「同じ介護福祉士の資格を持っているのに、友人のほうが給料が高い」
「仕事内容はそれほど変わらないはずなのに、なぜ職場によって待遇が違うのだろう」と疑問に感じていませんか。
介護士の給与は、保有資格だけで決まるものではありません。
勤務する施設の種類、夜勤の回数、雇用形態、法人の規模、処遇改善に関する手当の配分方法など、複数の条件によって差が生まれます。
そのため、現在の給料が低いからといって、自分の経験や資格に価値がないとは限りません。
同じ資格を生かしながら、職場を変えることで給与や働き方を改善できる可能性もあります。
この記事では、介護士の給与格差が生まれる理由や施設別の違い、求人を比較するときに確認したいポイントを解説します。
この記事でわかること
この記事を読むと、同じ資格を持つ介護士の間で給与や待遇に差が生まれる仕組みがわかります。
- 同じ資格でも給与が違う主な理由
- 勤務する介護サービスによる平均給与額の違い
- 基本給以外に確認したい手当と賞与
- 給与が高い求人を判断するときの注意点
- 今の職場とほかの職場を比較する方法
同じ資格なのに介護士の待遇が違うのはなぜ?
介護士の待遇に差が生まれるのは、資格手当だけでなく、勤務条件や法人の賃金制度などが給与に影響するためです。
たとえば、同じ介護福祉士であっても、夜勤のある特別養護老人ホームと、原則として日中に勤務するデイサービスでは、夜勤手当を含めた月収に差が出ることがあります。
また、同じ施設形態でも、基本給、賞与、資格手当、住宅手当、扶養手当などの支給条件は法人ごとに異なります。
「同じ資格だから同じくらいの給料になる」と考えるのではなく、資格以外の条件も含めて比較することが大切です。
介護士の給与格差を生む主な7つの理由
介護士の給与は、次のような要素の組み合わせによって決まります。
| 給与差が生まれる要素 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 施設・サービスの種類 | 入所施設、訪問介護、通所介護など |
| 夜勤の有無 | 夜勤回数、1回当たりの手当、夜勤時の人員体制 |
| 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート、派遣など |
| 法人の規模・経営状況 | 基本給、賞与、昇給制度、福利厚生 |
| 資格・役職 | 資格手当、リーダー手当、管理職手当 |
| 経験・勤続年数 | 経験加算、定期昇給、前職経験の評価 |
| 処遇改善に関する手当 | 支給方法、支給時期、毎月支給か一時金か |
1.勤務する施設・サービスの種類が違う
介護の仕事には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、訪問介護、デイサービスなど、さまざまな勤務先があります。
利用者の介護度、夜勤の有無、身体介護や看取りの負担、人員配置などが異なるため、給与水準にも差が生まれます。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所に勤める月給・常勤の介護職員について、2024年9月の平均給与額は全体で33万8,200円でした。
サービス別に見ると、介護老人福祉施設は36万1,860円、訪問介護は34万9,740円、通所介護は29万4,440円となっています。
この平均給与額には基本給だけでなく、各種手当と賞与などの一時金を月額換算した金額が含まれています。
手取り額ではなく、すべての事業所や職員に当てはまる金額でもありません。
| 介護サービス | 平均給与額 |
|---|---|
| 介護職員全体 | 338,200円 |
| 介護老人福祉施設 | 361,860円 |
| 介護老人保健施設 | 352,900円 |
| 介護医療院 | 330,030円 |
| 訪問介護 | 349,740円 |
| 通所介護 | 294,440円 |
| 通所リハビリテーション | 319,310円 |
| 特定施設入居者生活介護 | 361,000円 |
2.夜勤の有無と回数が違う
入所施設では夜勤手当が支給されることが多いため、日勤のみの職場より月収が高く見える場合があります。
ただし、夜勤手当の金額だけで職場を選ぶのは注意が必要です。
夜勤の回数、拘束時間、休憩や仮眠の取りやすさ、夜勤時の職員数、夜勤明けの勤務なども確認しましょう。
給与が高くても、夜勤回数が多く身体的な負担が大きければ、長く続けることが難しくなる可能性があります。
3.雇用形態や勤務時間が違う
正社員、契約社員、パート、派遣では、時給や月給だけでなく、賞与、退職金、各種手当、社会保険などの条件も異なります。
パートの時給が高く見えても、賞与や退職金を含めた年間収入では正社員のほうが高くなることがあります。
一方、正社員でもサービス残業や頻繁な休日出勤があれば、実際の時間当たりの収入が低くなることもあります。
給与を比較するときは、月給だけでなく、年間収入と実際の労働時間の両方を見ることが大切です。
4.基本給と手当の内訳が違う
求人票に記載された月給が同じでも、基本給と手当の割合は職場によって異なります。
基本給が低く、夜勤手当や固定的ではない手当を多く含んでいる場合、夜勤回数が減った月には収入が下がる可能性があります。
また、賞与が基本給を基準に計算される職場では、基本給の違いが年間収入に影響します。
求人を見るときは、月給の総額だけでなく、次の内訳を確認しましょう。
- 基本給
- 資格手当
- 夜勤手当と想定されている夜勤回数
- 処遇改善に関する手当
- 住宅手当・扶養手当・通勤手当
- 固定残業代の有無
- 賞与の算定基準と前年度実績
5.法人の規模や賃金制度が違う
複数の施設を運営する法人と小規模な事業所では、給与制度や福利厚生に違いが見られることがあります。
規模の大きい法人では、賃金表、定期昇給、退職金制度、研修制度などが整備されている場合があります。
一方、小規模な事業所でも、役割が評価されやすい、勤務条件の相談がしやすいなどの利点があることもあります。
法人の規模だけで待遇の良し悪しを判断せず、昇給の基準や賞与実績、職員の勤続状況まで確認しましょう。
6.資格手当や経験の評価方法が違う
介護福祉士などの資格手当は、すべての職場で同じ金額ではありません。
資格手当が月給に含まれている職場もあれば、別途支給される職場もあります。
また、転職時に前職の経験年数が基本給へ反映されるかどうかも重要です。
10年の経験があっても、一律の初任給から始まる職場では、経験を十分に評価してもらえない可能性があります。
面接や内定後には、経験年数をどのように給与へ反映するのかを具体的に確認しましょう。
7.処遇改善に関する手当の配分方法が違う
介護職員の処遇改善を目的とした加算があっても、全職員へ一律に同じ金額が支給されるとは限りません。
毎月の手当として支給する職場、一時金や賞与へ反映する職場、役職や経験などを考慮して配分する職場があります。
そのため、求人票に「処遇改善手当あり」と書かれているだけでは、実際の支給額や支給方法まではわかりません。
応募前や面接時に、処遇改善に関する手当の支給額、支給時期、算定方法を確認することが大切です。
給与が高い職場なら働きやすいとは限らない
給与は職場選びの重要な条件ですが、金額だけでは働きやすさを判断できません。
高い月給のなかに、多数の夜勤や固定残業代が含まれている場合があります。
人手不足によって残業や休日出勤が多く、給与は高くても心身の負担が大きい職場も考えられます。
反対に、給与が少し低くても、希望休を取りやすい、残業が少ない、職員配置に余裕があるなど、長く働きやすい職場もあります。
給与と働きやすさのどちらか一方ではなく、生活や体力に合ったバランスを考えましょう。
現在の給料への不満が大きい場合は、原因を整理してから今後の選択肢を考えることが大切です。
詳しくは、介護士を辞めたいのに辞められない5つの理由|資格・お金・罪悪感の正体も参考にしてください。
今の職場の待遇が低いか判断する方法
自分の待遇が適切か判断するには、他人の月給だけでなく、勤務条件をそろえて比較する必要があります。
年収で比較する
毎月の給料だけでは、賞与や一時金の違いがわかりません。次の項目を合計して、おおよその年間収入を確認しましょう。
- 基本給12か月分
- 資格手当など毎月支給される手当
- 夜勤手当
- 時間外手当
- 賞与
- 処遇改善に関する一時金
通勤手当や一時的な手当を除いて比較すると、職場ごとの違いを把握しやすくなります。
労働時間も含めて比較する
年収が高くても、残業や休日出勤が多ければ、時間当たりの収入は思ったほど高くない可能性があります。
月平均の残業時間、年間休日、有給休暇の取得状況、勤務前後の準備時間なども確認しましょう。
同じ地域・施設形態・雇用形態で比較する
介護士の給与は地域によっても異なります。都市部と地方、入所施設と通所施設、正社員とパートをそのまま比較しても、正確な判断はできません。
できるだけ同じ地域、施設形態、雇用形態、経験年数の求人を複数比較しましょう。
転職前に確認したい介護職版7項目
待遇のよい職場を探すときは、月給の金額だけでなく、次の7項目を確認してください。
- 給与・賞与・資格手当・夜勤手当・処遇改善に関する手当
- 月平均の残業時間
- 夜勤の有無・回数・夜勤時の人員体制
- 年間休日・希望休・有給休暇の取得状況
- 離職率・平均勤続年数
- 職員配置・利用者数・介護度・身体介護や看取りの負担
- 教育・研修制度・資格取得支援
求人票だけでわからない項目は、面接や職場見学の際に確認しましょう。
複数の求人を同じ条件で比べることで、月給だけでは見えない待遇の違いを判断しやすくなります。
今の給与に納得できないときの3つの選択肢
待遇に不満がある場合でも、すぐに退職を決める必要はありません。
まずは次の3つの方法を検討しましょう。
1.給与明細と就業規則を確認する
資格手当、夜勤手当、処遇改善に関する手当などが、雇用契約や就業規則どおり支給されているか確認します。
内容がわからない場合は、給与担当者や上司へ算定方法を確認しましょう。
2.資格・役職・勤務形態を見直す
資格取得や役職への昇進によって手当が増える場合があります。
また、体力や生活への影響を確認したうえで、夜勤回数や勤務形態を見直す方法もあります。
ただし、収入を増やすためだけに無理な夜勤を続けることは避けましょう。
3.ほかの職場の条件を調べる
退職を決める前に、同じ地域にある複数の求人を確認してみましょう。
自分の経験年数や資格がほかの職場でどのように評価されるかを知るだけでも、現在の待遇を客観的に判断できます。
現在の職場が適切か迷う場合は、介護士が辞めどきを見極める7つのサイン|辞めたほうがよい職場の特徴も確認してみてください。
介護士の給与格差に関するよくある質問
ここでは、介護士の給与や待遇の違いについて、よくある疑問に回答します。
Q1.同じ介護福祉士でも給料が違うのは普通ですか?
資格が同じでも、施設形態、経験年数、夜勤回数、役職、法人の給与制度などが異なれば、給料にも差が生まれます。
資格手当だけでなく、基本給や賞与を含めて比較しましょう。
Q2.給料が高くなりやすい施設はどこですか?
公的調査では、介護老人福祉施設や特定施設入居者生活介護などの平均給与額が比較的高い結果となっています。
ただし、夜勤や身体介護の負担などが影響している可能性もあるため、平均額だけで勤務先を決めないことが大切です。
Q3.介護福祉士の資格を取れば必ず給料は上がりますか?
資格手当や基本給への加算がある職場では、給料が上がる可能性があります。
ただし、支給額や昇給条件は職場によって異なるため、就業規則や資格手当の規定を確認してください。
Q4.処遇改善に関する手当は全員同じ金額ですか?
必ずしも同じとは限りません。
事業所の賃金改善方法や配分ルールによって、支給額や支給時期が異なることがあります。
求人票や給与明細だけで判断できない場合は、勤務先へ確認しましょう。
Q5.給料が低いなら転職したほうがよいですか?
給料だけでなく、残業、夜勤回数、休日、人員配置、通勤時間、職場の人間関係なども含めて判断しましょう。
心身への負担が大きく、職場へ相談しても改善されない場合は、転職を選択肢に入れてもよいでしょう。
まとめ|資格だけでなく職場全体の条件を比較しよう
同じ資格を持つ介護士でも、施設の種類、夜勤、雇用形態、基本給、手当、法人の賃金制度などによって、給与や待遇に差が生まれます。
現在の給与が低いからといって、あなたの資格や経験に価値がないわけではありません。
今の職場で十分に評価されていないだけという可能性もあります。
まずは給与明細と勤務条件を整理し、同じ地域や施設形態の求人と比較してみましょう。
月給の高さだけでなく、賞与、残業、夜勤、人員配置、休日、教育体制まで確認することが、収入と働きやすさの両方に納得できる職場選びにつながります。