「腰や膝が痛くて、身体介助を続けるのがつらい」

「夜勤の疲れが抜けないけれど、人手不足だから辞めると言えない」

体力の限界を感じていても、利用者や同僚への申し訳なさ、生活費や転職への不安から、介護士を辞められずに悩んでいませんか。

介護の仕事には、移乗介助や入浴介助、排泄介助、夜勤など、身体へ負担がかかりやすい業務があります。

責任感だけで無理を続けると、痛みや疲労が悪化し、仕事だけでなく日常生活にも影響が出る可能性があります。

体力が限界だからといって、今すぐ介護の仕事そのものを辞めなければならないとは限りません。

業務を調整してもらう、一定期間休む、身体的な負担が少ない職場へ移るなど、退職以外にも選択肢があります。

この記事では、体力の限界を感じている介護士が、今すぐ検討できる3つの選択肢と、無理を続けないための判断基準を解説します。

この記事でわかること

  • 介護士が体力の限界を迎えているサイン
  • 体力がつらくても辞められない理由
  • 今すぐ検討できる3つの選択肢
  • 身体への負担が少ない職場を探すポイント
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介護士が体力の限界を感じるのは甘えではない

介護の仕事で身体がつらくなるのは、本人の体力や努力だけの問題ではありません。

介助量、人員配置、夜勤回数、福祉用具の整備状況など、職場環境も大きく関係します。

介護士は、利用者の移乗、体位交換、入浴、排泄などを支援する際に、中腰や前かがみの姿勢になることがあります。

少人数での介助や連続する夜勤が重なれば、休んでも疲労が抜けにくくなることもあるでしょう。

「ほかの職員も頑張っているから」と我慢するのではなく、身体から出ているサインを早めに確認することが大切です。

休んでも疲れが取れない

一晩寝ても身体が重い、休日も横になって過ごしている、出勤前から強い疲労を感じる状態が続く場合は、休養が追いついていない可能性があります。

一時的な忙しさによる疲労であれば、十分な睡眠や休日で回復することもあります。

しかし、休んでも改善せず、以前より疲れやすくなっている場合は注意が必要です。

腰・膝・肩などの痛みが続いている

移乗介助や入浴介助などによる腰、膝、肩の痛みを、職業上仕方がないものとして我慢している介護士もいます。

しかし、痛みを抱えたまま介助を続けると、かばう動作によって別の部位まで負担がかかることがあります。

厚生労働省は、全介助が必要な利用者を移乗させる場合、リフトなどを積極的に使用し、原則として人力だけで抱え上げないよう示しています。

身体の使い方だけで乗り切ろうとせず、福祉用具や複数人介助を利用できる体制も必要です。

痛みやしびれ、力の入りにくさなどがある場合は、自己判断で無理を続けず、早めに医療機関へ相談してください。

夜勤後の体調不良が強くなっている

夜勤後に強い頭痛や吐き気、めまい、動悸などが出る場合は、勤務の負担が身体に合わなくなっている可能性があります。

夜勤明けに十分な休息が取れない勤務体制や、少人数で多くの利用者を担当する環境では、疲労が蓄積しやすくなります。

夜勤回数を減らす、日勤のみの勤務へ変更するなど、体調に合わせた働き方を上司へ相談しましょう。

仕事以外の日常生活にも支障が出ている

帰宅後に家事ができない、階段の上り下りがつらい、休日も外出できないなど、仕事以外の生活にも影響が出ている場合は、無理を続けているサインです。

さらに、眠れない、食欲がない、涙が出る、仕事のことを考えると動悸がするといった状態が続く場合は、体力だけでなく心も疲れている可能性があります。

早めに医師や相談窓口へつながることを優先してください。

体力が限界でも介護士を辞められない理由

身体がつらいと分かっていても、すぐには辞められない事情があります。

自分を責める前に、何が退職をためらわせているのかを整理しましょう。

人手不足の職場を離れることに罪悪感がある

「自分が辞めたら、残された職員が困る」と考え、退職を言い出せない介護士は少なくありません。

しかし、人員を確保して安全な勤務体制を整えることは、個人だけが背負う責任ではありません。

限界を超えて働き続け、突然休まなければならなくなる前に、業務の調整を申し出ることが必要です。

介護士を辞めたいのに罪悪感やお金の不安で動けない場合は、

介護士を辞めたいのに辞められない5つの理由」の記事も、気持ちを整理する参考になります。

収入がなくなることが不安

生活費や家族のことを考えると、次の仕事が決まる前に退職することへ不安を感じるのは自然なことです。

すぐに退職することだけを考えず、有給休暇を利用して休む、勤務日数を減らす、働きながら転職先を探すなど、収入を維持しながら準備する方法もあります。

介護の経験を無駄にしたくない

これまで積み上げてきた介護経験や資格を手放したくないという気持ちから、同じ職場で我慢を続ける人もいます。

介護職を続ける場合でも、すべての職場で同じ体力が必要になるわけではありません。

施設形態や担当業務、夜勤の有無によって身体的負担は異なります。

経験を生かしながら、負担の少ない職場へ移る方法も検討できます。

体力の限界を感じた介護士が今すぐできる3つの選択肢

体力が限界に近づいているときは、「今の職場で耐えるか、介護職を完全に辞めるか」の二択にしないことが大切です。

現在の体調や生活状況に合わせ、次の3つから現実的な方法を選びましょう。

選択肢1.上司へ相談して業務や勤務を調整してもらう

介護の仕事は続けたいものの、現在の業務量や夜勤がつらい場合は、まず上司や管理者へ相談します。

「体力的につらいです」だけでは状況が伝わりにくいため、困っている業務と希望する調整内容を具体的に伝えましょう。

  • 夜勤の回数を減らしてもらう
  • 連続勤務や入浴介助の担当回数を見直してもらう
  • 移乗介助を複数人で行えるようにする
  • リフトやスライディングボードなどの福祉用具を使用する
  • 一定期間、身体的負担の少ない業務を担当する
  • 短時間勤務や勤務日数の変更を相談する

相談した内容と回答は、日付とともに記録しておくと、再度相談する際にも状況を説明しやすくなります。

ただし、業務調整を申し出ても改善されない、体調不良を訴えても無理な介助を求められるなど、安全に働けない状態が続く場合は、次の選択肢へ進むことも必要です。

選択肢2.有給休暇・休職・異動でいったん身体を休める

疲労や痛みが強い状態では、今後について冷静に判断することが難しくなります。

すぐに退職を決める前に、利用できる制度を確認し、いったん仕事から離れて身体を休める方法があります。

  • 残っている有給休暇を取得する
  • 医師へ相談し、必要に応じて診断書を受け取る
  • 就業規則で休職制度の条件を確認する
  • 身体的負担の少ない部署への異動を相談する
  • 正社員からパート・短時間勤務への変更を相談する

休職制度の有無や利用条件、休職中の賃金、社会保険の扱いは職場によって異なります。

就業規則を確認したうえで、人事担当者や管理者へ相談してください。

医師から休養や業務制限を勧められた場合は、職場の都合よりも身体の回復を優先しましょう。

選択肢3.身体への負担が少ない職場へ転職する

業務調整や異動を相談しても改善が期待できない場合は、体力的な負担が少ない職場への転職を検討します。

転職先を選ぶときは、「介護度が低そう」「夜勤がなさそう」といった印象だけで判断せず、実際の仕事内容と勤務体制を確認することが大切です。

  • 夜勤の有無と月の回数
  • 夜勤時の職員数と休憩・仮眠の取り方
  • 移乗介助や入浴介助を担当する回数
  • 利用者の人数と介護度
  • リフトなどの福祉用具の導入状況
  • 一人介助と複数人介助の基準
  • 看取りや医療的ケアの負担
  • 月平均の残業時間

デイサービス、訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅なども、職場によって仕事内容や身体的負担が異なります。

施設の種類だけで決めず、求人票、職場見学、面接を通して実態を確認しましょう。

今の職場を辞めるべきか判断できない場合は、「介護士が辞めどきを見極める7つのサイン」の記事と照らし合わせると、自分の状況を整理しやすくなります。

転職前に確認したい求人選びのチェックリスト

転職後に同じ悩みを繰り返さないためには、給与や勤務地だけでなく、身体への負担に関係する勤務条件を確認する必要があります。

  • 月平均の残業時間
  • 夜勤の有無・月の回数・夜勤時の人員体制
  • 給与・賞与・資格手当・夜勤手当・処遇改善に関する手当
  • 年間休日・希望休・有給休暇の取得状況
  • 離職率・平均勤続年数
  • 職員配置・利用者数・介護度・身体介護や看取りの負担
  • 教育・研修体制と福祉用具の使用方法

求人票だけでは分からない項目もあるため、転職サービスの担当者や施設の採用担当者へ質問しましょう。

可能であれば職場を見学し、職員が一人で利用者を抱え上げていないか、福祉用具が実際に使用されているかも確認してください。

辞めるか迷ったときの判断基準

辞めるかどうかは、一時的な疲労なのか、安全に働けないほどの限界なのかを分けて考えます。

業務調整によって回復が期待できるか

夜勤や身体介助の回数を減らすことで体調が改善しそうな場合は、まず勤務を調整する方法があります。

一方で、上司へ何度相談しても改善されない、人手不足を理由に無理な介助を求められる場合は、現在の職場で働き続けることを慎重に考える必要があります。

医師から休養や治療を勧められていないか

痛み、しびれ、めまい、動悸、不眠などが続いている場合は、医療機関を受診してください。医師から休養や業務制限を勧められたときは、その指示を優先します。

突然の強い痛み、手足の力が入りにくい、排尿・排便の異常、胸の痛み、呼吸の苦しさなどがある場合は、勤務を続けず速やかに医療機関へ相談してください。

仕事を続けることで日常生活まで悪化していないか

仕事を終えるたびに寝込む、家事や外出ができない、家族との時間を保てない状態が続いているなら、現在の働き方を見直す必要があります。

「まだ働けるか」だけでなく、「この働き方を続けても生活と健康を守れるか」という視点で判断しましょう。

「辞めたい気持ち」と「心身が限界に達している状態」の違いについては、「『辞めたい』と『限界』は違う|介護士が今の自分を見極める方法」の記事も参考になります。

介護士の転職サービスを利用する前に知っておきたいこと

働きながら転職先を探す場合は、介護職向けの転職サービスへ相談する方法があります。

希望条件を伝えるときは、「身体への負担が少ない職場を希望します」だけで終わらせず、避けたい業務や勤務条件を具体的に伝えましょう。

  • 夜勤は月何回までなら対応できるか
  • 入浴介助や移乗介助に制限があるか
  • 一人介助を避けたいか
  • 短時間勤務や日勤のみを希望するか
  • 福祉用具を導入している職場を希望するか

身体的負担の少ない職場を探したい場合は、介護職向け転職サービスへ相談する方法があります。

体力の限界に悩む介護士からよくある質問

退職や転職を考える介護士が感じやすい疑問について回答します。

Q1.体力がつらいという理由だけで退職してもよいですか?

体力的な負担は、退職や転職を考える十分な理由になります。

限界まで我慢して体調を崩す前に、業務調整、休職、転職などを検討しましょう。

ただし、強い痛みや体調不良がある場合は、退職の判断だけでなく医療機関への相談も必要です。

Q2.上司へ相談するときは、どのように伝えればよいですか?

困っている症状、負担になっている業務、希望する調整内容の順番で具体的に伝えましょう。

例えば、「腰痛が続いており、一人での移乗介助が難しくなっています。

複数人介助への変更と、しばらく入浴介助の回数を減らせないか相談したいです」と伝えます。

Q3.介護職を続けながら体力的な負担を減らせますか?

夜勤回数、勤務時間、担当業務、職員配置などを見直すことで負担を減らせる可能性があります。

ただし、同じ種類の施設でも仕事内容は異なります。

転職する場合は、施設名や職種名だけで判断せず、実際の介助量や勤務体制を確認してください。

Q4.次の職場が決まる前に辞めても大丈夫ですか?

体調が悪化している場合は、次の職場が決まるまで無理を続けることが適切とは限りません。

医師へ相談し、有給休暇や休職制度を利用しながら回復を優先する方法があります。

すぐに退職する必要がない場合は、生活費や保険、転職活動の期間を確認してから準備を進めましょう。

まとめ|体力の限界を感じたら働き方を変える準備を始めよう

体力の限界を感じても辞められない介護士には、次の3つの選択肢があります。

  1. 上司へ相談し、業務や勤務を調整してもらう
  2. 有給休暇・休職・異動でいったん身体を休める
  3. 身体への負担が少ない職場へ転職する

責任感を持って利用者や同僚を支えることは大切ですが、自分の健康を犠牲にしてまで働き続ける必要はありません。

痛みや疲労を我慢するのではなく、まずは現在の症状と負担になっている業務を書き出し、上司や医師へ相談してください。

現在の職場で改善が難しい場合は、介護の経験を生かしながら、夜勤や身体介助の負担が少ない職場へ移る方法もあります。

今すぐ退職を決断できなくても、求人情報を集め、自分に合う働き方を知ることから始めましょう。

参考:厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」