近年、私立学校において教職員からのパワハラ相談は確実に増えています。


その相談の矛先が向かう先として、事務局長・事務長といった法人側管理職の役割は、年々重くなっています。

教育現場では、「指導」「熱意」「教育的配慮」といった言葉が、知らず知らずのうちにハラスメントと隣り合わせになりやすい構造があります。

加えて、教職員同士の関係性は閉鎖的になりがちで、問題が表面化したときには、すでに深刻な状態に陥っているケースも少なくありません。

こうした中で、事務局長が
「教職員同士の問題だから」
「校長が対応すべきことだから」
と距離を取ってしまうことは、法的にも極めて危険です。

現在の法制度では、学校法人には職場におけるハラスメントを防止し、適切に対応する義務が明確に課されています。

そして、その実務を担う立場にあるのが、法人運営を預かる事務局長です。

本記事では、
「教職員向けの啓発」ではなく、事務局長が判断を誤らないための法務・実務ガイド
として、パワハラ相談にどう向き合うべきかを整理します。

スポンサーリンク

目次

私立学校で教職員のパワハラ相談が起きやすい法的背景

私立学校でのパワハラ相談は、決して特殊な問題ではありません。


むしろ、教育現場という特性そのものが、ハラスメントを生みやすい土壌になっている側面があります。

事務局長が適切に対応するためには、まず
「なぜ私立学校ではパワハラ相談が起きやすいのか」
を法的・構造的に理解することが欠かせません。

この背景を理解しないまま対応すると、
・問題を過小評価してしまう
・初動が遅れる
・結果として法人責任が問われる
という事態につながりかねません。

ここでは、私立学校特有の環境を踏まえながら、パワハラ相談が発生しやすい理由を整理します。

「指導」とパワハラの線引きが曖昧な教育現場

教育現場では、
「これは指導だ」
「教育のために必要な指摘だ」
という言葉が、ハラスメント行為を正当化する理由として使われやすい傾向があります。

しかし法的には、目的が正しくても、手段が不適切であればパワハラに該当します。

具体例(グレーからアウトへ)

  • 公開の場で繰り返し叱責する
  • 人格を否定するような表現を用いる
  • 必要以上に長時間拘束して指導する

これらは「教育的指導」の名目で行われがちですが、
労働施策総合推進法上は職場におけるパワーハラスメントに該当する可能性が高い行為です。

事務局長として重要なのは、
「教育的かどうか」ではなく「職場として許容されるか」
という視点で判断することです。

教職員同士の問題が表に出にくい構造

私立学校では、教職員が長期間同じ職場で勤務するケースが多く、
人間関係が固定化しやすい特徴があります。

その結果、

  • 「波風を立てたくない」
  • 「言っても変わらない」
  • 「自分が悪者になりたくない」

といった心理が働き、パワハラ行為が長期間放置されることがあります。

法務の観点では、
「知らなかった」では済まされない
という点が非常に重要です。

相談が表に出た時点で、
「なぜここまで放置されていたのか」
という管理体制そのものが問われる可能性があります。

私立学校法人に特有の管理体制リスク

私立学校では、管理職の多くが教育畑出身であり、
労務・法務の専門性が組織内に不足しがちです。

その結果、

  • 校長・教頭に判断が集中する
  • 事務局が「裏方」に回りすぎる
  • 法的リスクの認識が遅れる

といった構造が生まれます。

しかし、法的には
学校法人=使用者
であり、その実務責任を担うのが事務局長です。

教職員間の問題であっても、
法人の安全配慮義務としての対応が求められる
という点を、最初に明確に認識する必要があります。

教職員からのパワハラ相談における事務局長の法的立場

教職員からパワハラ相談を受けたとき、事務局長はしばしば
「どこまで踏み込むべきか」
「校長とどう役割分担すべきか」
という判断に迷います。

しかし法務の観点から見ると、事務局長は決して“中立的な第三者”ではありません。


私立学校において事務局長は、学校法人の運営を担う管理職として、使用者側の責任を具体的に実行する立場にあります。

そのため、
「教職員同士の問題だから様子を見る」
「校長の判断を尊重する」
といった対応は、結果として法人の安全配慮義務違反につながるおそれがあります。

ここでは、事務局長が置かれている法的立場を明確にし、
「どこまで関与すべきか」「何を判断基準にすべきか」
を整理します。

事務局長はなぜ「中立」ではいられないのか

パワハラ相談を受けると、
「当事者双方の言い分を公平に聞くべきだ」
という意識が先に立つことがあります。

もちろん、事実確認において中立性は重要です。


しかし、法的立場としての事務局長は中立ではありません。

重要なポイント

  • 事務局長は学校法人の管理職
  • 学校法人は教職員に対する使用者
  • 使用者には安全配慮義務がある

つまり、事務局長は
「事実を中立に確認しつつ、法人の責任を果たす側」
という立場にあります。

よくある誤解

「中立を保つため、深く関与しない」

この姿勢は、
「何もしなかった管理職」と評価されるリスクを孕んでいます。

安全配慮義務とハラスメント防止に関する法的整理

(法務寄り解説)

現在、学校法人が負うべき義務は、複数の法制度によって明確化されています。

関連する主な法的枠組み

  • 労働契約法第5条(安全配慮義務)
  • 労働施策総合推進法(ハラスメント防止措置義務)
  • 厚生労働省のパワハラ指針

これらに共通する考え方は、
「ハラスメントが起きない職場環境を整え、発生した場合は適切に対応する義務」
が使用者にある、という点です。

事務局長として重要なのは、

  • パワハラの有無を即断すること
    ではなく、
  • 相談を受けた時点で、調査・対応を開始する体制を取ること

これを怠ると、
「結果的にパワハラが認定されたかどうか」に関わらず、
対応義務違反を問われる可能性があります。

校長・教頭との役割分担と責任の所在

(実務で最も迷いやすいポイント)

多くの私立学校では、
教職員の人事・指導は校長の権限」
という意識が根強くあります。

しかし、法的には

  • 校長:現場管理の責任者
  • 事務局長:法人運営・労務管理の責任者

という役割の違いがあります。

事務局長が押さえるべき判断軸

  • 校長の対応状況を確認しているか
  • 法的観点での不備がないか
  • 法人としての記録・対応が残っているか

NGな考え方

「校長が対応しているから、事務局は関与しない」

この姿勢は、
トラブルが訴訟・紛争に発展した場合、
事務局長自身の管理責任を問われる可能性があります。

事務局長は、
校長の対応を“補完・監督する立場”
であることを明確に認識する必要があります。

パワハラ相談を受けた直後に行うべき初動対応【実務】

教職員からパワハラ相談を受けた際、最も重要なのは最初の対応(初動)です。


この初動対応を誤ると、たとえその後に適切な調査や是正を行ったとしても、
「学校法人として適切な対応を取らなかった」
と評価されるリスクが高まります。

事務局長に求められるのは、
感情的な寄り添いだけでも、即断的な判断でもありません。


事実を整理し、法人としての対応義務を果たすための準備を整えることです。

ここでは、事務局長がパワハラ相談を受けた直後に、
必ず押さえておくべき実務対応を、具体的な例文とともに解説します。

初回ヒアリングで必ず確認すべき法的ポイント

初回ヒアリングは、
「パワハラかどうかを判断する場」ではありません。


事実関係を整理し、後の対応に耐えうる情報を収集する場です。

必ず確認すべき基本事項

  • いつ(日時・期間)
  • どこで(場所・状況)
  • 誰が(加害とされる人物)
  • 何をした(具体的言動・行為)
  • 継続性・頻度
  • 目撃者・証拠の有無

事務局長の適切な聞き方(例文)

「今日は、事実関係を整理することを目的にお話を伺います。


感じたお気持ちも大切ですが、まずは具体的な状況を教えてください。」

このように目的を明確にした上で聞き取ることが、
後のトラブルを防ぎます。

記録・証拠・メモを残す重要性

(法務視点)

初動対応で最も重要でありながら、
現場で軽視されがちなのが記録化です。

記録として残すべきもの

  • 相談日時・場所
  • 相談者の発言内容(要約)
  • 事務局長の発言・対応
  • 今後の対応方針(伝えた内容)

ポイント

  • 感情的評価を書かない
  • 事実と発言を分けて記載する
  • 当日中にまとめる

これらの記録は、
後に

  • 校長・法人内共有
  • 外部専門家相談
  • 訴訟・紛争対応

において、学校法人を守る重要な資料となります。

初動対応を誤った場合の法人リスク

初動対応の失敗は、
その後の対応の良し悪しに関係なく、大きなリスクを生みます。

典型的なNG対応

  • 「様子を見ましょう」と伝える
  • その場で加害者を断定・否定する
  • 「大ごとにはしないでほしい」と要請する

NG発言例

「もう少し我慢してみてはどうですか」

この一言が、
相談者の訴えを軽視した証拠として扱われることがあります。

事務局長として重要なのは、
結論を出さず、対応プロセスを開始した事実を残すことです。

初動対応チェックリスト(実務用)

  • 事実関係を具体的に聞き取った
  • 記録を残した
  • 相談者に今後の流れを説明した
  • 校長・法人内で共有体制を整えた

事務局長が絶対にやってはいけないNG対応【法務リスク編】

教職員からのパワハラ相談において、
「何をするか」以上に重要なのが、「何をしてはいけないか」です。

実務の現場では、

  • 善意のつもりの発言
  • 現場への配慮
  • 事態を大きくしたくないという判断

これらが結果として、法人の法的リスクを拡大させてしまうケースが少なくありません。

特に事務局長は、
「組織を守る立場」であるがゆえに、
不用意な言動や判断が使用者責任として評価されやすい立場にあります。

ここでは、実際に問題になりやすい
事務局長が取ってしまいがちなNG対応を、
法務の観点から具体的に整理します。

教職員同士の問題として放置する

(最も危険なNG対応)

最も多く、かつ最も危険なのが、
「教職員同士の人間関係の問題」として扱い、実質的に放置することです。

よくある判断

「当事者同士で解決すべき問題だ」


「管理職が介入すると余計にこじれる」

しかし法的には、
職場で発生している以上、使用者の管理責任の対象です。

放置した結果、

  • 被害が拡大
  • 精神疾患・休職
  • 外部通報・訴訟

に発展した場合、
「なぜ対応しなかったのか」
という点が厳しく問われます。

校長任せ・現場任せにする

(責任転嫁になり得る対応)

次に多いのが、
「校長が対応しているから大丈夫」という判断です。

確かに、現場の管理責任者は校長です。


しかし、それは法人としての責任が免除されることを意味しません。

法務上のポイント

  • 校長=現場対応責任
  • 事務局長=法人の労務管理責任

この役割分担を曖昧にすると、
トラブル発生時に
「誰も最終責任を取っていない」状態になります。

NGな姿勢

「校長の判断に任せています」

この一言が、
事務局長自身の不作為を示す証拠になることもあります。

相談者に不用意な発言・約束をする

(言葉がリスクになる)

相談対応の場面で、
事務局長が最も注意すべきなのが発言内容です。

特に危険な発言例

  • 「必ず解決します」
  • 「あなたに不利益は一切ありません」
  • 「この話は誰にも言いません」

これらは一見、配慮ある言葉に見えますが、
後に履行できなかった場合、問題化しやすい表現です。

推奨される表現(例文)

「法人として事実確認を行い、適切に対応します。


現時点で結論はお伝えできませんが、対応の流れは説明します。」

約束ではなく、プロセスを伝える
これが、事務局長に求められる姿勢です。

NG対応まとめ

NG対応法的リスク
放置安全配慮義務違反
校長任せ管理責任追及
軽率な発言信義則違反

H2-5. パワハラ相談を「個人問題」で終わらせないための実務対応

教職員からのパワハラ相談に対し、
「個別事案として対応し、ひとまず収束した」
という状態で終わらせてしまうことは、事務局長にとって最も危険な判断の一つです。

なぜなら、パワハラ問題は多くの場合、
特定の個人だけの問題ではなく、組織構造や管理体制の歪みから生じている
からです。

仮に一件の相談が解決したとしても、

  • 同様の問題が再発する
  • 別の教職員から再び相談が出る
  • 「学校は結局何も変わらない」という不信感が残る

こうした状態では、学校法人としての
ハラスメント防止義務を果たしているとは言えません。

ここでは、事務局長がパワハラ相談を学校全体の改善につなげるための実務視点を整理します。

組織構造・業務設計の問題として整理する

(実務解説)

パワハラ相談が出たとき、
まず確認すべきは
「なぜこの問題が起きたのか」
という背景です。

個人問題で終わらせがちな視点

  • 特定の教員の性格
  • コミュニケーションの行き違い
  • 一時的な感情の衝突

事務局長が見るべき視点

  • 業務量・役割分担は適切か
  • 評価・指導の仕組みが属人的になっていないか
  • 管理職のチェック機能は働いているか

特定の教員に業務・指導権限が集中していないか

この視点を持つことで、
再発防止に向けた実効性のある改善が可能になります。

再発防止策を制度・規程に落とし込む

(法務寄り解説)

再発防止策は、
「注意しました」「指導しました」
では不十分です。

事務局長として求められるのは、
制度・規程として“形に残す”ことです。

見直しを検討すべき項目

  • ハラスメント防止規程
  • 相談窓口・通報フロー
  • 調査・対応手順
  • 教職員への周知方法

重要なポイント

  • 文書化されているか
  • 教職員に周知されているか
  • 実際に運用されているか

これらが整っていない場合、
「防止措置を講じていない」と評価されるリスクがあります。

弁護士・社労士など外部専門家を使う判断基準

(実務判断)

すべての案件を内部だけで処理しようとすることは、
かえってリスクを高めます。

外部専門家を検討すべきケース

  • 事実関係が錯綜している
  • 管理職が当事者に含まれる
  • 精神疾患・休職が絡む
  • 将来的な紛争リスクが高い

事務局長の判断例(例文)

「法人として、外部の専門家を交えて客観的に対応します」

外部専門家の関与は、
「問題が深刻だから」ではなく「適切な対応のため」
という位置づけが重要です。

視点事務局長の役割
原因分析個人→組織へ
再発防止制度化
専門家早期活用

パワハラを未然に防ぐために事務局長が日常的にできること

パワハラ問題に強い私立学校法人の共通点は、
「問題が起きてから対応している」のではなく、「起きにくい状態を日常的に作っている」
という点にあります。

事務局長の役割は、相談が出たときに適切に対応することだけではありません。


そもそも深刻な相談に発展しない環境を整えることも、重要な法的・管理職責任の一部です。

特に私立学校では、

  • 教職員同士の関係が固定化しやすい
  • 指導と業務命令の境界が曖昧
  • 管理職が教育現場寄りに偏りがち

といった構造的リスクがあります。

ここでは、事務局長が日常業務の中で無理なく実践でき、
結果としてパワハラ予防と法人リスク低減につながる行動を具体的に解説します。

教職員との距離感と信頼関係を意識的に作る

(実務+具体例)

パワハラ相談が早期に共有されるかどうかは、
事務局長が「相談できる存在」かどうかで大きく変わります。

NGな距離感

  • 現場にほとんど顔を出さない
  • 校長・教頭経由でしか情報を取らない
  • 問題が起きた時だけ関与する

この状態では、
教職員は「最後の手段」としてしか事務局に相談しません。

望ましい関わり方

  • 日常的に挨拶・声かけを行う
  • 雑談レベルの会話を大切にする
  • 業務の困りごとを聞く

声かけ例(事務局長)

「最近、業務で負担になっていることはありませんか」

この一言が、
深刻化する前の相談につながる入口になります。

小さな違和感・兆候を見逃さない仕組みを作る

(法務視点)

パワハラは、
いきなり重大問題として発生することはほとんどありません。

多くの場合、

  • 同じ教職員から複数の愚痴が出る
  • 特定の人物を避ける動きが出る
  • 体調不良・欠勤が増える

といった小さな兆候があります。

事務局長が意識すべきポイント

  • 個人の問題として切り捨てない
  • 情報を点で見ず、線で見る
  • 校長・管理職からの情報を整理する

実務の工夫

  • 定期的な管理職ミーティングで情報共有
  • 書面・簡易メモでの気づきの蓄積

これにより、
「知らなかった」という言い訳ができない状態=適切な管理体制
を構築できます。

「相談しても不利益がない」学校文化を作る

(制度+言動)

どれだけ制度を整えても、
教職員が
「相談すると損をする」
と感じていれば、パワハラは水面下で進行します。

事務局長がやるべきこと

  • 相談者を責めない
  • 情報共有を評価する
  • 不利益取扱いを明確に否定する

事務局長の発言例

「相談したことで不利になることはありません。


法人として、事実確認と適切な対応を行います。」

このメッセージを、

  • 個別対応
  • 会議
  • 文書・規程

を通じて繰り返し伝えることが重要です。

行動法務的効果
日常的な関係構築早期相談
兆候の把握放置リスク回避
相談文化の醸成防止措置評価

私立学校のパワハラ対応で事務局長がよく悩む質問【Q&A】

私立学校におけるパワハラ対応は、
「法律論だけでは割り切れない」「教育現場特有の事情がある」
という理由から、事務局長が強い孤独感を抱えやすい分野です。

特に、

  • 校長・教頭との関係
  • 教育指導とパワハラの線引き
  • 証拠がないケース
  • 法人としての責任範囲

など、正解が見えにくい判断を日常的に迫られます。

ここでは、実際に私立学校法人の事務局長から寄せられることが多い質問をもとに、
法務視点・実務視点の両面から具体的に回答します。

Q1. 教育指導とパワハラの線引きはどう判断すればいいですか?

結論:目的・手段・態様の3点で判断します。

文科省・厚労省の指針では、

  • 業務上必要な指導か
  • 手段が社会通念上相当か
  • 人格否定や過度な精神的負担がないか

が判断基準です。

事務局長として重要なのは、
「指導だから問題ない」と即断しないこと。

👉 事実確認を行い、言動の具体性に着目する
これが法的リスク回避につながります。

Q2. 証拠がない相談でも対応しなければいけませんか?

はい。証拠の有無にかかわらず初動対応は必須です。

パワハラ防止法では、
相談があった時点で事実確認を行う義務があります。

NG対応

  • 「証拠がないから様子見」
  • 「被害者と加害者で話し合って」

正しい対応

  • 聞き取りの記録を残す
  • 関係者ヒアリングを検討
  • 再発防止措置を検討

これだけでも、
法人の管理責任を果たしていると評価されやすくなります。

Q3. 校長・管理職が加害者の場合、どう対応すべきですか?

事務局長が直接主導する必要があります。

校長は「現場責任者」ですが、
法人としての最終責任は理事会・事務局にあります。

対応のポイント:

  • 校長本人を調査対象として扱う
  • 外部専門家(弁護士・社労士)を検討
  • 理事長・理事会への適切な報告

遠慮・忖度は最大のリスクです。

Q4. 匿名相談でも対応が必要ですか?

可能な範囲で対応すべきです。

匿名相談でも、

  • 内容が具体的
  • 再発の可能性がある

場合は、
職場環境改善や注意喚起などの対応が求められます。

「匿名=無視」は、
後に実名相談へ発展した場合、
初動不備として不利に評価される可能性があります。

Q5. 相談内容を校長にどこまで共有していいですか?

原則は「必要最小限」です。

共有すべきでない情報:

  • 相談者が特定される内容
  • 私的事情

共有すべき情報:

  • 事実関係
  • 組織としての課題
  • 再発防止策

情報管理は法務リスクの核心部分です。

Q6. 被害者が「大ごとにしないでほしい」と言った場合は?

要望は尊重しつつ、放置はNGです。

事務局長の判断軸:

  • 他の被害者が出る可能性
  • 職場環境への影響

対応例

  • 配置変更
  • 注意・指導
  • 環境改善

「本人が望まないから対応しない」は
法人責任を免れません。

Q7. 加害者とされる教職員の人権はどう守るべきですか?

事実未確定の段階では「加害者扱い」をしないこと。

注意点:

  • 一方的な決めつけ
  • 不必要な情報共有
  • 過度な制裁

公平性の確保=法人防衛
という意識が重要です。

Q8. どの段階で弁護士に相談すべきですか?

以下に該当したら早期相談を推奨します。

  • 管理職が関与
  • 複数被害者
  • メンタル不調・休職
  • 訴訟・労基署の可能性

早めの法的助言はコスト削減策でもあります。

Q9. 再発防止策として最低限必要なことは?

  • 相談窓口の明確化
  • 対応フローの文書化
  • 管理職研修
  • 定期的な見直し

「作って終わり」ではなく
運用実績が重要です。

Q10. 事務局長として一番大切な心構えは何ですか?

「現場の味方」でも「管理の責任者」でもある自覚です。

  • 感情で動かない
  • 事実に基づく
  • 記録を残す

この姿勢が、
教職員・法人・自分自身を守ります。

まとめ|事務局長がパワハラ対応で押さえるべき本質

私立学校におけるパワハラ対応は、
単なるトラブル処理ではありません。

事務局長に求められる本質は、

  • 法的視点
  • 組織マネジメント
  • 教育現場への理解

をバランスよく統合することです。

本記事で解説した通り、

  • 初動対応
  • 事実確認
  • 記録
  • 再発防止

を丁寧に積み重ねることで、
「問題に強い学校法人」を作ることができます。

私立学校のパワハラ対応では、個別事案への対処だけでなく、クレームや不満が組織全体でどう受け止められ、管理職がどう判断するかが、その後のトラブル拡大を大きく左右します。

管理職として「現場を守りながら法人リスクを最小化する視点」を体系的に整理した以下の記事も、あわせて参考にしてください。

👉クレーム対応に強い組織を作る管理職の役割とは?現場が疲弊しない仕組みと実践マネジメント完全ガイド