「このまま介護士を続けてよいのだろうか」
「介護の仕事を辞めて、別の道へ進んだほうがよいのではないか」
介護の仕事に疲れを感じながらも、これまで身につけた経験や資格、利用者さんとの関係を考えると、簡単には決められない方もいるでしょう。
介護士を続けるか辞めるか迷ったとき、大切なのは、すぐに二者択一の答えを出すことではありません。
介護の仕事そのものが合わないのか、それとも現在の職場や働き方が合っていないのかを分けて考える必要があります。
この記事では、介護士として働き続ける場合、別の介護施設へ転職する場合、介護職以外の道へ進む場合の判断基準を分かりやすく解説します。
この記事でわかること
この記事では、介護士を続けるか別の道へ進むかを判断するために、次の内容を解説します。
- 介護士を続けるか迷う主な理由
- 介護の仕事と現在の職場を分けて考える方法
- 今の職場で働き続ける場合の判断基準
- 別の介護施設へ転職する選択肢
- 介護経験を生かして別の道へ進む方法
- 転職先を選ぶときに確認したい7項目
- 後悔を減らすための行動手順
介護士を続けるか辞めるか迷うのは自然なこと
介護の仕事には、やりがいや人とのつながりがある一方で、身体的・精神的な負担もあります。
続けたい気持ちと辞めたい気持ちが同時に生まれることは、決して珍しいことではありません。
移乗や入浴介助による身体的な負担、夜勤や不規則勤務、人手不足、人間関係、給料への不満などが重なると、自分が介護の仕事に向いていないように感じる場合があります。
しかし、疲れているときに将来を考えると、すべての問題が「介護士を辞めなければ解決しない」と見えてしまうことがあります。
まずは、今の気持ちを否定せず、何に苦しさを感じているのかを一つずつ整理してみましょう。
最初に「介護の仕事」と「今の職場」を分けて考える
介護士を続けるか判断するうえで重要なのが、介護の仕事そのものへの気持ちと、現在の職場への不満を分けて考えることです。
介護の仕事そのものがつらい場合
利用者さんと接することや身体介護そのものに強い苦痛を感じ、勤務先や勤務時間が変わっても続けたいと思えない場合は、介護職以外の道も選択肢になります。
ただし、強い疲労や睡眠不足があるときは、仕事全体を否定的に捉えやすくなります。
可能であれば休息を取り、体調が落ち着いた状態でも同じ気持ちが続くかを確認しましょう。
今の職場や働き方がつらい場合
利用者さんと接することにはやりがいを感じているものの、人手不足、夜勤回数、人間関係、給料、休みの取りにくさなどに悩んでいる場合は、介護の仕事ではなく現在の職場が合っていない可能性があります。
この場合は、介護士を辞めなくても、職場や雇用形態を変えることで負担を減らせることがあります。
自分が単に疲れている状態なのか、本当に限界を迎えているのか判断できない方は、「辞めたい」と「限界」は違う|介護士が今の自分を見極める方法も参考にしてください。
3つの選択肢を比較して考える
介護士の今後を考えるときは、「続けるか辞めるか」だけではなく、次の3つの選択肢に分けると判断しやすくなります。
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 今の職場で続ける | 改善できる問題があり、仕事へのやりがいも残っている | 我慢だけで続けない |
| 別の介護施設へ転職する | 介護の仕事は続けたいが、現在の職場や勤務条件が合わない | 転職先の条件を詳しく確認する |
| 介護職以外の道へ進む | 介護業務そのものを続けることが難しい | 収入や必要な準備を確認してから動く |
どの選択肢が正しいかは、その人の体調、生活、家族の状況、収入、今後の希望によって異なります。
今の職場で働き続けてもよいケース
すぐに退職するのではなく、現在の職場で働き方を見直すことで改善できる場合もあります。
一時的な疲れが原因になっている
繁忙期や欠員の影響で一時的に勤務が厳しくなっている場合は、休息を取ることや勤務調整を相談することで気持ちが変わる可能性があります。
有給休暇や希望休を利用できるのであれば、まず心身を休ませることを優先しましょう。
上司へ相談できる余地がある
夜勤回数、担当業務、勤務時間、身体介護の負担などについて、上司へ相談できる環境であれば、すぐに辞めなくても働き方を変えられる可能性があります。
相談するときは「つらいです」だけではなく、「夜勤を月○回までにしたい」「移乗介助が続かない配置を希望したい」など、具体的に伝えることが大切です。
介護の仕事にやりがいを感じている
利用者さんとの関わりや生活支援にやりがいを感じている場合、介護士という仕事自体を手放す必要はないかもしれません。
やりがいは残っているのに、職場の人員体制や勤務条件に悩んでいるのであれば、別の施設へ移る選択肢も検討できます。
別の介護施設へ転職したほうがよいケース
介護の仕事は続けたいものの、現在の職場では改善が難しい場合は、別の施設へ転職することも現実的な選択肢です。
相談しても勤務状況が改善されない
夜勤回数や業務負担について繰り返し相談しても改善されず、心身の負担が続いている場合は、今の職場にこだわりすぎないことも大切です。
特に、人手不足を理由に無理な勤務が常態化している場合は、個人の努力だけで改善するのが難しいことがあります。
心身に不調が現れている
眠れない、食欲がない、仕事へ行こうとすると強い不安を感じる、休日も疲れが取れないなどの状態が続いている場合は、働き続けることよりも休養を優先してください。
体調に不安がある場合は、自己判断だけで抱え込まず、医療機関や適切な相談窓口へ相談しましょう。
安全な介護を続けることが難しい
極端な人手不足や過重労働によって、利用者さんの安全を守ることが難しいと感じる場合も、職場を見直すサインです。
事故が起こる前に、自分の責任と職場の体制上の問題を分けて考える必要があります。
退職や転職を検討する具体的なサインを確認したい方は、介護士が辞めどきを見極める7つのサイン|辞めたほうがよい職場の特徴をご覧ください。
介護士から別の道へ進む選択肢
介護職以外へ進む場合も、これまでの経験が無駄になるわけではありません。介護現場で身につけた力は、さまざまな仕事で生かせます。
介護に関係する別の仕事へ進む
身体介護の負担を減らしながら介護経験を生かしたい場合は、福祉用具、介護事務、施設の受付や運営補助など、介護周辺の仕事を調べる方法があります。
ただし、仕事内容や必要な資格は勤務先によって異なります。
名称だけで判断せず、実際の業務内容を求人票や面接で確認しましょう。
接客や調整力を生かせる仕事へ進む
介護士は、利用者さんや家族の話を聞き、状況に応じて伝え方を変えながら、多職種と連携しています。
この経験は、接客、受付、営業補助、コールセンターなど、人と関わる仕事でも生かせる可能性があります。
資格取得や学び直しを始める
すぐに退職せず、働きながら興味のある分野を学ぶ方法もあります。
資格取得や職業訓練を検討するときは、必要な費用、学習期間、受講条件、就職後の働き方を確認しましょう。
「辞めてから考える」のではなく、在職中に情報を集めることで、収入が途切れる不安を減らせます。
介護士を続けるか判断するための5つの質問
気持ちが整理できないときは、次の質問を書き出してみると、自分が本当に変えたいことが見えやすくなります。
- 介護の仕事で、今もやりがいを感じる場面はあるか
- 現在のつらさは、職場を変えれば軽くなりそうか
- 体調や生活を守りながら働き続けられるか
- 収入や家族の生活にどのような影響があるか
- 1年後も同じ職場で働いている自分を想像できるか
すべての質問へ明確に答えられなくても問題ありません。
「何が嫌なのか」だけでなく、「今後どのように働きたいのか」を考えることが重要です。
転職先を選ぶときに確認したい7項目
別の介護施設へ転職する場合は、施設名や求人票の印象だけで決めず、次の7項目を確認しましょう。
- 給与・賞与・資格手当・夜勤手当・処遇改善に関する手当
- 月平均の残業時間
- 夜勤の有無・回数・夜勤時の人員体制
- 年間休日・希望休・有給休暇の取得状況
- 離職率・平均勤続年数
- 職員配置・利用者数・介護度・身体介護や看取りの負担
- 教育・研修体制・資格取得支援
求人票だけでは分からない項目は、採用担当者への質問や職場見学で確認します。
「人間関係がよいですか」と聞くよりも、「入職後は誰に質問できますか」「夜勤時は何人で何人の利用者さんを担当しますか」など、具体的に質問すると実態を把握しやすくなります。
後悔を減らすための行動手順
気持ちだけで結論を出すのではなく、小さな行動を順番に進めることで、落ち着いて判断しやすくなります。
- つらいことと続けたい理由を書き出す
- 休養や勤務調整で改善できるか確認する
- 家計と退職後に必要なお金を整理する
- ほかの介護施設や職種の求人を調べる
- 現在の職場と転職先候補を比較する
- 家族や信頼できる人へ相談する
- 退職時期と次の行動を決める
求人を見ることは、必ず転職するという意味ではありません。
今の職場以外の働き方を知るだけでも、自分の希望や現在の職場の問題点を整理できます。
よくある質問
ここでは、介護士を続けるか別の道へ進むか迷っている方から生じやすい疑問に答えます。
Q1. 介護士を辞めたいと思うのは甘えですか?
辞めたいと思うこと自体は甘えではありません。
身体的な負担、人間関係、夜勤、給料、家庭との両立など、悩む理由は人によって異なります。
自分を責めるより、何が負担になっているのかを整理しましょう。
Q2. 介護の仕事を辞めると資格や経験は無駄になりますか?
介護職を離れても、資格や経験がなくなるわけではありません。
利用者さんへの対応、観察力、報告・連絡・相談、多職種との連携などの経験は、ほかの仕事でも生かせます。
Q3. 次の仕事が決まる前に退職してもよいですか?
心身の安全を優先する必要がある場合を除き、収入や生活費に不安がある方は、在職中に情報収集や転職活動を始めると安心です。退職前に、当面の生活費や利用できる制度も確認しましょう。
Q4. 別の施設へ転職すれば悩みは解決しますか?
職場が変われば必ず解決するとは限りません。現在の不満を整理せずに転職すると、同じ問題を抱える可能性があります。夜勤回数、人員体制、介護度、残業、休みなど、改善したい条件を明確にしてから選びましょう。
Q5. 迷って決められないときはどうすればよいですか?
今すぐ退職するかどうかではなく、「休む」「相談する」「求人を見る」「家計を確認する」など、結論を出さなくてもできる行動から始めましょう。情報が増えると、判断しやすくなります。
資格や収入、利用者さんへの罪悪感が理由で動けない方は、介護士を辞めたいのに辞められない5つの理由|資格・お金・罪悪感の正体も参考にしてください。
まとめ
介護士を続けるか、別の道へ進むか迷ったときは、「介護の仕事が合わないのか」「現在の職場や働き方が合わないのか」を分けて考えることが大切です。
介護の仕事にやりがいが残っている場合は、勤務調整や別の施設への転職によって負担を減らせる可能性があります。
介護業務そのものを続けることが難しい場合は、介護経験を生かせる別の仕事や、新しい分野への転職も選択肢です。
どの道を選んでも、これまで介護士として働いてきた経験が無駄になることはありません。
自分の心身と生活を守りながら、納得できる働き方を選びましょう。