお詫びかを先に伝え、品物を一緒に届けるのか別送するのかを明確にします。日付・宛名・差出人も、実際の送付内容と照合しましょう。
法人・個人の関係に合わせて書式や言葉を選び、未確認の原因や未決定の対策は加えないようにします。価格の強調や、受け取り・許しを求める表現も控えてください。
品物の送付は、必要な対応や相手の意思に代わるものではありません。受取意向を尊重したうえで、今回の用件に合う簡潔な送付状に整えましょう。