「この言い方は失礼ではない?」「承知しましたと了解しましたは、どう使い分ける?」と、敬語に迷うことはありませんか。

敬語は、難しい表現を重ねるほど丁寧になるわけではありません。相手と自分の関係、行動の主体、場面に合った言葉を選ぶことが大切です。

この記事では、尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本から、間違いやすい敬語の正しい言い換え、メール・電話・接客ですぐ使える例文まで分かりやすく紹介します。迷ったときに見返せる敬語一覧としてご活用ください。

この記事でわかること

  • 尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い
  • よく使う言葉の正しい敬語と言い換え
  • 二重敬語や「させていただく」の注意点
  • メール・電話・上司・取引先・接客で使える例文
  • 敬語に迷ったときの判断方法
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正しい敬語の使い方は「誰の行動か」で判断する

敬語を正しく使う第一歩は、「誰がその行動をするのか」を確認することです。

  • 相手や目上の人の行動を高める:尊敬語
  • 自分側の行動を低め、相手を立てる:謙譲語
  • 文章全体を「です・ます」などで整える:丁寧語

例えば、取引先が資料を見る場合は「ご覧になる」、自分が取引先の資料を見る場合は「拝見する」を使います。

敬語は相手との上下関係だけでなく、立場や場面に応じた配慮を示す言葉です。社内では尊敬語を使う上司でも、社外の人に上司の行動を伝えるときは、自分側の人物として「部長の山田が申しておりました」と表現します。

敬語の種類|尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い

実務では「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3つで説明されることが多いため、まずはこの基本を覚えましょう。なお、より細かな分類では、謙譲語を2種類に分け、丁寧語とは別に美化語を設ける考え方もあります。

種類役割主な例
尊敬語相手側の動作や状態を高めるおっしゃる、いらっしゃる、ご覧になる
謙譲語自分側の動作を低め、相手側を立てる申し上げる、伺う、拝見する
丁寧語聞き手や読み手に対して丁寧に述べるです、ます、ございます

尊敬語とは|相手の行動を高める表現

尊敬語は、上司・取引先・お客様など、敬意を示す相手の行動や状態に使います。自分の行動には使いません。

例文

  • 部長は会議室にいらっしゃいます
  • 資料をご覧になりましたか
  • お客様がそのようにおっしゃっていました

NG:「私が明日そちらへいらっしゃいます」
正:「私が明日そちらへ伺います」

謙譲語とは|自分側の行動を低める表現

謙譲語は、自分や自分側の人の行動を低めることで、その行動が向かう相手を立てる表現です。「主語が必ず自分」というより、自分側の人物の行動に使うと覚えると分かりやすいでしょう。

例文

  • 明日、私が御社へ伺います
  • お送りいただいた資料を拝見しました
  • 担当の佐藤が詳しくご説明いたします

丁寧語とは|文章全体を丁寧に整える表現

丁寧語は「です・ます・ございます」を使い、聞き手や読み手に対して丁寧に伝える表現です。立場を高めたり低めたりする働きはありません。

例文

  • 会議は15時からです
  • 資料を確認します
  • こちらが受付でございます

なお、「お茶」「ご案内」のように言葉を上品に整える「美化語」もあります。「お」を付ければ必ず丁寧になるわけではないため、「おビール」「おコーヒー」のような不自然な付け方は避けましょう。

よく使う敬語の言い換え一覧【早見表】

使用頻度の高い動詞を一覧で確認しましょう。同じ動詞でも、相手の動作には尊敬語、自分側の動作には謙譲語を使います。

普通の言い方尊敬語謙譲語
言うおっしゃる申す/申し上げる
行くいらっしゃる/おいでになる伺う/参る
来るいらっしゃる/お越しになる参る
いるいらっしゃるおる
見るご覧になる拝見する
聞くお聞きになる伺う/拝聴する
知るご存じだ存じる/存じ上げる
会うお会いになるお目にかかる
食べる・飲む召し上がるいただく
するなさるいたす
受け取るお受け取りになる頂戴する/拝受する
与えるくださる差し上げる
尋ねるお尋ねになる伺う
読むお読みになる拝読する

メール全体の組み立て方も確認したい方は、ビジネスメールの基本構成と正しい書き方も参考にしてください。

ビジネスで頻出する表現の正しい言い換え

迷いやすい表現おすすめの言い換え使う場面
了解しました承知しました/かしこまりました上司・取引先・お客様への返答
わかりません分かりかねます/存じません回答できないとき
できませんいたしかねます依頼を断るとき
すみません申し訳ございません/恐れ入ります謝罪/依頼や感謝
大丈夫です問題ございません/必要ございません可否や要否を明確にするとき
ちょっと待ってください少々お待ちください電話・接客
確認してくださいご確認をお願いいたしますメールで依頼するとき
どうしますかいかがなさいますか相手の意向を尋ねるとき
誰ですかどちら様でしょうか電話・受付
あとで連絡します後ほどご連絡いたします折り返しや後日の連絡
ご苦労さまですお疲れさまです上司や同僚へのあいさつ
参考になりました大変勉強になりました目上の人の助言への感謝

「了解しました」が日本語として常に誤りというわけではありません。ただし、敬意を明確に示したい上司・取引先・お客様には「承知しました」や「かしこまりました」が安心です。社内の同僚など、関係性によっては「了解しました」が自然な場合もあります。

間違いやすい敬語のNG例と正しい表現

二重敬語を重ねない

一つの言葉に同じ種類の敬語を重ねた表現を「二重敬語」といいます。丁寧にしようとして敬語を足しすぎると、かえって不自然になります。

NG例正しい言い換え理由
おっしゃられるおっしゃる「おっしゃる」だけで尊敬語
ご覧になられるご覧になる尊敬表現を重ねている
お召し上がりになる召し上がる「召し上がる」だけで尊敬語
拝見させていただく拝見する/拝見いたします許可・恩恵が不要なら過剰
伺わせていただく伺う/伺います通常は「伺う」で十分

ただし、「お召し上がりください」のように、慣用として定着している表現もあります。会話では、文法だけで機械的に判断せず、相手に自然かつ明確に伝わるかも大切です。

「させていただく」は許可や恩恵があるときに使う

「させていただく」は、自分が行うことについて相手の許可を受ける場合や、そのことで恩恵を受ける場合に適した表現です。

自然な例:「ご許可をいただきましたので、資料を掲載させていただきます」

言い換えたほうが自然な例:

  • 会議を始めさせていただきます → 会議を始めます
  • ご説明させていただきます → ご説明いたします
  • 確認させていただきます → 確認いたします

「よろしかったでしょうか」を現在の確認に使わない

現在の希望や注文を確認するなら、「よろしいでしょうか」が自然です。

NG:「ご注文はこちらでよろしかったでしょうか」
正:「ご注文はこちらでよろしいでしょうか」

ただし、過去に確認した内容を改めて確かめる場合は、「よろしかったでしょうか」が適切なこともあります。

「なる」を安易に使わない

「こちらが資料になります」は広く使われていますが、変化を表さない場面では「こちらが資料です」または「こちらが資料でございます」のほうが簡潔です。

「お名前を頂戴できますか」を言い換える

名前そのものを物のように受け取る印象を避けるなら、次の表現が自然です。

  • お名前を伺ってもよろしいでしょうか
  • お名前をお聞かせいただけますか

身内に尊敬語を使わない

社外の人に自社の上司について話すときは、役職名に「さん」を付けたり、上司の行動に尊敬語を使ったりしません。

NG:「山田部長がおっしゃっていました」
正:「部長の山田が申しておりました」

社会人としての言葉遣いや立ち居振る舞いをまとめて確認したい方は、社会人が押さえておきたいビジネスマナーもあわせてご覧ください。

ビジネスメールで使える敬語例文

書き出し・あいさつ

  • いつもお世話になっております。
  • 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
  • 先日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。

依頼する

  • 恐れ入りますが、添付資料をご確認いただけますでしょうか。
  • お手数をおかけいたしますが、〇月〇日までにご回答をお願いいたします。
  • ご多用のところ恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。

確認・報告する

  • 本件につきまして、以下のとおりご報告いたします。
  • ご依頼いただいた内容を確認いたしました。
  • 担当部署に確認のうえ、改めてご連絡いたします。

断る・できないことを伝える

  • 誠に申し訳ございませんが、今回はご希望に沿いかねます。
  • あいにく当日は予定が入っており、出席いたしかねます。
  • せっかくお声がけいただいたところ恐縮ですが、今回は辞退申し上げます。

お詫びする

  • このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
  • ご連絡が遅くなりましたこと、深くお詫び申し上げます。
  • 今後は確認体制を見直し、再発防止に努めてまいります。

謝罪の内容をどう組み立てるか迷う場合は、ビジネス謝罪メッセージの正しい書き方と例文をご覧ください。

締めくくる

  • 何卒よろしくお願いいたします。
  • ご不明な点がございましたら、お知らせください。
  • 引き続きよろしくお願い申し上げます。

電話対応で使える敬語例文

電話を受ける

  • お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、△△でございます。
  • 恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
  • 〇〇様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。

取り次ぐ・保留する

  • 〇〇でございますね。少々お待ちください。
  • 担当者に確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
  • お待たせいたしました。

不在を伝える

  • 申し訳ございません。〇〇はただいま席を外しております。
  • 〇〇は本日、終日外出しております。
  • 戻り次第、こちらから折り返しご連絡いたしましょうか。

聞き取れなかったとき

  • 恐れ入りますが、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
  • お電話が少々遠いようです。恐れ入りますが、もう一度お願いいたします。
  • 失礼いたしました。改めてご説明いたします。

受電から取り次ぎまで詳しく確認したい方は、電話対応の基本マナーと敬語フレーズも役立ちます。

相手別|上司・取引先・お客様への敬語例文

上司への敬語

  • こちらの内容で進めてもよろしいでしょうか。
  • お時間のある際に、ご確認をお願いいたします。
  • 先ほどご指示いただいた件について、ご報告いたします。

取引先への敬語

  • 本日はご多用のところ、貴重なお時間をいただきありがとうございます。
  • ご提案いただいた内容を社内で検討し、〇日までにご連絡いたします。
  • 今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

お客様への敬語

  • ご来店いただき、誠にありがとうございます。
  • ご不便をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
  • ただいま確認してまいりますので、少々お待ちくださいませ。

敬語に迷ったときの4つの確認ポイント

  1. 行動するのは誰か
    相手なら尊敬語、自分側なら謙譲語を基本に考えます。
  2. 誰に敬意を向けるのか
    社外の人に話すときは、自社の上司も「自分側」です。
  3. 敬語を重ねすぎていないか
    「おっしゃられる」のような二重敬語になっていないか確認します。
  4. 短く言い換えられないか
    迷ったときは、無理に難しい敬語を使わず、正確な丁寧語で簡潔に伝えるほうが安全です。

正しい敬語に関するよくある質問

「了解しました」は目上の人に失礼ですか?

必ずしも失礼な言葉ではありませんが、上司・取引先・お客様には敬意が明確な「承知しました」や「かしこまりました」を使うと安心です。

「ご確認ください」は失礼ですか?

正しい表現ですが、相手や内容によっては強く感じられることがあります。柔らかく依頼するなら、「恐れ入りますが、ご確認をお願いいたします」や「ご確認いただけますと幸いです」が適しています。

「ご覧になられましたか」は正しいですか?

「ご覧になる」に尊敬の「られる」を重ねた二重敬語です。「ご覧になりましたか」と言い換えます。

「させていただきます」は使ってはいけませんか?

使ってはいけないわけではありません。相手の許可を得て行う場合や、その行為によって恩恵を受ける場合に適しています。単なる予定や報告なら「いたします」「します」のほうが自然です。

「とんでもございません」は間違いですか?

現在は広く用いられ、相手の言葉を丁寧に打ち消す表現として使われています。「とんでもないことでございます」と表現することもできます。場面に合わせて、感謝には「恐れ入ります」「ありがとうございます」と返すのも自然です。

社内チャットでも敬語は必要ですか?

業務上のやり取りでは、最低限の丁寧語を使いましょう。ただし、メールのように長い定型文を重ねる必要はありません。「承知しました。15時までに対応します」のように、簡潔で明確な表現が適しています。

敬語に自信がないときはどうすればよいですか?

難しい言い回しを無理に使わず、「です・ます」を基本に短く伝えましょう。送信前に「誰の行動か」「敬語を重ねていないか」を確認すると、多くの誤用を防げます。

まとめ|正しい敬語は相手・主体・場面で使い分けよう

正しい敬語を使うコツは、難しい言葉を暗記することではなく、行動する人と敬意を向ける相手を整理することです。

  • 相手の行動には尊敬語を使う
  • 自分側の行動には謙譲語を使う
  • 迷ったときは簡潔な丁寧語に戻す
  • 二重敬語や「させていただく」の多用を避ける
  • 社内・社外の立場を意識して使い分ける

完璧な敬語を一度で身につける必要はありません。よく使う言い換えや例文から少しずつ覚え、相手に分かりやすく、気持ちよく伝わる言葉を選びましょう。

目的別の例文を探したい方は、目上の人に使える丁寧な挨拶文・メッセージ例文集もご活用ください。