手紙やメールに時候の挨拶を入れたいと思っても、「どこに入れるの?」「拝啓の次は何を書く?」「ビジネスメールにも必要?」と迷うことがあります。

時候の挨拶は、季節の言葉を並べるだけのものではありません。相手との関係、文章を送る目的、媒体に合わせて使い分けると、短い一文でも丁寧な気持ちが伝わります。

この記事では、月別の季語一覧ではなく、時候の挨拶を文章の中で正しく使う方法を解説します。手紙・ビジネス文書・メール・学校関係など、場面別の全文テンプレートも用意しました。

この記事でわかること

  • 時候の挨拶を入れる位置と文章全体の順番
  • 漢語調と口語調の使い分け
  • 手紙・メール・相手別の全文テンプレート
  • 不自然になりやすい表現と直し方
  • 時候の挨拶を省略してよい場面

今月使える具体的な季語や書き出しを探している方は、1月〜12月の時候の挨拶一覧から、送る時期に合う表現を選んでください。

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時候の挨拶とは?文章のどこに入れる?

時候の挨拶とは、季節や天候に触れながら、相手の健康や近況を気遣う言葉です。改まった手紙では、頭語のあとに置きます。

改まった手紙の基本順序

  1. 頭語:「拝啓」「謹啓」など
  2. 時候の挨拶:「新緑の候」「朝夕は涼しくなりました」など
  3. 相手を気遣う言葉:「皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます」など
  4. 主文:お礼、案内、依頼、報告などの本題
  5. 結びの挨拶:健康や繁栄を願う言葉
  6. 結語:「敬具」「謹白」など

たとえば、次のようにつなげます。

拝啓 新緑の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

先日は温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。

季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください。敬具

「新緑の候」が時候の挨拶、「皆様には〜」が相手を気遣う言葉です。二つを合わせて一文にすると、自然な書き出しになります。

時候の挨拶は漢語調と口語調を使い分ける

時候の挨拶には、改まった印象の「漢語調」と、会話に近いやわらかな「口語調」があります。どちらが正しいということではなく、相手や場面に合わせて選ぶことが大切です。

種類表現例向いている場面
漢語調新緑の候、晩秋の候、厳寒の候取引先、目上の方、案内状、正式なお礼状
口語調若葉が美しい季節となりました友人、親戚、学校への連絡、親しい相手へのメール

漢語調は「〇〇の候+相手を気遣う言葉」で使う

漢語調は「〇〇の候」だけで終わらせず、そのあとに相手の繁栄や健康を願う言葉を続けると整います。

  • 会社・団体へ:貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
  • 個人へ:〇〇様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
  • 家族を含めて:皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

「ご清栄」「ご隆盛」は会社や団体の繁栄に、「ご健勝」「ご清祥」は個人の健康や幸せに使います。個人宛てに「貴社」、会社宛てに「ご健勝」と書かないよう、対象を確認しましょう。

口語調は実際の季節を自然な言葉にする

口語調では、難しい季語を無理に使う必要はありません。「風が冷たく感じられるようになりました」「桜の便りが届く頃となりました」など、その土地の気候に合う言葉を選びます。

暦では春でも雪が続いている地域へ「暖かな春の日差しが心地よい季節」と送ると、不自然に感じられることがあります。迷ったときは、季節を限定しすぎない「季節の変わり目となりましたが」のような表現が使いやすいでしょう。

【場面別】時候の挨拶を使った全文テンプレート

書き出しと結びだけでなく、本題までつないだ例文を紹介します。季節の部分と用件を入れ替えて使ってください。

取引先へのお礼状

拝啓 〇〇の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。このたびは〇〇に際し、多大なるお力添えをいただき、誠にありがとうございました。

今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。末筆ながら、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

敬具

目上の方へのお礼の手紙

拝啓 〇〇の候、〇〇様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。

先日はお忙しいなか、お時間をいただきありがとうございました。お話しいただいた〇〇について、改めて深く考える機会となりました。

季節の変わり目ですので、くれぐれもお身体を大切になさってください。まずは書中にて御礼申し上げます。

敬具

学校の先生への連絡

〇〇先生

朝夕は少しずつ涼しくなってまいりました。先生には、日頃より〇〇がお世話になり、ありがとうございます。

本日は〇〇についてご相談したく、ご連絡いたしました。(ここに相談内容を書きます)

お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

先生への手紙では、形式よりも用件がわかりやすく伝わることが大切です。感謝・相談・お詫びなど、目的別の例文は保護者から先生への手紙の書き方と例文も参考にしてください。

親戚や親しい方への手紙

庭の花が色づき、秋の深まりを感じるようになりました。皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。

こちらは家族そろって元気に過ごしています。先日いただいた〇〇は、みんなでおいしくいただきました。いつも温かいお心遣いをありがとうございます。

朝晩は冷え込むようになりましたので、どうぞお身体を大切にお過ごしください。またお会いできる日を楽しみにしています。

久しぶりに連絡する友人へのメール

日差しに春らしさを感じるようになりました。元気にしていますか。

先日〇〇を見かけて、懐かしくなり連絡しました。こちらは変わらず元気に過ごしています。

落ち着いた頃に、またゆっくり話せたらうれしいです。季節の変わり目なので、体調に気をつけて過ごしてね。

ビジネスメールに時候の挨拶は必要?

日常的なビジネスメールでは、時候の挨拶は必須ではありません。「いつもお世話になっております」に続けて本題へ入るほうが、要件を早く伝えられます。

一方、次のようなメールでは短い季節の言葉を添えると、丁寧で温かな印象になります。

  • 日頃のお礼や節目の挨拶
  • 異動・退職・就任の挨拶
  • しばらく連絡していない相手へのメール
  • 年末年始や暑中・残暑の挨拶
  • 案内状に近い改まったメール

メールでは「拝啓・敬具」を使わず、宛名、挨拶、本題、結び、署名の順にまとめても問題ありません。

〇〇株式会社
〇〇様

いつも大変お世話になっております。
厳しい暑さが続いておりますが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

さて、〇〇についてご連絡申し上げます。

ご多用の折恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

結びの言葉は本文の目的に合わせて選ぶ

結びには季節への気遣いだけでなく、文章の目的に合う一文を添えます。同じ表現を重ねず、簡潔に締めましょう。

目的結びの例
健康を気遣う季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください。
会社の発展を願う貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
今後の関係を願う今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
返信をお願いするお手数をおかけしますが、ご返信を賜りますようお願い申し上げます。
返信不要を伝えるご返信には及びませんので、どうぞお気遣いなくお過ごしください。

「ご自愛」は「自分の身体を大切にする」という意味を含むため、「お身体をご自愛ください」とすると意味が重なります。「どうぞご自愛ください」と書けば十分です。

時候の挨拶を省略したほうがよい場面

丁寧に見せようとして、どの手紙にも時候の挨拶を入れればよいわけではありません。次の場面では、相手への配慮や用件の緊急性を優先します。

  • お悔やみ:季節の明るい表現を避け、悔やみの言葉から始める
  • 災害・事故のお見舞い:形式的な挨拶を省き、安否を気遣う
  • 緊急の連絡:結論や必要な行動を先に伝える
  • 日常的な業務メール:定型の挨拶のあと、簡潔に本題へ入る
  • チャットやLINE:相手との関係に合う自然な一言にする

相手が療養中の場合も、「ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」は状況に合いません。「その後のお加減はいかがでしょうか」「一日も早いご回復をお祈りしております」などに言い換えましょう。

時候の挨拶でよくある失敗と直し方

季節と合わない言葉を使う

時候の挨拶は、手紙を書き始めた日より、相手に届く時期を意識して選びます。また、同じ日本でも地域によって気候が異なるため、実際の天候から大きく外れない表現にしましょう。

頭語と結語の組み合わせが合っていない

一般的な手紙では「拝啓」と「敬具」を組み合わせます。より改まった「謹啓」には「謹白」または「敬白」を合わせます。女性が使うことのある「かしこ」は、ビジネス文書には通常用いません。

書き出しと結びで同じ内容を繰り返す

冒頭で「暑い日が続いております」と書き、結びでも同じ言葉を繰り返すと単調になります。結びは「お疲れの出やすい頃ですので、どうぞご自愛ください」のように、相手を気遣う言葉へ展開すると自然です。

丁寧にしようとして長くなりすぎる

挨拶が長すぎると、本題が伝わりにくくなります。特にメールでは、時候の挨拶と安否を気遣う言葉を一〜二文に収めましょう。

時候の挨拶に関するよくある質問

時候の挨拶は必ず「拝啓」のあとに書きますか?

改まった手紙では「拝啓」のあとに書くのが基本です。ただし、メールや親しい相手への手紙では、頭語を使わず季節の一文から始めても構いません。

「〇〇の候」は何と読みますか?

「候」は「こう」と読みます。「新緑の候」であれば「しんりょくのこう」です。「このような季節になりました」という意味で使われます。

季節を問わず使える書き出しはありますか?

会社宛てなら「時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」が使えます。ただし、温かみを加えたい場合は、実際の天候に触れた短い口語調のほうが自然です。

返信の手紙にも時候の挨拶は必要ですか?

改まった返信では入れても構いませんが、すぐに返事を伝えたい場合は「お手紙をうれしく拝見いたしました」「ご丁寧なお便りをありがとうございました」と始める方法もあります。

「ご返信は不要です」は失礼になりませんか?

間違いではありませんが、言い切ると強く感じられることがあります。「ご返信には及びません」「どうぞお気遣いなさいませんように」と、相手の負担を減らす意図が伝わる表現がおすすめです。

まとめ|時候の挨拶は季節より先に相手を思い浮かべる

時候の挨拶を上手に使うポイントは、難しい季語を選ぶことではありません。相手との関係、手紙の目的、実際の気候に合う表現を選ぶことです。

  • 改まった手紙は「頭語→時候の挨拶→相手への気遣い→本題→結び→結語」の順にする
  • 取引先や目上の方には漢語調、親しい相手には口語調が使いやすい
  • 日常的なビジネスメールや緊急連絡では省略してもよい
  • 会社には「ご清栄」、個人には「ご健勝」など、対象に合わせる
  • 結びは健康、繁栄、返信など、文章の目的に合わせる

文章の型を決めてから季節の一文を選ぶと、書き出しから結びまで迷わず整えられます。

月や時期に合う具体的な表現は、時候の挨拶一覧|1月〜12月の書き出しと結びで確認してください。