複数の企業から内定を得られたときや、条件面を再考したときに避けて通れないのが「採用辞退」。
ただし伝え方を誤ると「失礼」「不誠実」と受け取られてしまい、今後のキャリアにも影響しかねません。
本記事では、採用辞退を伝える基本マナーから、すぐに使えるメール・電話の例文、避けたいNG例、さらにはよくある質問まで網羅しました。
これさえ読めば、誠意を持ってスムーズに辞退を伝えられるようになります。
採用辞退の対応だけでなく、転職活動では面接での受け答え方も合否を大きく左右します。
よくある質問への答え方や準備のコツ、好印象を残すためのポイントを網羅的に解説した記事はこちらです。
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転職面接の質問と答え方大全|好印象を残す準備・NG例・Q&Aまで解説
採用辞退を伝える基本マナー
採用辞退を伝える際に最も重要なのは「誠意ある対応」です。
企業は採用活動に多くの時間と費用を投資しており、辞退は少なからず影響を与えます。
そのため「できるだけ早く」「適切な手段で」「感謝を添えて」伝えることが最低限のマナーです。
この章では、採用辞退の基本的な姿勢について解説します。
できるだけ早く連絡する
採用辞退を決めたら、その日のうちに連絡するのがベストです。
遅れれば遅れるほど、企業は次の候補者への調整や採用計画の変更に苦労します。
ポイント
- 内定通知を受けた後、辞退を決断したら即日連絡
- 「迷惑をかけない」姿勢を第一に考える
- 返事を先延ばしにすると不誠実な印象になる
NG例
数週間放置した後にメール1本だけで辞退
これは採用担当者に「無責任」と映る典型です。
電話とメールの使い分け
採用辞退は基本的に電話で伝えるのがマナーです。
- 電話:人事担当者に直接伝えることで、誠意が伝わりやすい
- メール:電話がつながらない場合や、先に簡潔に伝えたいとき
おすすめの流れ
- まず電話で連絡
- 不在ならメールを送信
- 改めて電話でフォロー
感謝の気持ちを必ず伝える
採用辞退の連絡では、「謝罪」と「感謝」が欠かせません。
企業は面接の準備や選考のために時間を割いてくれているため、その労力に敬意を示す必要があります。
例文(電話での冒頭挨拶)
「先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
大変恐縮ですが、今回は辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。」
「内定をいただいた感謝」→「辞退のお詫び」→「最後の感謝」という流れを意識しましょう。
採用辞退メールのテンプレート集
メールでの辞退連絡は「簡潔さ」と「誠意」がポイントです。
冗長にならず、理由を簡潔に添えることで、角を立てずに伝えられます。
以下に具体的なケース別の例文を紹介します。
他社での内定を理由にする場合
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
○○株式会社
人事部 ○○様
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
大変恐縮ではございますが、他社からの内定を受けることを決断いたしましたため、貴社の内定を辞退させていただきたく存じます。
選考のご対応に多大なお時間をいただいたにもかかわらず、このような結果となり誠に申し訳ございません。
末筆ながら、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
氏名
電話番号
メールアドレス
条件面が合わなかった場合
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
○○株式会社
人事部 ○○様
このたびは内定をいただき、心より御礼申し上げます。
誠に恐縮ですが、条件面を熟慮した結果、私の希望と合致しない部分があるため、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。
選考を通じて貴社の魅力を強く感じていただけに、大変心苦しい判断となりました。
ご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。
氏名
電話番号
メールアドレス
家庭・ライフイベントによる場合
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
○○株式会社
人事部 ○○様
このたびは内定を賜り、誠にありがとうございました。
大変申し訳ございませんが、家庭の事情により就業が難しい状況となり、今回の内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
貴社のご厚意に報いることができず、誠に心苦しく存じます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
氏名
電話番号
メールアドレス
シンプルに辞退を伝える場合
理由を言いたくない場合は、シンプルにまとめても問題ありません。
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
○○株式会社
人事部 ○○様
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
恐縮ではございますが、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。
貴社に多大なお時間をいただいたにもかかわらず、このような結果となり心よりお詫び申し上げます。
氏名
電話番号
メールアドレス
電話で辞退を伝えるときのポイント
メールよりも直接的で誠意が伝わる方法が電話です。
ただし、時間帯や話し方を誤ると逆に失礼になることもあります。
この章では電話連絡のマナーと会話の流れを具体例で解説します。
電話する時間帯のマナー
- 営業時間内(10〜17時)が基本
- 昼休みや始業直後、終業間際は避ける
- どうしても難しい場合は、メールで「ご都合の良い時間」を確認してから電話
会話の流れと例文
会話例
「お世話になっております。
先日内定をいただきました○○と申します。
大変恐縮ですが、慎重に検討した結果、今回の内定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。
これまでの選考で貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このような結果となり誠に申し訳ございません。
末筆ながら、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。」
要点は「感謝」→「辞退」→「謝罪」→「結び」の順に伝えることです。
NG例:避けるべき伝え方
誠意ある辞退連絡があれば企業は理解を示してくれます。
しかし逆に、マナーを欠いた辞退は「印象を大きく損なう」行為になります。
この章では避けるべきNG例を具体的に紹介します。
無断で連絡をしない
採用辞退を「連絡しない」というのは最悪です。
放置すれば「バックレ」と見なされ、今後の転職活動でも悪影響を与えます。
感情的・一方的な言い方
例:
「やっぱり気が変わったので辞退します」
「待遇が悪いからやめます」
このような表現はトラブルを招きます。
辞退理由は柔らかく表現するのが大切です。
曖昧な表現でごまかす
「とりあえず検討します」「考えておきます」など、あいまいな態度は相手に期待を持たせてしまい、結果的に迷惑をかけます。
よくある質問(Q&A)
採用辞退は誰もが経験しうることですが、いざ自分が伝える立場になると「どこまで言えばいいのか」「失礼にならないか」「法的に問題はないか」など、不安が尽きません。
ここでは、実際によく寄せられる質問を取り上げ、具体的な回答と実際に使える例文テンプレートを紹介します。
この記事を参考にすれば、迷わずに誠意ある辞退連絡ができるはずです。
Q1. 採用辞退の連絡はメールだけでも大丈夫?
A. 基本は電話で伝えるべきです。
メールだけでは「誠意に欠ける」と受け取られることが多く、印象を損なう可能性があります。
ただし、どうしても担当者が不在の場合や業務時間外に連絡する場合は、まずメールを送り、その後で電話を入れるのが無難です。
例文(メール)
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
○○株式会社
人事部 ○○様
お世話になっております。
先日内定のご連絡をいただきました○○と申します。
大変恐縮ですが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡差し上げました。
後ほど改めてお電話でもご挨拶させていただきます。
氏名
Q2. 入社承諾書にサインした後でも辞退できる?
A. 法的には、入社承諾書に署名しても入社前であれば辞退は可能です。
ただし、企業にとっては大きな損失になるため、誠心誠意のお詫びが必要です。
辞退を決めたら1日でも早く伝えましょう。
例文(電話での伝え方)
「このたびは内定承諾の機会をいただきましたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
慎重に検討した結果、家庭の事情により入社が難しくなってしまいました。
誠に勝手を申し上げますが、内定を辞退させていただきたく存じます。」
Q3. 電話に出てもらえなかった場合は?
A. 留守電がある場合は簡潔に要件を伝え、折り返しを依頼しましょう。
加えて、同じ内容をメールで送ると確実です。
留守電例
「お世話になっております。
先日内定をいただきました○○と申します。
内定辞退の件でご連絡いたしました。
お手数ですが折り返しご連絡いただけますと幸いです。」
補足メール例
件名:採用辞退のご連絡(氏名)
お世話になっております。
先ほどお電話を差し上げましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。
改めてお電話でもご挨拶できればと存じますが、まずはメールにて内定辞退のご連絡を申し上げます。
Q4. 辞退理由は正直に伝えるべき?
A. すべてを正直に話す必要はありません。
例えば「待遇が不満だから」など直接的な理由は角が立ちます。
一般的には「他社の内定を受けた」「家庭の事情」など、シンプルで角の立たない理由を伝えるのが無難です。
例文(電話での答え方)
「大変恐縮ですが、他社からの内定を受けることを決断いたしました。」
Q5. 採用辞退の連絡は誰に伝えればいい?
A. 原則として「人事担当者」または「内定通知をくれた担当者」に直接伝えます。
もし担当者が不在なら、代表電話で総務や人事部につないでもらいましょう。
例文(電話の冒頭)
「お世話になっております。
先日内定をいただきました○○と申します。
人事部の○○様はいらっしゃいますでしょうか。」
Q6. 辞退の連絡を入れるベストな時間帯は?
A. 平日の10〜12時、または14〜17時が望ましいです。
始業直後や昼休み、終業間際は忙しい可能性があるため避けましょう。
例文(時間を気遣う場合)
「本日は業務のお忙しい時間帯に恐れ入ります。
数分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか。」
Q7. 入社日の直前に辞退するのは大丈夫?
A. 法的には可能ですが、極めて迷惑をかけます。
どうしても事情が変わった場合は、深くお詫びしたうえで速やかに連絡を入れましょう。
例文(電話)
「誠に申し訳ございません。
入社日を目前に控えながら、家庭の事情により勤務が難しい状況となってしまいました。
大変ご迷惑をおかけいたしますが、辞退させていただきたく存じます。」
Q8. 内定辞退で損害賠償を請求されることはある?
A. 日本の労働法では、入社前の辞退に損害賠償責任は基本的に発生しません。
ただし、企業に迷惑はかかるため「法的には問題ない」と思っても、誠意を持って謝罪することが重要です。
例文(電話)
「このような形でご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。
法的には問題ないかと存じますが、深くお詫び申し上げます。」
Q9. 内定辞退の理由を聞かれたときはどう答える?
A. 基本は「他社の内定」「家庭の事情」などシンプルに。
突っ込まれても、正直にすべてを話す必要はありません。
例文
「大変恐縮ですが、他社からの内定を受けることを決断いたしました。
詳細につきましては差し控えさせていただきますが、何卒ご理解いただければ幸いです。」
Q10. 辞退の連絡をするのが遅れてしまったら?
A. 遅れてしまった場合こそ、まず電話で丁寧に謝罪し、その後メールで改めて謝意を伝えましょう。
例文(電話)
「本来であればもっと早くにご連絡すべきところ、遅くなりまして誠に申し訳ございません。」
Q11. 辞退連絡をした後に再応募はできる?
A. 可能ですが、タイミングや辞退理由によっては難しい場合もあります。
辞退の際に誠意を持って対応していれば、将来的な応募を受け入れてもらえる可能性は残ります。
例文(電話)
「今回は誠に残念ながら辞退させていただきますが、今後ご縁がありましたら改めて挑戦させていただければと存じます。」
採用辞退に関する不安は多くの人が抱えるものですが、答えは「誠意ある対応」に集約されます。
- 電話を基本に、必要ならメールで補足
- 辞退理由はシンプルに伝える
- 遅れても誠心誠意謝罪する
- 誠実に対応すれば、将来のご縁につながる
まとめ:誠意を持った対応で円満に
採用辞退は「誠実な姿勢」で臨むことがすべてです。
- 早めに連絡する
- 電話を基本にし、必要に応じてメールも使う
- 感謝と謝罪を必ず伝える
- NG例(無断辞退・感情的表現・曖昧な返事)を避ける
この4点を守れば、辞退後も企業との関係を良好に保てます。
就職・転職活動は今後も続くもの。
円満な辞退で、次のキャリアにつなげましょう。
採用辞退の対応だけでなく、転職活動では面接での受け答え方も合否を大きく左右します。
よくある質問への答え方や準備のコツ、好印象を残すためのポイントを網羅的に解説した記事はこちらです。
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