教員採用試験の大きな山場となる「模擬授業」。

短い時間の中で授業構成、指導力、表現力などを評価されるため、多くの受験生が不安を感じます。

特に「どのように構成すればいいのか」「時間配分はどうするのか」「評価基準はどこにあるのか」という疑問は共通です。


本記事では、模擬授業の基本から実践的なテクニック、よくある失敗例、合格するための具体的な工夫まで徹底解説します。

例文を交えて解説しているので、初めて挑戦する方でもすぐに活用できます。

模擬授業だけでなく、教員採用試験の面接対策 も合否を左右します。

面接官がチェックする視点や回答例については別記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

教員採用試験の面接対策|合格する答え方・質問例・練習法を徹底解説

スポンサーリンク

目次

模擬授業とは?基本を押さえよう

模擬授業は、教員採用試験における「指導力の総合テスト」と言えます。

筆記試験では測れない授業運営力や、生徒を引き込む発問力、教師らしい立ち居振る舞いを評価する場です。

ここを理解せずにただ台本を暗記して挑むと、面接官の目には「授業らしさ」が伝わらず不合格に直結します。

まずは模擬授業の目的や形式を正しく把握しましょう。

模擬授業の目的

模擬授業は「教師としての実践力」を見るために行われます。

知識量ではなく、限られた時間で「生徒をどう学びに引き込むか」が重要です。


例:

  • 学習課題を分かりやすく提示できるか
  • 生徒が考える余白を残せるか
  • 学びを次につなげる言葉をかけられるか

NG例:専門用語ばかりを並べて「説明」だけで終わる授業。

出題の形式とパターン(小学校・中高の違い)

模擬授業には「課題提示型」「自由設定型」の2種類があります。

  • 小学校:道徳・国語・算数などで、身近な題材を使うケースが多い
  • 中学校・高校:英語・数学など専門教科の学習活動を想定されるケースが多い

例題:
「小学校算数:割合の導入を10分で」
「中学校英語:関係代名詞を用いた会話練習」

面接官が見ているポイント

  • 授業構成:導入・展開・まとめが一貫しているか
  • 発問力:「考えさせる問い」になっているか
  • 板書:整理されているか、見やすいか
  • 姿勢・声量:教師としての信頼感があるか

チェックリスト
☑ 生徒役が参加したくなる導入になっているか
☑ 時間内で課題が完結しているか
☑ 板書や説明に無駄がないか

模擬授業の基本構成

模擬授業の構成は「導入→展開→まとめ」という基本形を守ることが合格の第一歩です。

特に導入で生徒の興味を引き、展開で学習活動を明確にし、最後にまとめで振り返る流れを意識すると「授業らしさ」が出ます。

導入(アイスブレイク・課題提示)

授業冒頭は「今日の課題をワクワクして取り組める雰囲気づくり」が重要です。


例文:
「みなさんは買い物でセール品を見たことがありますよね?

今日はその『値引き』を使って割合を学んでいきましょう。」

NG例:「今日は割合の勉強をします」と淡々と始める。→生徒の興味を引けない。

展開(学習活動の工夫・発問の仕方)

展開では「発問」と「活動」が中心です。


例文(算数):
「5,000円のジャケットが20%引きです。

割引額はいくらですか?」「では、支払う金額はいくらでしょうか?」

このように段階的に発問することで、生徒が考えやすくなります。

まとめ(振り返り・次につなげる一言)

授業の最後は「学びを整理し、次の学習意欲につなげる」場面です。


例文:
「今日の学びは『割引はもとの値段の割合で計算できる』ということでした。

次にスーパーに行ったときに、ぜひ自分で計算してみましょう。」

板書や指示の工夫ポイント

  • 板書は「左から右」「上から下」に整理
  • 指示は「簡潔に、行動をイメージできる言葉で」


例:
「ノートの左半分に計算式を書きましょう」

時間配分のコツ

模擬授業は「短時間で評価される」ため、時間配分が合否を左右します。

一般的には10分〜15分で構成されることが多く、導入・展開・まとめの比率を意識することで安定した授業運営が可能になります。

10分型と15分型の違い

  • 10分型:導入を短く、展開をコンパクトに
  • 15分型:活動を少し充実させられる

例:

  • 10分授業 → 導入2分・展開6分・まとめ2分
  • 15分授業 → 導入3分・展開9分・まとめ3分

「導入:展開:まとめ=2:6:2」の黄金比

短時間の模擬授業では「2:6:2」の配分がベスト。

導入に時間をかけすぎると展開が浅くなり、まとめがなくなると「授業らしさ」が失われます。

時間オーバー・時間不足を防ぐ工夫

  • ストップウォッチでリハーサル
  • 余った時間用に「補助問題」を用意
  • オーバーしそうなら「まとめを1分に圧縮」する訓練

面接官が評価するポイントと基準

模擬授業の合否を分けるのは、教科知識以上に「授業運営力」と「教師らしさ」です。

面接官は単なる説明ではなく、「この人に教わりたい」と思える授業を求めています。

教師としての立ち居振る舞い

姿勢・声の大きさ・アイコンタクトが基本。

教室全体に声を届ける意識が必要です。

発問力・説明力・板書力

  • 発問は「Yes/No」ではなく「考えさせる問い」にする
  • 板書は「黒・赤・青」を使い分けて整理する

生徒の反応を想定した授業展開力

模擬授業では実際の生徒はいませんが「こういう答えが返ってくるだろう」と想定し、補足や反応を加えると評価が高まります。

NG例(失敗パターン集)

  • 説明が長すぎて「一方的な講義」になる
  • 板書が小さくて見えにくい
  • 時間が足りずまとめが省略される

模擬授業対策の実践方法

模擬授業は「練習量」で差がつきます。

リハーサルや録画、他者からのフィードバックを積み重ねることで自然な授業運営力が身につきます。

台本は必要?暗記に頼らない方法

台本は「安心材料」にはなりますが、暗記に頼ると不自然になります。

要点カードを作り、3つの柱だけを押さえるのがおすすめです。

録画・リハーサルの効果的な活用法

自分の授業を録画すると「声が小さい」「姿勢が悪い」など客観的に振り返れます。

現職の先生にフィードバックをもらうコツ

OB・OG訪問や教育実習の指導教官に依頼すると効果的。

「導入が長すぎる」「発問が難しい」といった具体的な改善点をもらえます。

受験生がつまずきやすいポイントと解決策

模擬授業で不合格になる受験生は「同じ失敗」をしています。

声が小さい、板書がごちゃごちゃ、時間が足りない…これらは事前準備で防げます。

緊張で声が小さくなる場合

→ 背筋を伸ばし「最前列に届く声」を意識。

冒頭に深呼吸を入れるのも効果的。

板書がごちゃごちゃする場合

→ 色を分ける・余白を意識する・1行空ける。

時間が余る/足りない場合

→ リハーサルを繰り返す。

余ったら補助問題を提示し、足りなければまとめを短縮。

よくある質問(FAQ)

模擬授業の練習を重ねても、本番では「予想外の事態」に直面することがあります。

受験生からよく寄せられる質問の多くは「沈黙が怖い」「暗記が必要?」「板書の字は下手でも大丈夫?」といった不安に関するものです。

ここでは実際の合格者や指導経験のある先生のアドバイスをもとに、よくある疑問を整理しました。

すぐに使えるテンプレート例文も紹介するので、練習の際に取り入れてみてください。

Q1. 模擬授業で沈黙が起きたらどうすればいいですか?

回答
数秒の沈黙は自然な現象です。

生徒が考える時間を与えている証拠でもあるので、焦らず待ちましょう。

ただし、長引くと不安を与えるので、「考える時間ですよ」と言葉を添えると安心感を与えられます。

テンプレート例文
「いい質問ですね。では、ちょっと考えてみましょう。ノートに書いて整理してもいいですよ。」

Q2. 模擬授業は暗記しないとダメですか?

回答
暗記に頼ると棒読みになり、生徒とのやり取りが不自然になります。

おすすめは「授業の流れを箇条書きにして覚える」こと。

発問や活動のポイントだけ押さえておけば、自然な授業進行が可能です。

テンプレート例文
「今日は3つのことを学びます。

①〜を理解する、②〜を使って考える、③〜をまとめる。

この順番で進めますね。」

Q3. 板書の字の上手さは評価されますか?

回答
字の美しさではなく「見やすさ・整理されているか」が重視されます。

板書は大きめに書き、色を分け、行間に余白を取ると生徒が見やすくなります。

テンプレート例文
「ここが今日のポイントです。(赤で囲む)大事なことは強調して覚えましょう。」

Q4. 実際の授業のように小道具を使ってもいいですか?

回答
学習効果を高める小道具(図カード、簡単な模型など)はプラス評価です。

ただし準備や説明に手間がかかるものは時間を圧迫するので避けましょう。

テンプレート例文
「この図カードを見てください。ここから今日の学習課題が見えてきます。」

Q5. 緊張で声が震えてしまいます。どうすればいいですか?

回答
多くの受験生が本番で緊張します。

声が震える場合は「冒頭の第一声」を意識することが効果的です。

挨拶を大きな声で行うと、その後の声も安定しやすくなります。

テンプレート例文
「みなさん、おはようございます!今日の授業を楽しみにしてきました。」

Q6. 生徒役が思ったように反応してくれないときは?

回答
模擬授業では、面接官や受験者仲間が「生徒役」を演じるため、反応が薄いことがあります。

その場合は想定回答を補ってあげるのが安全策です。

テンプレート例文
「なるほど、少し難しいかな?例えば、〜のように考えることもできますよね。」

Q7. 授業の導入で何を話せばよいか分かりません。

回答
導入では「生徒が知っていること」や「身近な例」から入るのが鉄則です。

急に専門的な説明に入ると、置いてきぼりにされる印象を与えます。

テンプレート例文
「みなさんはスーパーで『半額シール』を見たことがありますよね?

今日はそれを使って算数を考えます。」

Q8. 時間が余ってしまった場合はどうすればいいですか?

回答
想定より早く終わるのはよくあること。

そのために「予備問題」や「もう一度確認する発問」を準備しておくと安心です。

テンプレート例文
「では、最後にもう一つ練習してみましょう。同じように計算できますか?」

Q9. 逆に時間が足りない場合はどうすればいいですか?

回答
時間不足は大きな減点につながります。

練習時から「まとめを1分で終えられる形」にしておくと、本番で調整しやすくなります。

テンプレート例文
「時間が来たので、今日はここまで。

大事なことは『割合はもとの数を基準に計算する』という点でした。」

Q10. 声の大きさはどれくらいを意識すればいいですか?

回答
「教室の一番後ろに届く声」を意識してください。

緊張すると声が小さくなるため、実際には普段より1.5倍大きな声で話すとちょうど良いです。

テンプレート例文
「みなさん、こちらを見てください!今日の課題はこちらです。」

Q11. 授業中に板書が間違ってしまったらどうすればいいですか?

回答
間違いは誰にでも起きます。

慌てず訂正し、「間違いを活かした指導」に変えるとプラス評価になります。

テンプレート例文
「あ、ここは違いましたね。

実はこういう間違いをする人も多いんです。

正しくはこうなります。」

模擬授業のFAQは「緊張対策」「時間調整」「導入の工夫」「板書の扱い」が中心です。

これらを事前にイメージし、テンプレート例文を繰り返し練習すれば、本番でも落ち着いて対応できます。

模擬授業は完璧を求めるより、「教師としてどうリカバーするか」が評価につながる試験です。

まとめ

模擬授業は「構成・時間配分・評価基準」を理解すれば怖くありません。

リハーサルやフィードバックを重ね、自分らしい授業を形にしていきましょう。

失敗を恐れず、準備を繰り返すことが合格への最短ルートです。