「何年働いても給料がほとんど上がらない」

「仕事の負担は増えているのに、収入が変わらない」

このような不満を抱えながら働いている介護士もいるのではないでしょうか。

介護士の給料が上がらない背景には、本人の努力だけでは変えにくい介護報酬の仕組みや、事業所の経営状況、昇給制度などが関係しています。

一方で、資格を取得する、役職を目指す、夜勤回数を見直す、待遇のよい職場へ移るなど、収入を増やすために検討できる方法もあります。

この記事では、介護士の給料が上がらない本当の理由と、今の経験を生かして収入を増やすための選択肢を解説します。

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この記事でわかること

  • 介護士の給料が上がりにくい理由
  • 処遇改善加算と給与の関係
  • 今の職場で収入を増やす方法
  • 転職によって給与が変わる可能性
  • 求人票や面接で確認したい待遇条件

この記事では、介護士の給料が上がらない本当の理由と、今の経験を生かして収入を増やすための選択肢を解説します。

介護士の給料が上がらない本当の理由

介護士の給料が上がらない理由は、本人の能力や努力が足りないからとは限りません。

介護業界特有の仕組みや、勤務先の給与制度が影響している場合があります。

介護報酬によって事業所の収入が決まるため

介護事業所の主な収入は、介護サービスを提供したときに受け取る介護報酬です。

事業所がサービス料金を自由に決められるわけではないため、一般企業のように商品価格を上げて利益を増やすことは簡単ではありません。

介護報酬の範囲内で、人件費、設備費、光熱費、研修費などを支払う必要があります。

事業所の経営に余裕がなければ、職員の基本給や賞与を大きく引き上げることが難しい場合があります。

ただし、同じ介護サービスを提供する職場でも、利用者数、稼働率、職員配置、取得している加算などによって経営状況は異なります。

基本給より手当で調整されることがあるため

介護士の給与は、基本給だけでなく、資格手当、夜勤手当、役職手当、処遇改善に関する手当などで構成されることがあります。

毎月の支給額が増えていても、基本給ではなく手当が増えている場合があります。

基本給が低いままだと、職場の給与規定によっては賞与や退職金の算定にも影響する可能性があります。

給料が上がったかどうかを判断するときは、手取り額だけではなく、次の項目を分けて確認することが大切です。

  • 基本給
  • 資格手当
  • 夜勤手当
  • 役職手当
  • 処遇改善に関する手当
  • 賞与の算定方法
  • 退職金制度

昇給制度や評価基準が明確でないため

長く勤めていても、昇給制度が整っていなければ、給料はなかなか上がりません。

「勤務態度を評価する」「能力に応じて昇給する」と説明されていても、具体的な基準が分からなければ、何を達成すれば給料が上がるのか判断できません。

勤続年数だけでなく、保有資格、担当できる業務、研修の修了、リーダー経験、人事評価などが給与へどのように反映されるのかを確認しましょう。

職員の役職が限られているため

小規模な事業所では、リーダー、主任、管理者などの役職数が限られています。

役職に空きがなければ、経験を積んでも役職手当が付かない場合があります。

また、役職に就いたとしても、責任や業務量に対して手当が十分でない職場もあります。

昇進を目指す場合は、役職名だけでなく、仕事内容と手当の金額を確認する必要があります。

同じ職場にいるだけでは給与差に気づきにくいため

介護職員の給与水準は、施設の種類、法人規模、地域、夜勤の有無、保有資格などによって異なります。

現在の職場だけで働き続けていると、自分の経験や資格がほかの職場でどのように評価されるのか分かりにくくなります。

すぐに転職するつもりがなくても、複数の求人票を見て、基本給や手当、賞与、年間休日などを比較することは、自分の待遇を客観的に確認する方法の一つです。

処遇改善加算があっても給料が大きく上がらないのはなぜか

介護職員の賃金改善を目的とする制度として、介護職員等処遇改善加算があります。

ただし、加算があるからといって、すべての介護士の給料が同じ金額だけ上がるとは限りません。

事業所によって取得している加算区分が異なるため

介護職員等処遇改善加算には複数の区分があり、事業所が満たしている要件によって取得状況が異なります。

職位や職責に応じた賃金体系、研修機会、昇給の仕組みなど、所定の要件への対応状況によって受け取れる加算額にも違いが生じます。

そのため、同じ介護士という仕事でも、勤務する事業所によって処遇改善の反映状況が異なることがあります。

事業所内での配分方法に違いがあるため

処遇改善加算による賃金改善は、制度上のルールに沿ったうえで、事業所内で配分されます。

経験や技能のある介護職員へ重点的に配分する職場もあれば、幅広い職員へ配分する職場もあります。

基本給、毎月の手当、賞与、一時金など、支給方法も職場によって異なる場合があります。

自分の給与へどのように反映されているか分からないときは、給与明細、就業規則、賃金規程を確認し、必要に応じて担当者へ説明を求めましょう。

平均給与と自分の手取り額は同じではないため

厚生労働省の調査で示される平均給与額には、基本給だけでなく、各種手当や一時金を月額換算した金額が含まれることがあります。

また、調査対象となる事業所、雇用形態、資格、勤続年数、サービスの種類によっても金額は変わります。

平均給与額を見て「自分だけ給料が低い」と判断するのではなく、勤務条件が近い求人や給与データと比較することが大切です。

処遇改善加算の最新制度については、厚生労働省「介護職員の処遇改善」でも確認できます。

給料が上がらないと感じたときに最初に確認すること

転職や退職を決める前に、現在の給与制度と今後の昇給可能性を確認しましょう。

確認せずに働き続けると、収入を増やせる機会を見逃す可能性があります。

給与明細の内訳を確認する

まずは、直近数か月分の給与明細を並べ、基本給と手当の変化を確認します。

  • 基本給は前年より上がっているか
  • 処遇改善に関する支給はどの項目か
  • 夜勤手当の金額と回数は合っているか
  • 資格手当が正しく付いているか
  • 時間外勤務が正しく計算されているか

手取り額だけを見ると、税金や社会保険料の変化によって、昇給の有無が分かりにくいことがあります。

必ず支給項目ごとに確認しましょう。

就業規則や賃金規程を確認する

就業規則や賃金規程には、昇給時期、賞与、資格手当、役職手当などが記載されている場合があります。

「毎年必ず昇給する」とは限りません。昇給の有無や条件、評価方法を確認し、自分が条件を満たしているかを整理しましょう。

上司との面談で昇給条件を聞く

上司との面談では、単に「給料を上げてほしい」と伝えるだけでなく、昇給に必要な条件を具体的に質問することが大切です。

  • どのような評価を受ければ昇給できるか
  • 取得すると評価される資格はあるか
  • リーダーや主任になるための条件は何か
  • 今後担当できる業務を増やせるか
  • 次回の評価時期はいつか

努力しても昇給条件が示されない場合や、何年働いても給与が変わらない場合は、今の職場で収入を増やせる可能性が低いことも考えられます。

給料への不満があっても、資格や生活費への不安から辞められない場合は、介護士を辞めたいのに辞められない5つの理由|資格・お金・罪悪感の正体も参考にしてください。

介護士が収入を増やすための選択肢

介護士が収入を増やす方法は、現在の職場で昇給を目指すことだけではありません。

資格、役職、働き方、勤務先を見直すことで、収入が変わる可能性があります。

資格を取得して資格手当を得る

職場の規定によっては、介護福祉士などの資格を取得することで資格手当が付く場合があります。

ただし、資格を取得すれば必ず給料が大幅に上がるわけではありません。受験費用や研修費用も含め、取得前に次の項目を確認しましょう。

  • 資格手当はいくら支給されるか
  • 基本給にも資格が反映されるか
  • 賞与の算定に影響するか
  • 資格取得支援制度があるか
  • 研修日や受験日の勤務調整ができるか

資格手当が少なくても、担当できる業務が増えたり、転職時に評価されやすくなったりする可能性があります。

現在の職場だけでなく、将来の働き方も考えて判断することが大切です。

リーダーや主任などの役職を目指す

現場経験を生かし、リーダーや主任、管理者などを目指す方法もあります。

役職手当が付けば、毎月の収入が増える可能性があります。

一方で、職員の指導、勤務表の調整、家族対応、事故報告など、責任や業務量が増えることがあります。

役職を引き受ける前に、手当の金額だけでなく、仕事内容、残業時間、休日の連絡対応なども確認しましょう。

夜勤回数を増やす

夜勤手当が支給される職場では、夜勤回数を増やすことで収入が増える場合があります。

ただし、夜勤による収入増加は、勤務した回数に応じたものです。

基本給そのものが上がるわけではなく、体調を崩せば働き続けることが難しくなります。

睡眠不足、強い疲労、食欲低下、集中力の低下などが続いている場合は、収入のために無理に夜勤を増やさないでください。

正社員や勤務時間の変更を検討する

パートや短時間勤務で働いている場合は、勤務時間を増やしたり、正社員へ変更したりすることで収入が増える可能性があります。

ただし、勤務時間を増やすと、社会保険、税金、扶養、家事や介護との両立などにも影響します。

時給や月給だけでなく、生活全体への負担を考えて決めましょう。

待遇のよい職場へ転職する

今の職場で昇給の見込みが少ない場合は、これまでの経験を評価してくれる職場へ移ることも選択肢になります。

介護士の給与は、施設の種類、法人規模、地域、夜勤体制、保有資格、役職などによって異なります。

同じ仕事内容に見えても、基本給や手当、賞与に差がある場合があります。

ただし、求人票に記載された月給の上限額だけで判断するのは危険です。

夜勤手当や固定残業代などを含んだ金額で表示されていることもあるため、内訳を確認しましょう。

給料を増やすために転職を考えるときの確認項目

給与だけを見て転職すると、仕事内容や勤務条件が合わず、後悔する可能性があります。

収入と働きやすさの両方を確認することが大切です。

求人票で確認したい給与条件

求人票を見るときは、月給の合計額だけでなく、次の項目を分けて確認しましょう。

  • 基本給
  • 昇給の有無と前年度実績
  • 賞与の有無と算定基準
  • 資格手当
  • 夜勤手当と1回あたりの金額
  • 役職手当
  • 処遇改善に関する手当
  • 固定残業代の有無
  • 退職金制度
  • 試用期間中の給与

「月給30万円」と書かれていても、夜勤手当が複数回分含まれている場合があります。

夜勤をしない月の支給額や、自分の経験年数で適用される基本給を確認しましょう。

収入以外の勤務条件も確認する

給料が高くても、慢性的な人手不足や長時間の残業がある職場では、長く働き続けることが難しくなる場合があります。

応募前や面接時には、次の条件も確認してください。

  • 月平均の残業時間
  • 夜勤の回数と夜勤時の職員体制
  • 年間休日と希望休
  • 有給休暇の取得状況
  • 離職率と平均勤続年数
  • 職員配置と利用者の介護度
  • 教育・研修体制

求人票だけで分からない項目は、職場見学や面接で質問しましょう。

年収で比較する

転職先を比較するときは、月給だけでなく年収の見込みを確認します。

基本給が高くても賞与が少ない職場や、月給は低くても住宅手当、資格手当、賞与などが充実している職場があります。

次の計算を目安に、年間の収入を比較しましょう。

月給×12か月+賞与+毎月固定で支給される手当

夜勤手当や時間外手当は回数によって変わるため、固定給と分けて考えると比較しやすくなります。

給料が低くてもすぐに辞めないほうがよい場合

給与への不満があるからといって、必ずすぐに退職する必要があるわけではありません。

今後の昇給や生活への影響を確認してから判断しましょう。

資格取得や昇進の予定がある場合

近いうちに資格取得や昇進が予定されており、給与条件が明確に示されている場合は、その結果を確認してから判断する方法があります。

ただし、「そのうち昇給する」と口頭で言われているだけで、時期や金額が決まっていない場合は注意が必要です。

仕事内容や人間関係に満足している場合

給与以外の条件に満足している場合は、転職によって働きやすさを失う可能性もあります。

人間関係、通勤時間、休日の取りやすさ、身体的な負担なども含めて、現在の職場に残るメリットを整理しましょう。

生活費や転職準備が整っていない場合

退職後の生活費や次の勤務先が決まっていない場合は、勢いだけで辞めないことも大切です。

体調に大きな問題がない場合は、働きながら情報を集め、求人を比較してから転職を判断する方法があります。

一方で、心身の不調や安全上の問題がある場合は、収入だけを理由に無理を続けないでください。

今が辞めどきか迷っている場合は、介護士が辞めどきを見極める7つのサイン|辞めたほうがよい職場の特徴も参考にしてください。

給料を理由に転職したほうがよい職場の特徴

働き続けても収入が上がる見込みがなく、説明も受けられない職場では、転職を検討することも必要です。

  • 何年働いても基本給がほとんど変わらない
  • 昇給や人事評価の基準が分からない
  • 処遇改善に関する支給内容を説明してもらえない
  • 資格を取得しても手当や評価に反映されない
  • 役職に就いても責任に見合う手当が付かない
  • サービス残業や持ち帰り仕事が常態化している
  • 給与の遅配や不明確な控除がある
  • 人手不足による負担だけが増え続けている

一つ当てはまるだけで、必ず辞めるべきとは限りません。

しかし、複数の問題が続いており、改善を求めても対応されない場合は、ほかの職場と比較する時期かもしれません。

介護士の給料に関するよくある質問

ここでは、介護士の給料や収入の増やし方について、よくある疑問に回答します。

Q1. 介護士は長く働けば給料が上がりますか?

勤続年数に応じて昇給する職場もありますが、すべての職場で自動的に給料が上がるわけではありません。

就業規則や賃金規程を確認し、昇給時期、評価基準、過去の昇給実績を確認しましょう。

Q2. 介護福祉士を取得すれば給料は上がりますか?

資格手当や基本給へ反映される職場であれば、収入が増える可能性があります。

ただし、支給額や反映方法は職場によって異なります。

資格取得前に、資格手当の金額と給与への反映方法を確認してください。

Q3. 処遇改善加算は全額が介護士へ支給されますか?

処遇改善加算は、制度の要件に従って賃金改善へ充てられますが、職員一人ひとりへ同額が支給される制度ではありません。

事業所の配分方法や支給形態によって、基本給、手当、賞与などへの反映方法が異なる場合があります。

Q4. 給料を増やすなら夜勤を増やすべきですか?

夜勤手当によって収入が増える場合はありますが、睡眠や健康への負担も考える必要があります。

夜勤を増やさなければ生活できない状態が続いている場合は、基本給や手当が高い職場を探すことも検討しましょう。

Q5. 給料への不満だけで転職しても大丈夫ですか?

給料は働き続けるための重要な条件であり、転職理由の一つになります。

ただし、給与額だけで転職先を選ぶと、残業、人員配置、休日、人間関係などで後悔する可能性があります。

年収と勤務条件を一緒に比較しましょう。

「給料への不満はあるけれど、本当に転職するほどの状態なのか分からない」という場合は、「辞めたい」と「限界」は違う|介護士が今の自分を見極める方法も参考にしてください。

まとめ|介護士の給料が上がらない理由を確認して選択肢を考えよう

介護士の給料が上がらない背景には、介護報酬の仕組み、事業所の経営状況、昇給制度、役職数など、本人の努力だけでは変えにくい事情があります。

まずは、給与明細、就業規則、賃金規程を確認し、基本給、各種手当、処遇改善に関する支給、昇給条件を整理しましょう。

収入を増やす方法には、資格取得、役職への挑戦、勤務時間の変更、待遇のよい職場への転職などがあります。

大切なのは、月給の高さだけでなく、賞与、年間休日、残業、夜勤回数、人員配置などを含めて比較することです。

今の職場で給料が上がる見込みがない場合は、自分の経験や資格がほかの職場でどのように評価されるかを調べることから始めてみましょう。