「今の職場を辞めれば、もっと働きやすくなるはず」と思って転職したのに、
入職後になって前の職場のほうがよかったと後悔する介護士は少なくありません。
介護士の転職で失敗する大きな原因は、求人票に書かれた給与や休日だけで職場を決めてしまい、実際の仕事内容や夜勤体制、職員同士の雰囲気まで確認できていないことです。
同じ「介護職」の求人でも、施設形態や利用者の介護度、職員配置、看取りの有無によって、仕事の負担は大きく異なります。
この記事では、介護士が転職で失敗する7つの原因と、後悔を防ぐために求人票・面接・職場見学で確認したいポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 介護士が転職で失敗する7つの原因
- 求人票だけでは判断できない項目
- 職場見学で確認したいポイント
- 給与や休日を比較するときの注意点
- 転職後の後悔を減らす求人の選び方
介護士が転職で失敗する7つの原因
介護士の転職で失敗する原因は、「転職先が悪かった」だけとは限りません。
入職前の情報収集が不足していたり、自分が転職で解決したい悩みを整理できていなかったりすることも、ミスマッチにつながります。
| 失敗の原因 | 起こりやすい後悔 | 入職前の確認方法 |
|---|---|---|
| 給与の総額だけで決める | 基本給が低く賞与や退職金が少ない | 基本給・手当・賞与を分けて確認する |
| 仕事内容を詳しく確認しない | 想像以上に身体介護や看取りが多い | 利用者の介護度や業務範囲を聞く |
| 夜勤体制を確認しない | 夜勤回数や一人当たりの負担が大きい | 回数・人数・休憩・緊急時体制を聞く |
| 人員配置を見ない | 常に人手不足で休めない | 職員数や欠員、利用者数を確認する |
| 休日数だけで判断する | 希望休や有給が取りにくい | 取得実績やシフトの決め方を聞く |
| 職場見学をしない | 人間関係や職場の雰囲気が合わない | 見学して職員の表情や対応を見る |
| 転職理由を整理しない | 転職しても同じ悩みを繰り返す | 希望条件に優先順位をつける |
原因1.給与の総額だけを見て職場を決める
求人票に「月給30万円」と書かれていると、高待遇の職場に見えるかもしれません。
しかし、月給には夜勤手当、資格手当、処遇改善手当、固定残業代などが含まれている場合があります。
基本給が低いと、賞与が「基本給の○か月分」で計算される職場では、想像していたほど年収が増えない可能性があります。
また、高い月給が一定回数の夜勤を前提としているケースにも注意が必要です。
給与を比較するときは、少なくとも次の項目を分けて確認しましょう。
- 基本給
- 資格手当や役職手当
- 処遇改善に関する手当
- 夜勤1回当たりの手当と想定回数
- 固定残業代の有無と対象時間
- 賞与の算定基準と前年度実績
- 昇給制度と退職金制度
求人票の「月給」だけではなく、夜勤をしない場合の月収と、賞与を含めた年収を確認することが重要です。
原因2.施設形態と仕事内容を詳しく確認しない
同じ介護士の求人でも、施設形態によって仕事内容や身体的な負担が異なります。
例えば、特別養護老人ホームでは身体介護や看取りに関わる機会が多い場合があります。
一方、デイサービスでは夜勤がない職場が多いものの、送迎やレクリエーションの担当を求められることがあります。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でも、施設によって利用者の介護度や介護職員の業務範囲はさまざまです。
入職前には、次の点を確認しましょう。
- 利用者の平均介護度
- 身体介護と生活援助の割合
- 入浴介助を担当する人数
- 送迎業務の有無
- 調理や清掃業務の範囲
- 看取り介護の有無と件数
- 介護記録の方法
「経験を生かせる職場だと思っていたのに、入職したら想定外の仕事が多かった」という失敗を防ぐには、施設名や職種名だけで判断しないことが大切です。
原因3.夜勤の回数と人員体制を確認しない
「夜勤あり」と書かれていても、実際の回数や勤務体制までは求人票からわからないことがあります。
月4回程度を想定していたのに、欠員によって月6回以上になったり、利用者数に対して少ない人数で夜勤を担当したりする可能性もあります。
夜勤については、次の項目まで確認してください。
- 月平均の夜勤回数
- 夜勤を担当する職員数
- 夜勤1人当たりの利用者数
- 休憩や仮眠を取れる環境
- 看護職員の夜間配置
- 緊急時の連絡体制
- 夜勤明け翌日の勤務
- 夜勤を始めるまでの教育期間
「夜勤2名体制」であっても、担当するフロアや建物が分かれていれば、実質的に一人で対応する時間が長い場合があります。
人数だけでなく、夜間にどの範囲を何人で担当するのかまで聞いておきましょう。
原因4.職員配置や人手不足の状況を確認しない
介護施設には人員配置に関する基準がありますが、基準を満たしていることと、現場に余裕があることは同じではありません。
欠勤者が出るたびに残業や休日出勤が発生する職場では、入職直後から大きな負担を感じる可能性があります。
人員体制を確認するときは、単純な職員数だけではなく、次の点に注目しましょう。
- フロアごとの利用者数と職員数
- 介護職員の常勤・非常勤の割合
- 現在の欠員状況
- 派遣職員や応援職員への依存状況
- 入浴介助や食事介助の担当人数
- 急な欠勤が出た場合の対応
- 月平均の残業時間
求人が長期間掲載されていたり、複数の職種を常に募集していたりする場合は、採用拡大だけでなく、離職による欠員募集の可能性もあります。
ただし、求人が続いているだけで離職率が高いとは断定できません。
面接で募集理由を確認することが大切です。
現在の職場を辞めるべきか迷っている場合は、転職活動を始める前に介護士が辞めどきを見極める7つのサインも確認してみてください。
原因5.年間休日だけを見て休みやすさを判断する
年間休日が多い求人でも、希望する日に休めるとは限りません。
介護職の働きやすさを考えるときは、年間休日数に加えて、希望休や有給休暇の取りやすさも重要です。
例えば、年間休日が多くても、連休が取りにくい、希望休を出せる日数が少ない、有給休暇を申請しにくい職場では、働きにくさを感じることがあります。
休日については、次の項目を確認しましょう。
- 年間休日数
- 月ごとの公休日数
- 希望休を申請できる日数
- 土日や祝日の休みやすさ
- 有給休暇の取得率
- 連続休暇の取得実績
- シフトが確定する時期
- 急な休日出勤の有無
家庭の事情や通院などで休みの希望がある場合は、内定後ではなく面接の段階で伝え、対応可能か確認しておきましょう。
原因6.職場見学をせずに入職を決める
求人票や面接だけでは、職場の本当の雰囲気まで把握するのは困難です。
職場見学をすると、職員の表情や利用者への接し方、施設内の整理状況など、文章ではわからない情報を確認できます。
見学では、設備の新しさだけでなく、次の点に注目してください。
- 職員同士が挨拶をしているか
- 利用者への言葉遣いが丁寧か
- 職員が極端に慌ただしく動いていないか
- ナースコールが長時間鳴り続けていないか
- 休憩室や記録スペースが確保されているか
- 施設内が整理・清掃されているか
- 福祉用具や介護機器が活用されているか
- 見学者への説明が具体的か
職員が忙しい時間帯に見学する場合、全員が笑顔で対応できるとは限りません。
そのため、一人の職員の態度だけで判断せず、職場全体の様子を見ることが大切です。
また、見学を断られたからといって、必ず問題のある職場とは限りません。
感染症対策や利用者のプライバシー保護が理由の場合もあるため、断る理由や代わりの説明があるかを確認しましょう。
原因7.転職で何を変えたいのか整理できていない
転職先を探す前に、「なぜ転職したいのか」を整理しておかないと、給与や知名度など目立つ条件だけで求人を選びやすくなります。
例えば、人間関係に悩んで転職する場合でも、問題の原因が職員数の不足や業務量にあるなら、人員体制を優先して確認する必要があります。
夜勤による体調不良が転職理由なら、給与が高い夜勤ありの求人よりも、日勤のみで無理なく続けられる職場のほうが合っている可能性があります。
希望条件は、次の3段階に分けると整理しやすくなります。
- 絶対に譲れない条件:夜勤なし、通勤時間、最低限必要な給与など
- できれば満たしたい条件:年間休日、教育制度、施設形態など
- 条件次第で妥協できる項目:職場の規模、制服、設備など
すべての希望を満たす求人を探すのではなく、転職後も長く働くために何を優先するかを決めましょう。
「辞めたいけれど転職に踏み切れない」という場合は、介護士を辞めたいのに辞められない5つの理由を読み、自分を止めている不安を整理する方法もあります。
介護士が求人票で確認したいポイント
求人票には重要な情報が掲載されていますが、すべての勤務条件が詳しく書かれているとは限りません。
わからない部分は自己判断せず、面接や応募前の問い合わせで確認しましょう。
給与欄は内訳まで確認する
「月給○万円~○万円」と幅がある場合は、未経験者や自分の経歴ではいくらから始まるのかを確認します。
処遇改善に関する手当についても、毎月支給されるのか、一時金として支給されるのかによって月収が変わります。
固定残業代が含まれている場合は、対象となる時間数と、超過した分の残業代が別途支給されるかを確認してください。
休日欄は「週休2日」の意味に注意する
「完全週休2日制」と「週休2日制」は意味が異なります。
完全週休2日制は、原則として毎週2日の休日がある制度です。
一方、週休2日制は、1か月のうち少なくとも1週は2日の休みがある制度を指す場合があります。
介護施設はシフト制の職場が多いため、年間休日数と月ごとの公休日数も確認しましょう。
「残業ほぼなし」は具体的な時間を聞く
残業の感じ方は人によって異なるため、「残業ほぼなし」という表現だけでは判断できません。
月平均の残業時間に加えて、始業前の申し送り、勤務時間外の記録、委員会、研修、職員会議があるかも確認してください。
職場見学と面接で確認したい質問
面接では、待遇について質問するだけでなく、実際の働き方を具体的にイメージできる質問を用意しましょう。
- 今回の募集は増員でしょうか、欠員補充でしょうか
- 1日の具体的な業務の流れを教えていただけますか
- 利用者の平均介護度はどのくらいでしょうか
- 夜勤は月平均何回で、何名体制でしょうか
- 急な欠勤が出た場合は、どのように対応していますか
- 入職後の研修や独り立ちまでの流れを教えてください
- 介護記録は勤務時間内に入力できますか
- 希望休や有給休暇の取得状況を教えてください
- 長く勤務している職員には、どのような方が多いですか
質問に対して具体的な数字や事例を交えて説明してくれる職場は、入職後の働き方を判断しやすくなります。
反対に、回答が曖昧な場合は、すぐに悪い職場と決めつけるのではなく、雇用条件通知書や就業規則で確認できるか尋ねましょう。
転職後の失敗を防ぐ7項目チェックリスト
応募先を比較するときは、次の7項目を一つずつ確認してください。
- 給与・賞与・手当:基本給、処遇改善手当、資格手当、夜勤手当、賞与の算定基準を確認する
- 残業:月平均時間だけでなく、始業前の申し送りや勤務時間外の記録・研修も確認する
- 夜勤:有無、月平均回数、夜勤時の職員数、利用者数、休憩・仮眠、緊急時の支援体制を確認する
- 休日:年間休日、希望休の日数、有給休暇の取得率、連休の取得実績を確認する
- 定着状況:離職率、平均勤続年数、募集理由、最近の退職状況を可能な範囲で確認する
- 職員・利用者の状況:職員配置、利用者数、平均介護度、身体介護や看取りの負担を確認する
- 教育・支援:入職時研修、夜勤開始までの期間、資格取得支援、相談できる担当者の有無を確認する
求人票だけで確認できない項目は、面接や職場見学で質問し、内定後には雇用条件通知書も確認しましょう。
複数の求人を比較してから決める
転職を急いでいると、最初に内定が出た職場へすぐに入職したくなることがあります。
しかし、可能であれば複数の求人を比較し、給与だけでなく、仕事内容、夜勤体制、休日、人員配置まで見比べましょう。
比較するときは、求人ごとに確認項目を同じにすることが重要です。
条件を書き出して並べると、「給与は高いが夜勤負担も大きい」など、それぞれの違いが見えやすくなります。
転職するか現職を続けるか判断できない場合は、「辞めたい」と「限界」は違う|介護士が今の自分を見極める方法も参考にしてください。
介護士の転職失敗に関するよくある質問
Q1.介護士の転職で最も多い失敗は何ですか?
給与や休日など、求人票の目立つ条件だけで職場を選び、実際の仕事内容や人員体制を確認していないことです。
介護度、夜勤体制、看取りの有無なども確認しましょう。
Q2.職場見学をお願いすると採用で不利になりますか?
職場見学を希望することだけで、採用に不利になるとは限りません。
入職後のミスマッチを防ぐために、見学を受け入れている施設もあります。応募時や面接の日程調整時に丁寧に相談しましょう。
Q3.面接で残業や有給休暇について聞いてもよいですか?
確認して問題ありません。ただし、「休めますか」だけでなく、「月平均の残業時間」「有給休暇の取得実績」のように、具体的に質問すると回答を得やすくなります。
Q4.給与が高い求人は仕事もきついのでしょうか?
給与が高いという理由だけで仕事がきついとは断定できません。
地域差、法人の給与制度、資格手当、夜勤回数、役職など、さまざまな理由があります。給与の内訳と業務内容を一緒に確認してください。
Q5.入職後に条件が違うと気づいたらどうすればよいですか?
まずは求人票、雇用条件通知書、雇用契約書の内容を確認し、直属の上司や人事担当者へ事実を整理して相談しましょう。
重大な相違や労働条件の問題がある場合は、労働基準監督署などの公的な相談窓口を利用する方法もあります。
まとめ|転職前の確認が介護士の後悔を減らす
介護士が転職で失敗する主な原因は、給与の総額だけで決めること、仕事内容や夜勤体制を確認しないこと、人員配置や休日の実態を把握しないことなどです。
求人票には限られた情報しか載っていないため、面接や職場見学を通して、実際の働き方を確認する必要があります。
特に、給与・残業・夜勤・休日・定着状況・職員配置・教育体制の7項目は、入職前に確認しておきましょう。
転職は、今の職場から離れることだけが目的ではありません。
自分が無理なく働き続けられる環境へ移るための選択です。
焦って入職先を決めず、転職で変えたいことと譲れない条件を整理したうえで、複数の求人を比較しましょう。