職場でからかわれて、とっさに笑ってしまった。親戚に嫌なことを言われたのに、何も言えず、帰ってから悔しくなった。そんなとき、「どうしてあの場で言い返せなかったんだろう」と自分を責めていませんか。
すぐに言葉が出なかったことを、責めなくて大丈夫です。その場では「今はうまく返せないので、この話はいったん終わりにします」と区切るだけでもかまいません。何も言えずに離れた後で、伝え直すこともできます。
この記事では、相手を言い負かすためではなく、嫌だったことや今後の希望を伝えるための言葉を紹介します。笑ったり黙ったりしたことだけで、その発言を受け入れたことにはなりません。
嫌なことを言われたその場で使える、短い返し方
まずは、今何をしたいかで言葉を選びます。意味を確認したいのか、その話をやめてほしいのか、返事を待ちたいのか、会話を終えたいのか。一つ伝えられれば十分です。
以下は架空の例文です。相手との関係に合わせて、語尾や話題を変えて使ってください。怒鳴られる、脅されるなどの怖さがある場合は、無理に試さず、安全を優先してください。
1.発言の意味を確かめたいとき
今のお話は、どういう意味でしょうか。
使う場面:遠回しな表現で、何を指しているのか分からず、確認したいとき。
皮肉を返すのではなく、分からなかった点を尋ねる言葉です。ただし、相手に発言を繰り返させることがつらい、説明を聞くと長引きそうだと感じるなら、確認せず会話を終えてかまいません。
2.その話題をやめてほしいとき
その話は、ここでやめてほしいです。
使う場面:容姿や私生活など、これ以上触れてほしくない話が続くとき。
嫌な理由をすべて説明しなくても、話題を終えたい希望は伝えられます。親しい相手には「その話は、もうやめてほしいな」と変えてもよいでしょう。
3.すぐには返答できないとき
今はうまく言葉にできないので、返事は少し待ってください。
使う場面:嫌な発言の後に意見を求められたり、その場で答えるよう促されたりしたとき。
後で話すかどうかも、落ち着いてから決められます。業務上の返答が必要なら、その用件について回答できる時刻を別に伝えましょう。不快な発言への返答まで、その期限で約束する必要はありません。
怒りが強く、きつい言葉を返してしまいそうなときは、先に会話を区切ってもかまいません。イライラしたときに試せる対処法も参考にしてください。
4.会話を終えて、その場から離れたいとき
この話はいったん終わりにします。ここで失礼します。
使う場面:これ以上やり取りを続けたくないときや、少し距離を取りたいとき。
伝えられそうなら、短く区切って席を移します。言葉を返すこと自体が難しいなら、言い返さずに離れる選択もあります。怖さがある場合は、説明や挨拶より、ほかの人のいる場所など安全な所へ移ることを優先してください。
職場・家族・友人への伝え方の例文
関係によって言葉の丁寧さは変えられますが、嫌な言い方を我慢し続ける必要はありません。「何について」「どうしてほしいか」を短く伝えてみましょう。
5.職場で、仕事の指摘と人格への発言を分けたいとき
資料の誤りは修正します。ただ、「何をやってもだめ」と言われると、何を直せばよいか分からず困ります。修正が必要な点を具体的に教えてください。
使う場面:仕事上の修正点とともに、自分全体を否定するような言葉を受けたとき。
「資料の誤り」は、実際に確認できた修正事項に置き換えます。誤りかどうか分からない段階なら、まず内容を確認してください。必要な修正に対応することと、人格を傷つける言い方を受け入れることは別です。
相手の言い方が気になったからといって、指摘の内容すべてが不当だと決まるわけでもありません。作業の問題と発言の問題を分けると、対応する用件を整理できます。直接伝えにくい立場なら、その場で無理をせず、別の上司などに確認方法を相談する選択肢もあります。
6.家族・親戚から、人と比べられて嫌だったとき
ほかの人と比べる言い方は、やめてほしいな。私のことは、比べずに話してほしい。
使う場面:親戚の集まりなどで、仕事や暮らしをほかの人と比べられたとき。
比較された相手を悪く言ったり、自分のほうが優れていると証明したりする必要はありません。話を続ける余裕がなければ、比較の理由を聞かず、その話題を終えてもかまいません。
7.友人から、失敗を繰り返しからかわれるとき
その失敗を笑い話にされるのは嫌なんだ。もう話題にしないでほしい。
使う場面:以前の失敗を何度も持ち出され、つらくなっているとき。
「その失敗」は、相手がどの話か分かる言葉に変えます。以前は一緒に笑っていたとしても、今後はやめてほしいと伝えられます。前の反応に合わせ続けなくて大丈夫です。
その場で言えなかったことを、後から伝える例文
後から伝える場合は、気になっている発言を一つに絞り、いつの何という言葉か、自分はどう感じたか、今後どうしてほしいかを短くまとめます。相手の意図を証明したり、すべての出来事を並べたりする必要はありません。
対面なら、直接話しても安全だと感じられる時間や場所を選びます。二人きりになることが不安なら、第三者に同席を頼む、先に相談するなどの方法を選んでください。
8.対面で、あの言い方は控えてほしいと伝えるとき
昨日、みんなの前で「何もできない」と言われたことが、つらかったです。今後はその言い方を控えてほしいです。
使う場面:会話の後に気持ちが整理でき、改めて短く伝えたいとき。
日時と発言は、実際に覚えている内容に置き換えます。正確な言葉を思い出せない場合は、引用として断定せず、どの場面の話かを伝えましょう。相手の人格への批判に広げず、控えてほしい発言を示す形です。
9.職場で、メールやチャットで伝えるとき
本日の打ち合わせで、私の説明について「こんなことも分からないのか」と言われた件です。その言い方では、質問を続けることが難しく感じました。今後は、説明が不足している点を具体的にお伝えいただきたいです。
使う場面:口頭では言葉がまとまらず、仕事上の困りごとと希望を文章で伝えたいとき。
発言や影響は、実際の出来事に合わせて変更します。職場で認められた連絡手段を使い、必要以上に多くの人へ一斉送信せず、相談相手への共有とは分けて考えましょう。直接送ると不利益や威圧が心配な場合は、先に別の上司や人事などへ相談してかまいません。
10.友人や家族へ、LINEで伝えるとき
さっき、私の服装をみんなの前でからかわれたことが嫌だった。その場では笑ってしまったけれど、平気だったわけではないんだ。これからは、服装をからかうのはやめてほしい。
使う場面:笑って流したため、嫌だったことが伝わっていないと感じるとき。
「服装」は、実際に触れられて嫌だった話題に置き換えます。送信前に、対象の発言と希望が分かるかを一度確認しましょう。急いで送る必要がなければ、下書きのまま置いてもかまいません。
後から伝える内容をもう少し整理したいときは、イライラした気持ちを責めずに伝える言い換え例文も参考になります。
後から伝えることは選択肢の一つです。連絡が負担になる場合や、伝えると危険を感じる場合は、無理に送らなくて大丈夫です。
「冗談なのに」「気にしすぎ」と返されたとき
相手から発言の意図を説明されても、自分が嫌だったことまで取り消す必要はありません。冗談だったかどうかの議論を続けるより、これから控えてほしいことを伝え直す方法があります。
11.「冗談なのに」と言われたとき
冗談のつもりだったんだね。でも、私は嫌だったので、その言い方は今後やめてほしい。
使う場面:嫌だったと伝えた後、冗談だったことを理由に話を終えられそうなとき。
相手が述べた意図を受け止めることと、その発言を受け入れることを分けています。面白いかどうかを決める話に戻らず、今後の希望を一つ伝えます。
12.「気にしすぎ」と言われたとき
感じ方が違っても、その言い方を控えてほしいというお願いは変わりません。
使う場面:自分の受け止め方を否定され、希望が伝わらないとき。
自分の感じ方が正しいと認めてもらうまで、説明を繰り返さなくてかまいません。同じ返答が続くなら、その場の会話を終えて距離や相談先を考える段階に移れます。
嫌な発言が繰り返されるときは、記録と相談も選べる
言葉を選んで伝えても、相手が発言を改めるとは限りません。受け入れてもらえなかったときに、自分の説明が足りなかったと決めつけず、次の対応を考えてください。
安全にできる範囲で、実際の出来事を残す
後で相談するときに説明しやすいよう、次の点を短くメモしておく方法があります。すべてを埋める必要はありません。
- 日時と場所
- 誰から、実際に何と言われたか
- その場にいた人
- 自分が何を伝えたか、その後どうなったか
- 質問ができず作業が止まった、眠れなくなったなど、仕事や生活への影響
相手の本心の推測と、見聞きしたことを分けます。正確に覚えていない言葉は、その旨を残せば十分です。関連するメールやメッセージも、職場の情報管理ルールに沿って保管してください。相手に見られる心配がある場合は、記録より安全を優先しましょう。
自分だけで、伝え方を工夫し続けなくてよい
職場なら、発言した本人以外の上司、人事、社内相談窓口などに、具体的な言葉と業務への影響を伝える方法があります。家族や友人との関係なら、信頼できる第三者に、今後の会い方や連絡の取り方を一緒に考えてもらってかまいません。
相談するときに、先にハラスメントなどの名称を自分で決める必要はありません。何が起きて、何に困っているのかを、分かる範囲で伝えられます。
怒鳴る、脅す、行く手をふさぐなどの言動があり、怖さを感じる場合は、二人だけで話し合おうとせず、安全な場所や第三者につながることを優先してください。つらさや眠れなさが続き、日常生活に支障がある場合は、かかりつけ医などの専門家に相談する選択肢もあります。
次のために、短い言葉を一つ用意しておこう
嫌なことを言われたとき、すぐに整った返答をするのは難しいこともあります。まずは、この記事から口にしやすい一言を一つ選んでおくだけでもかまいません。
その場で区切る、後から文章で伝える、言い返さず離れる、第三者に相談する。どの方法を選ぶかは、相手との関係や自分の負担、安全を考えて決められます。その場で言えなかったとしても、これからの対応を選ぶことはできます。